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12月13日
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《りんご飴》
引き出しの中に収まりきれず、細長い竹串が数本、飛び出している。
中に入っていたのは、かつて夜見世で食べ歩いたこともあるリンゴ飴だった。これは、可愛い姫リンゴで作られている。
甘ったるい飴ごと一口齧ると、みずみずしい果実の酸味。懐かしい味。
眼を閉じて、子供の頃の、お祭りの追想にひたっていたら、スマートフォンに、友達からメッセージが届いた。
——珍しく、リンゴ飴の屋台を見つけた。懐かしくて、買ってしまった。
お祭りでないと、あんまり見かけないよね。
もう一口齧ると、別の友達からメッセージと画像が。
——子供のバースデーパーティ用に、お店みたいに大量にチュッパチャプスを用意したんだ。
これは壮観。大人だって嬉しい。
今度は、どんなメッセージが届くのか、期待しながら、もう一口。
——屋台を見つけた。
恋人からだ。
——美味しいって評判のお店なんだって。これから大急ぎで持って行くからね、あつあつのタコ焼き。
ぼくも急いで返信する。
——リンゴ飴と一緒に待ってるから、早くおいで。
引き出しの中に収まりきれず、細長い竹串が数本、飛び出している。
中に入っていたのは、かつて夜見世で食べ歩いたこともあるリンゴ飴だった。これは、可愛い姫リンゴで作られている。
甘ったるい飴ごと一口齧ると、みずみずしい果実の酸味。懐かしい味。
眼を閉じて、子供の頃の、お祭りの追想にひたっていたら、スマートフォンに、友達からメッセージが届いた。
——珍しく、リンゴ飴の屋台を見つけた。懐かしくて、買ってしまった。
お祭りでないと、あんまり見かけないよね。
もう一口齧ると、別の友達からメッセージと画像が。
——子供のバースデーパーティ用に、お店みたいに大量にチュッパチャプスを用意したんだ。
これは壮観。大人だって嬉しい。
今度は、どんなメッセージが届くのか、期待しながら、もう一口。
——屋台を見つけた。
恋人からだ。
——美味しいって評判のお店なんだって。これから大急ぎで持って行くからね、あつあつのタコ焼き。
ぼくも急いで返信する。
——リンゴ飴と一緒に待ってるから、早くおいで。
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