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眩暈のころ
13. 中学三年のころ(二学期) 11
しおりを挟む「何がですかい」
「試験まで日がないからね。全部は無理でも、なるたけ詰め込んでもらわないと」
「詰め込みですか。ぎゅうぎゅうですか」と私は呆然とし、蝉丸にむかって、「あたしの成績は、そんなにヤバいことになってんのかな」
蝉丸は他人事なので、
「近海と比べたら、この学校の生徒はほとんど、ヤバいかもしれんね。うちも含まれとるんやけどね」と渋く微笑んだ。
「近海が先生になってくれんなら、俺もまざりたい」
のぶおが割り込んできたので、私は反射的に奴を睨みつけた。
「このガキ、たわけた事を抜かすな」と怒鳴りたいのをこらえ、
「でも近海はさあ」と、何とか抗ってみた。「塾とかあるだろうし、出来の悪いあたしらが足をひっぱるのも、すまないと思うわけよ」
あえて「あたしら」と複数形にしたのは、のぶおにも責任を担がせようと企んだからである。
「二時間くらいだったら、塾には全然間に合うし、却って好い復習になるんだから、遠慮するなって」
遠慮してないし。
「六時間授業を受けて、さらに二時間も」
「じゃあ、そーゆーことで」近海は決めつけるように云った。
「まじか……」
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