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第1話 異世界転移とパパ活ギルド
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パパ活、という言葉自体は、生前から知っていた。
お金持ちのおじさまが、若い女の子にお小遣いをあげて、いろんな良い思いをする、という印象でしかなく、それは善悪がどうとか考える前に、当時二十三歳の俺からすれば、自分には関係の無い話だと思っていた。
それが、まさか転移を果たしたこの異世界において、自分がどっぷりハマッてしまうことになるとは、想像もしていなかった。
――今から十五年前、現実世界の日本で、俺は死んだ。
大型トラックにひかれそうになった小さな女の子を助けて、自分だけが跳ね飛ばされる、という死に方だった……カッコつけようとしたわけではなく、思わず体が動いた、というやつだ。
何もかもが白い光に包まれた不思議な空間で、上下左右の区別もなく、ただ魂だけが漂っているような状態の俺に、直接語りかけてくれる特別な存在を感じた。
いわゆる、「神」だった。
幸か不幸か、俺の死に様を見ていた神様が、その善行を認めて、特別に別世界に転移させてくれるというのだ。
いくつか候補がある中で、ゲーム好きだった俺は、剣や魔法が存在するファンタジックな世界を望んだ。
神はそれを承諾し、さらに、自分の能力をゲーム風に確認できるスキルまで授けてくれた。
その上、まだ発展途上のその世界に向かう転移者への特典として、ある特別で強力な能力まで授けてくれるという。
その時点で詳細や発動条件は語ってくれなかったが、普通に生活していれば、十年以内には八割方発動するだろう、と言われた。
それから十五年が過ぎたが、未だに「特別な能力」は発動されていない。
二十三歳で現実世界と変わらぬ肉体のままこの世界に転移した俺は、三十八歳……アラフォーになった。
憧れていた剣と魔法の舞台で、俺は冒険者として努力を重ね、三ツ星の上級冒険者となっていた。
それなりに知人も増え、裕福な生活を過ごせるようになっていた俺だが、冒険者となることを選び、常に死の危険が伴うこともあって、結婚はしていなかった。
その結果、長年付き合っていた恋人と別れることになったのだが……。
そんな寂しい思いをしている俺に、この世界で知り合った、同じく日本からの転移者で冒険者仲間でもあるリョウという名の男が、最近流行の店を教えてくれた。
「裕福な男性と夢を持つ女性を繋げる出会いの場 ~ベラクシス・ラディア~」
怪しげな謳い文句のこの店こそが、俺の運命を変えることなる、「異世界パパ活ギルド」だった――。
お金持ちのおじさまが、若い女の子にお小遣いをあげて、いろんな良い思いをする、という印象でしかなく、それは善悪がどうとか考える前に、当時二十三歳の俺からすれば、自分には関係の無い話だと思っていた。
それが、まさか転移を果たしたこの異世界において、自分がどっぷりハマッてしまうことになるとは、想像もしていなかった。
――今から十五年前、現実世界の日本で、俺は死んだ。
大型トラックにひかれそうになった小さな女の子を助けて、自分だけが跳ね飛ばされる、という死に方だった……カッコつけようとしたわけではなく、思わず体が動いた、というやつだ。
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いわゆる、「神」だった。
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いくつか候補がある中で、ゲーム好きだった俺は、剣や魔法が存在するファンタジックな世界を望んだ。
神はそれを承諾し、さらに、自分の能力をゲーム風に確認できるスキルまで授けてくれた。
その上、まだ発展途上のその世界に向かう転移者への特典として、ある特別で強力な能力まで授けてくれるという。
その時点で詳細や発動条件は語ってくれなかったが、普通に生活していれば、十年以内には八割方発動するだろう、と言われた。
それから十五年が過ぎたが、未だに「特別な能力」は発動されていない。
二十三歳で現実世界と変わらぬ肉体のままこの世界に転移した俺は、三十八歳……アラフォーになった。
憧れていた剣と魔法の舞台で、俺は冒険者として努力を重ね、三ツ星の上級冒険者となっていた。
それなりに知人も増え、裕福な生活を過ごせるようになっていた俺だが、冒険者となることを選び、常に死の危険が伴うこともあって、結婚はしていなかった。
その結果、長年付き合っていた恋人と別れることになったのだが……。
そんな寂しい思いをしている俺に、この世界で知り合った、同じく日本からの転移者で冒険者仲間でもあるリョウという名の男が、最近流行の店を教えてくれた。
「裕福な男性と夢を持つ女性を繋げる出会いの場 ~ベラクシス・ラディア~」
怪しげな謳い文句のこの店こそが、俺の運命を変えることなる、「異世界パパ活ギルド」だった――。
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