【急募】4人同時に求婚してきた時の対処法～クセの強い彼らに溺愛されて困ってます～

永遠を

それから5年の月日が流れた。みさも僕も大学を出て、神ノ杜グループで働き出した。そして今日は…

「千景…よく似合っているじゃないか。見直したぞ」
「あ、父様。ふふ、ありがとうございます」

タキシード姿を褒められるのは少しくすぐったい。

「千景、みささんの様子を見てきましたが…見た瞬間倒れるんじゃないかしら、あなた」
「ええ！？どういう意味です母様！」
「はっはっは、確かにそれくらい綺麗だったなあ！！！」

みさのドレス姿を僕はまだ見ていない。本人たっての希望で、当日まで姿はお互い見せないことになっていた。

「お、千景～準備万端っちゅうところか？」
「晶兄様！それに他の兄様達も…」
「ふふ、弟の晴れ舞台だからね、仕事くらいなんてことないさ」
「ふっ、ぐすっ、みさも千景も幸せそうでっ、本当に、俺、嬉しい」
「僕見立てのドレスもタキシードも完璧！さ、後は主役2人が出会うだけだね」
「新郎様、そろそろお時間です」

その声でみんなと一緒に会場へ向かう。会場は、僕達の新居、僕達が夢にまで見た自分たちのペンションだった。玄関から外に向かって敷かれたバージンロード。ここを彼女が彼女の父親と一緒に歩いてくる。僕はその先で待つ。
厳かな音楽が奏でられる。しずしずと、歩いてくる音が近づいてくる。
目の前にヴェール越しの彼女が現れて。そのヴェールをあげて…そこに居たのは、世界一美しい人だった。

「！ふふっ、千景、泣くには早いよ」

その言葉で、僕は初めて自分が涙を流していることに気づく。ああ、ああ。嬉し涙というものは、存在するんだなあ。

「本当に、綺麗だよ…僕はこの日を一生忘れない。今まで見たものの中で、間違いなく1番輝いているよ」
「…ありがとう、千景も、すごくかっこいいよ」

にっこりと彼女は微笑んでくれた。

「新郎千景。あなたは新婦みさを妻とし、病める時も健やかなる時も、悲しみの時も喜びの時も、貧しい時も富める時も、これを愛し、これを助け、これを慰め、これを敬い、その命ある限り心を尽くすことを誓いますか？」

答えは、考えずとも決まっていた。

「はい、誓います」
「新婦みさ。あなたは新郎千景を夫とし、病める時も健やかなる時も、悲しみの時も喜びの時も、貧しい時も富める時も、これを愛し、これを助け、これを慰め、これを敬い、その命ある限り心を尽くすことを誓いますか？」

みささんは1呼吸置いて、はっきりとした声で宣言した。

「はい、誓います」

お互い向き合って、微笑む。彼女がそっと目を閉じた。僕も流れに逆らわず、そっと目を閉じてーーー

長いようで短い時間の後、名残惜しいけれど、唇を離す。

「一生をかけて愛すよ、みさ」
「私も。あなたしか、見えない」

微笑みあって頷きあって。僕達はその日、永遠を共にすることを誓いあったのだった。