【急募】4人同時に求婚してきた時の対処法～クセの強い彼らに溺愛されて困ってます～

案外

彼女と2人、部屋を出て、父様と母様の部屋へ向かう。今は父様が帰ってきているタイミング。おそらく、書斎にいるだろう。コンコンとノックする。

「入れ」

短い返答。みささんと目を合わせて。手を握る手に力を込めて。ドアを開けた。

「千景か、それに古川さんまで…二人揃ってどうしたんだい？莉佳子に用事かな？」
「父様と母様、お2人に話したいことがあります」

僕の表情から、何か悟ったらしい。すぐに母様を呼びに行ってくれた。

「さて、莉佳子もいる。私もいる。話を聞かせてもらおうか」
「…僕達2人のことを、認めてもらいたいんです」

真っ直ぐに、前だけを見据えて言った。みささんの手が小刻みに震える。それを安心させるように、手を重ねた。

「ふむ、2人は恋人ということかな？」
「はい、そうです。昔から縁談も届いていますが、今の僕はみささん以外を愛する気はありません」
「！千景…あなたの将来は輝かしいわ。いい所のお嬢さんをもらって、神ノ杜グループに務めて…」
「そんなのは僕の望む将来ではありません。僕は彼女と2人で生きていきたいんです」
「千景！そんな一時の感情に流されては…！」

その場の緊迫した空気をふっと緩めるように、父様が柔らかく言葉を紡いだ。

「なあ、莉佳子…許してやろうじゃないか」
「！？あなた、何を言って…」
「私は真実の愛というものに気づくのがすっかり遅くなって君を苦しめてしまった。でも彼らを見てご覧。彼らの目は本物だ。今更千景に別の女を与えたところで、君のような被害者が増えるだけだよ。それに将来のことなんてわからない。千景が古川さんとどうなるかもわからない。今はただ、見守っていてやればいいんじゃないかね」
「…ですが」
「莉佳子」

もう一度、柔らかく父様が母様の名前を呼んだ。それだけで、母様は何かを感じ取ったらしい。はあとため息を大きくつく。

「…わかりました。千景、彼女を大切になさい…今まで誰のことも恋愛的に好かなかったお前が初めて好きになった相手ですからね、きちんと責任を果たしなさい。そして古川さん」

母様がじっとみささんを見つめる。

「…はい」
「うちの息子を、どうかよろしくお願いします」
「…！はい！」
「さて！」

場をとりなすように父様がパンパンと手を叩いた。

「いやあ、私たちに娘ができたようで楽しいね、なあ莉佳子。お前は最後まで女の子を欲しがっていたじゃないか。そうだ、4人で食事でも行くか！」
「だ、旦那様！？」
「父様！？」
「あら、いいじゃありませんか、千景に古川さん…いえ、これからはみささんと呼ぶべきかもしれませんね」
「っえ！？」
「か、母様まで！？」

…後からわかったことだが、2人は息子が女の子を連れてきたということに少し心踊っていたらしい。まあ確かに初めてのことだけれども！落ち着かせるのが大変だった。