【急募】4人同時に求婚してきた時の対処法～クセの強い彼らに溺愛されて困ってます～

ドレス

「今日は君を1日貸し切るから、そのつもりで」

はてなが浮かぶも、大人しく頷く。するといつかのように目隠しをされた。引っ張られて車に乗せられて。
しゅるり。目隠しが解かれる。

「ようこそいらっしゃいました、神ノ杜様、古川様」

そこにいたのは店員さんと思しき人物十数人。後ろには数十着のドレス。その倍以上あるアクセサリー。

「え、ええ！？」
「はい、じゃあ彼女は任せたよ。そうだな、肌が白いから何色でも映えるだろう、僕好みの色は伝えてあるよね？その色中心で」

あれよあれよと試着室に押し込まれてドレスを着せられる。着せられたと思えば試着室のカーテンが開いて。宮治様の細かい反応でそのドレスの合否を判定しているのか私にはドレス姿を確認することさえ出来ない。そろそろ20着を超えた辺りだろうか。宮治様が頷く。
これで終わった…と思うが否や、今度は突然座らされる。え、何？

「口と目を閉じてください」

にこやかな声に言われるまま従えば、なにかのパウダーをはたかれ、化粧をされているんだと気づく。それと同時に髪の毛が引っ張られる感覚。髪の毛もいじられてる…！？小一時間ほど経過して。
慣れないヒール。しゃんと伸びている、もといコルセットにより伸ばされた背筋。あ、宮治様だ。そう声をかけようとしたところ…

「！！！…美しいね」

そう言われてうっとりと微笑まれる。その表情は恍惚としていて、神聖な何かに触れるかのような手つきで手を取られる。

「ああ、本当に…今すぐ唇を奪って、僕の部屋に連れ去りたいよ。ふふっ、その顔、よくわかっていないみたいだね。ほら、おいで」

案内されたのは等身大の鏡。そこに写ったのは…

「え、この方誰ですか？」

鏡の中に写った美しい女性は私が指を指したタイミングで同じようにこちらを指指す。え、まさか…

「？君だよ、みささん。古川みささん」

ほら、と鏡の前に立たせた私の肩を持ってずいと鏡に近づかせる。
ぱちくりと目をまたたけばその人もやはり同じタイミングで目をまたたく。

「わ、わわわ、私！？」

ぺたぺたと思わず顔を触ってしまう。確かによくよく見れば私だ。この目、鼻、唇の形、どれも見覚えがある。

「君は前から化粧をしたら化けるんじゃないかと思っていたけど…予想以上だったね。そうだ、せっかくだし写真も撮ろうか」

宮治様がくいと顎をやる。それだけで店員さんは察知して私たちを綺麗な撮影スペースへと案内してくれる。