【急募】4人同時に求婚してきた時の対処法～クセの強い彼らに溺愛されて困ってます～

許し

千景が自分の想いを自覚したのと同時刻。みさは桐とともに洗濯に勤しんでいた。

「桐さん！洗濯物これで最後です！」
「ありがとうございます、あとは私に任せてください」

真っ青な空に真っ白なシーツがふわりと舞う。ここの御屋敷の中庭は広くてあと何枚シーツを干したって余りそう。なんとなくぼーっと風に舞うシーツを眺めていると、桐さんが話しかけてきた。

「古川様…ひとつ、私から申し上げたいことが」
「？はい、なんでしょう、桐さん」
「あなたと千景坊ちゃんの恋は、とても難儀なものとなるでしょう」
「！？！？」
「いや、もちろん私は応援していますが…貴方様が来てから坊ちゃん達が変わられたのは火を見るより明らかですし。ですがここは神ノ杜…時代錯誤と言われるでしょうが、私はこの家を母の代からずっと見てきました。神ノ杜とは、そういう家なのです。あなたたちの恋には、多くの障壁が立ちはだかるでしょう」
「ちょ、ちょ、ちょ、ちょっと待ってください桐さん！？」

呆然として思わず桐さんが喋るのをずっと聞いていたが慌てて止めに入る。

「わ、私と千景くんはそういう仲じゃありませんよ！？」
「あら、ですが貴方様は千景坊ちゃんがお好きでしょう？」
「わ、わわ私が！？千景くんを！？」

思わず考え込む。千景くんは、私にとって…すごく大切な存在だ。一緒にいるだけで楽しくって暖かくって。それでいて…もし彼に好きな人が出来たらと思うと、胸が苦しくなる。これは…もしかして、好き、なの？

「おや、今更気づいたのですね」

桐さんにくすくすと笑われてようやく顔が真っ赤なことに気づく。

「わ、私…」
「その想いを否定することは致しません。ですが、よく考えてみてください。神ノ杜という家の事、自分のこと、千景坊ちゃんのこと…私からは、それだけです」

そう言って桐さんは去っていった。晴天の下取り残された私は1人、問う。神ノ杜家…私が嫁ぐ、それは許されるの？なんの後ろ盾もない、この平凡な私が…1人考えていても、答えは出なかった。