【急募】4人同時に求婚してきた時の対処法～クセの強い彼らに溺愛されて困ってます～

初めてのバイト

「ねえねえ古川さん！古川さんって夏の間はペンションに戻ってお手伝いするって聞いたんだけど…」
「はい！そうですよ、何かありましたか？」
「！う、ううん！それを聞きたかっただけだよ、ありがとう！」
「？はい、どういたしまして」

実は僕には昔から夢があった。それは、本当に好きな人と結婚して2人で田舎で静かにそして幸せに暮らすこと。神ノ杜に産まれた時点で立場的に現実味はないが、これが密かな夢だった。叶わない夢なら、せめて…疑似体験したい！！！ということで、この夏僕は家族経営のペンションでバイトしようと考えていた。そのペンションはもちろん…

「はい、もしもし、ペンション古川です」
「は、初めまして！インターネットのアルバイト募集のページを見たんですが…」
「ああ、アルバイトにご興味があるんですね。ありがとうございます、お名前を伺っても？」
「神ノ杜千景と言います」
「はい、神ノ杜千景、様…って神ノ杜様！？む、娘に何かあったんですか？」
「いえ！本当にただアルバイトをしたくて…面接の日程など教えて頂けるとありがたいのですが」
「えっと…千景様ということは五男様ですね。雅治様よりかねてからお名前は聞いております。ですが…その、宿泊ではなくてアルバイトなのですか？」
「はい！古川さん…えっと、みささんや兄様達から話を聞いて素敵な場所だと思って！社会勉強もしたいですし」
「ははあ、そういうことなら納得です。神ノ杜様のご子息様なら大丈夫でしょう。いつでもお越しください、住み込みになるので大抵のものはこちらに揃っております。必要なのはそのページに書いてあるものくらいでしょうか」
「ありがとうございます！頑張って働きますのでどうぞよろしくお願いします」

電話を終えてすぐ、古川さんを探す。

「あ、千景様！随分ご機嫌が良さそうですね、何かいい事でもありましたか？」
「古川さん！実は夏休みの間、古川さんちのペンションでバイトさせてもらえることになったんだ！」
「へ？う、うちで！？」
「？そうだけど…ダメだったかな？」
「い、いえ！そういう意味では全くなくて！そういえば前に千景様言ってましたもんね、バイトしてみたいって。初のバイト先に我が家を選んでもらえて光栄です。それじゃあ私が帰る日に一緒に行きましょうか」
「うん！ぜひそうさせて！」