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第30話 ダンジョン攻略開始
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翌日から、俺とユア、アイナのパーティーにて、比較的街に近い「クラローズ地下迷宮」を探索することにした。
ここは数十年前からその存在が知られている、メジャーな迷宮だ。
相当深くまで続くダンジョンとなっており、上層こそ本当に弱い魔物しか出現しないが、地下10階を越える辺りから徐々に強いモンスターが出始める。
地下40階ともなると、三ツ星以上のハンターが複数人パーティーに存在しても危険となり、地下50階以降はほぼ未踏破領域となるが、あまりに危険であるために挑戦する者はほとんどいない。
かといって、そこまでの領域は探索され尽くされているため、新しい宝物が発見されることは皆無だ。
それでも、魔石を持った魔物が湧き出る場所が存在するため、上層階は星を持たないハンター達が小遣い稼ぎやレベル上げのために訪れることが多い。
ちなみに、ハンターはその資格を申請する際、適性検査を受けて問題がなければハンター証が発行される。
これは市民証と同じく魔道具となっており、登録者本人が持たないと意味を成さない。
ダンジョンでどれだけの敵をどんな攻撃で倒したか、という戦闘の詳細が記録され、冒険者ギルドに持ち込むとその内容が精査されて星付与の基準とされる。
例えば、一体のトロールを三人で倒した場合でも、その攻撃の有効度によって評価は変わってくるのだ。
このハンター証はそれなりに高度な魔法が組み込まれているが、ハンター登録時、無料で配布される。
手のひらに乗る、金属製でカード型のこのハンター証、再発行には10万ウェンが必要となるため、皆、落としたり無くしたりしないように、工夫して身につけているようだ。
俺は専用のケースに入れて、心臓部分を守る金属の胸当ての内側に大切に保存している。
ユアとアイナがどこに隠し持っているかは教えてもらっていないが、多分防護服の内側、素肌に近い部分に保持しているはずなので、あえて聞いていない。
そして前述の通り、俺が魔物を倒してしまうと彼女たちのハンター証に記録されないので、あくまで補助的な護衛に回り、彼女たちに魔物退治をさせた。
地下一階、地下二階の上層部では、スライムや大ネズミぐらいの弱い魔物しか出ないので、これは魔法を使わずに金属製の長い杖で叩いたり突いたりして倒させた。
もう少し階層を降りたところで、鋭い角を持つイッカクウサギなど、接近戦が少し危険になってくるので、魔法を使うように指示する。
「小火球《フラウゥ》!」
ユアの魔法一発で、不意を突かれたイッカクウサギが黒焦げになって倒れた。
「すごい、今日は絶好調よ。威力も、射出速度も今までよりずっと良くなってる!」
出会ったときの不機嫌さがウソのようにニコニコしている。
「催眠雲《スリプクラウド》!」
アイナが杖を振りかざすと、そこに灰色の霧が現れ、対峙していたダンジョンキャットの群れがパタパタと倒れる。そこをユアと二人で杖で小突いて仕留めていく。
「私もいい感じですぅ! こんなに簡単に魔物が倒せるなんてぇ!」
アイナも大喜びだ。
「これって、ひょっとして……パパの能力のおかげ?」
ユアが、まじまじと俺を見ながらそう聞いてくる。
「そうかもしれないが……いや、そうだとしても、あくまで『才能開花の後押しをする』っていうことだから、元々二人にはそれだけの才能があったっていうことだ」
「……私たち、こんなに才能あったんですね……でも、怖くて先に進めなかったですぅ……やっぱりパパさんのおかげですぅ!」
そんなふうに褒められると、俺としても嬉しくなってくる。
二人が星を獲得するのも、そんなに遠い日ではない。
また、俺自身のステータスも相当上がっていた。
これならば、もう少し下の階に行っても大きな問題は無いだろう……。
