映画感想 七月

犬束

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ぼくの伯父さんの休暇

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  抜け感は完璧な演出の賜物



 原作が同じの『太陽がいっぱい』と『リプリー』を見比べて、スピーディーでサスペンスフルな『リプリー』の方が面白くて好きなのだけれど(ファッションも見応えあるし)、ルネ・クレマンのおっとりした演出の方が優雅で上品で、名作と呼ばれる風格があるのかな、と思ったりします。
 過剰さより、慎ましさに上品さが宿るのか、なんて。
 ジャック・タチの映画も、モノクロームの画面(カラー作品も制作していますが)、台詞の少なさ、穏やかに心躍る音楽、くすくす笑いのギャグ、そして何より画角の広さ。そんな要素が、うっとりと仕合わせな気分にしてくれます。神経に障るものが何もないのです。
 昔々、『環境ビデオ』なるものがありましたが、まさに海辺の環境、景色が写し出されている。ユロ氏の巻き起こす騒動、おなじみのバカンス客(不自然でなくキャラが立っているので、あらまあ、あのひと、またユロ氏に迷惑を被ってぷりぷりしてるわ、とか見分けがつくようになる)、ホテルのレストラン、テニスコート、ビーチなどが、臨場感を持って、こちらの世界を侵食してくるような。リモートで、バカンス気分を味わえます。
 画角が広いとは、つまり演出で支配する範囲もそれだけ広大なわけで、隅々まで気を配り、完璧な計算の末の軽やかさ、ユーモア、抜け感なのか、と労力を惜しまぬ才能にも、感嘆します。
 とは言え、要は、何も考えずに、ただ嬉しさに浸るだけ。

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