小説練習帖 八月

犬束

文字の大きさ
上 下
13 / 31

8月13日(土)

しおりを挟む
宅配

 日付が変わって 土曜日になったとたん 窓ガラスを叩く音がした 挨拶する声もする
 窓を開けたら 郵便局の制服を着た月光氏が 抱っこしていた赤毛の柴犬を差し出しながら
——お盆の お届けものです
——犬は買ってないですよ
——お盆が始まったので 帰って来たんです
——この子は うちの子じゃありませんよ 赤毛は同じだけれど もっと眼が小さくて シッポがふさふさしている
——おかしいな ここは1丁目でしょう?
 と月光氏は 私に犬を渡し 伝票を確認しだした
 私も 失敬して覗きこみ
——颯爽荘なら 7丁目かな
——これはこれは 失礼しました 
——でも 1って書いてますね
——お盆に間に合わせるよう どこも てんてこ舞いですからね
 と月光氏は 犬を引き取り
——最近は 馬に乗るのを嫌がる動物が多くて 私まで駆り出されてます
——お疲れさまです
——では ごめんください
 月光氏を見送ろうと 窓から外を見たら 三輪の自転車につないだカートには 大きなワニやダチョウ ちょこまか動くアライグマなど 色々の動物がひしめいていた


 
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

JKがいつもしていること

フルーツパフェ
大衆娯楽
平凡な女子高生達の日常を描く日常の叙事詩。 挿絵から御察しの通り、それ以外、言いようがありません。

雌犬、女子高生になる

フルーツパフェ
大衆娯楽
最近は犬が人間になるアニメが流行りの様子。 流行に乗って元は犬だった女子高生美少女達の日常を描く

校長先生の話が長い、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
学校によっては、毎週聞かされることになる校長先生の挨拶。 学校で一番多忙なはずのトップの話はなぜこんなにも長いのか。 とあるテレビ番組で関連書籍が取り上げられたが、実はそれが理由ではなかった。 寒々とした体育館で長時間体育座りをさせられるのはなぜ? なぜ女子だけが前列に集められるのか? そこには生徒が知りえることのない深い闇があった。 新年を迎え各地で始業式が始まるこの季節。 あなたの学校でも、実際に起きていることかもしれない。

就職面接の感ドコロ!?

フルーツパフェ
大衆娯楽
今や十年前とは真逆の、売り手市場の就職活動。 学生達は賃金と休暇を貪欲に追い求め、いつ送られてくるかわからない採用辞退メールに怯えながら、それでも優秀な人材を発掘しようとしていた。 その業務ストレスのせいだろうか。 ある面接官は、女子学生達のリクルートスーツに興奮する性癖を備え、仕事のストレスから面接の現場を愉しむことに決めたのだった。

令嬢の名門女学校で、パンツを初めて履くことになりました

フルーツパフェ
大衆娯楽
 とある事件を受けて、財閥のご令嬢が数多く通う女学校で校則が改訂された。  曰く、全校生徒はパンツを履くこと。  生徒の安全を確保するための善意で制定されたこの校則だが、学校側の意図に反して事態は思わぬ方向に?  史実上の事件を元に描かれた近代歴史小説。

♡ちょっとエッチなアンソロジー〜おしっこ編〜♡

x頭金x
大衆娯楽
♡ちょっとHなショートショートの詰め合わせ♡

♡ちょっとエッチなアンソロジー〜下着編〜♡

x頭金x
大衆娯楽
♡ちょっとHなショートショートつめ合わせ♡

処理中です...