三ツ星ハンターである自分の実力と、神から与えられた能力を信じるあまり、そんなふうに過信してしまっていたのだ――。
ここは数十年前からその存在が知られている、メジャーな迷宮だ。
相当深くまで続くダンジョンとなっており、上層こそ本当に弱い魔物しか出現しないが、地下10階を越える辺りから徐々に強いモンスターが出始める。
地下40階ともなると、三ツ星以上のハンターが複数人パーティーに存在しても危険となり、地下50階以降はほぼ未踏破領域となるが、あまりに危険であるために挑戦する者はほとんどいない。
かといって、そこまでの領域は探索され尽くされているため、新しい宝物が発見されることは皆無だ。
それでも、魔石を持った魔物が湧き出る場所が存在するため、上層階は星を持たないハンター達が小遣い稼ぎやレベル上げのために訪れることが多い。
ちなみに、ハンターはその資格を申請する際、適性検査を受けて問題がなければハンター証が発行される。
これは市民証と同じく魔道具となっており、登録者本人が持たないと意味を成さない。
ダンジョンでどれだけの敵をどんな攻撃で倒したか、という戦闘の詳細が記録され、冒険者ギルドに持ち込むとその内容が精査されて星付与の基準とされる。
例えば、一体のトロールを三人で倒した場合でも、その攻撃の有効度によって評価は変わってくるのだ。
このハンター証はそれなりに高度な魔法が組み込まれているが、ハンター登録時、無料で配布される。
手のひらに乗る、金属製でカード型のこのハンター証、再発行には10万ウェンが必要となるため、皆、落としたり無くしたりしないように、工夫して身につけているようだ。
俺は専用のケースに入れて、心臓部分を守る金属の胸当ての内側に大切に保存している。
ユアとアイナがどこに隠し持っているかは教えてもらっていないが、多分防護服の内側、素肌に近い部分に保持しているはずなので、あえて聞いていない。
そして前述の通り、俺が魔物を倒してしまうと彼女たちのハンター証に記録されないので、あくまで補助的な護衛に回り、彼女たちに魔物退治をさせた。
地下一階、地下二階の上層部では、スライムや大ネズミぐらいの弱い魔物しか出ないので、これは魔法を使わずに金属製の長い杖で叩いたり突いたりして倒させた。
もう少し階層を降りたところで、鋭い角を持つイッカクウサギなど、接近戦が少し危険になってくるので、魔法を使うように指示する。
「小火球《フラウゥ》!」
ユアの魔法一発で、不意を突かれたイッカクウサギが黒焦げになって倒れた。
「すごい、今日は絶好調よ。威力も、射出速度も今までよりずっと良くなってる!」
出会ったときの不機嫌さがウソのようにニコニコしている。
「催眠雲《スリプクラウド》!」
アイナが杖を振りかざすと、そこに灰色の霧が現れ、対峙していたダンジョンキャットの群れがパタパタと倒れる。そこをユアと二人で杖で小突いて仕留めていく。
「私もいい感じですぅ! こんなに簡単に魔物が倒せるなんてぇ!」
アイナも大喜びだ。
「これって、ひょっとして……パパの能力のおかげ?」
ユアが、まじまじと俺を見ながらそう聞いてくる。
「そうかもしれないが……いや、そうだとしても、あくまで『才能開花の後押しをする』っていうことだから、元々二人にはそれだけの才能があったっていうことだ」
「……私たち、こんなに才能あったんですね……でも、怖くて先に進めなかったですぅ……やっぱりパパさんのおかげですぅ!」
そんなふうに褒められると、俺としても嬉しくなってくる。
二人が星を獲得するのも、そんなに遠い日ではない。
また、俺自身のステータスも相当上がっていた。
これならば、もう少し下の階に行っても大きな問題は無いだろう……。
三ツ星ハンターである自分の実力と、神から与えられた能力を信じるあまり、そんなふうに過信してしまっていたのだ――。
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