眩暈のころ

犬束

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眩暈のころ

14. 中学三年のころ(二学期) 12

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 蝉丸は正しい、と私は心底思った。
 近海が主導権を握れる要因に、彼の長身は非常に役立っている、と身に沁みたせいで、私は初めて、日頃の彼女の主張に同感したのである。
 人間は、高い視点を有してはならないのだ。なればこそ、神はバベルの塔に混乱と破壊とをもたらしたのだから。

 反抗の甲斐も虚しく、近海仕切りの補習授業は、試験までの数日間、日曜日をのぞいて毎日行われる運びとなった。
 蝉丸との他に、ヤンキーの連中も加わったりして、意外にもけっこう楽しかった。私の特に危険な数学と英語は、近海の得意科目で、分かりやすく説明してくれるので、自分の頭が良くなったような錯覚に陥るほどだった。

 義務教育に落第はないけれど、私が無事に卒業出来たのは、近海が援助してくれたからだと、つくづく感謝している。しかし、それ以降、私の頭脳が冴えわたることはない。


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