映画感想 八月

犬束

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大魔神怒る

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 報酬は乙女の清らかな涙で



 NHKで『怒る』を放映しているのを見た時は、もうほぼ終わり頃で、平泉成(当時は平泉征)が若くて、眼がキリッとしてて村上虹郎みたいで、驚いた。それと、子供向けの特撮物と言うよりか、仕上がりが『時代劇』のクオリティじゃないか、と驚いた。
 それもそのはず、Wikipediaによると、『大魔神』三部作の制作は大映京都撮影所、起用した監督は時代劇専門のベテラン。
 むしろ、魔神が登場するまでの物語パートは、小さい子供には難しいかも知れない。夜のシーンは暗いし、出演するのは、ほぼおっちゃんだし。もちろん、子供は子供騙しに騙されないけれども。
 物語はざっくり、湖の畔で平和に暮らす名越と千草の一族がおりました。千草の若き城主(お付きの若侍が征)は名越の姫・小百合と婚約しています。
 隣国の領主・御子柴は、湖から遠くて水の恩恵を受けられぬ恨みから、名越と千草に奇襲をかけ、領地を強奪します。湖の守護神である武神像まで破壊する狼藉ぶり。
 さらに、従わない小百合を、見せしめのために火刑に処さんとします。自分の命を差し出し、領民の幸福を願う乙女の涙に感応した武神像が、怒りをあらわに出現し、御子柴の兵を蹴散らし始めました…。
 中の人、元プロ野球選手・橋本力の、粉塵の舞う中で瞬きをせず、眼を血走らせた熱演は、本当に尊い。思わず手を合わせたくなります。
 そうさせるのも、それまでの映像のリアリティあってこそ、ですね。
 ですが、気になるのは、そもそも隣り合った三国が、平和的に水を使用する取り決めをしていれば、御子柴の民も、痩せた土地で渇水に苦しまずに済んで、領主もあんなに非道な振る舞いをせずに済んだのでは。そうしたら、大魔神の出番はないけど。

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