【急募】4人同時に求婚してきた時の対処法～クセの強い彼らに溺愛されて困ってます～

僕だけのお姫様

「それにしても、千景様は足が速いんですね、私引っ張ってもらってなかったら絶対置いてかれてましたもん」
「あー、小学生の頃からサッカーやってるから、そのせいかも」
「大学でもサークルに入るご予定なんですか？」
「うん！試合の時は、その…応援に来てくれたら嬉しい、な」
「ええ！行かせてもらいますね！力いっぱい応援します！」
「ふふ、古川さん、応援に熱が入りすぎて熱中症で倒れたりしそう」
「あはは…実際高校生の頃にそんなこともありましたね」
「誰を応援していたの？」

何気なく聞いた言葉だった。でも返ってきたのは驚きの回答だった。

「当時好きだった先輩です。リレーのアンカーで…」

そっか、男性経験はないって言ってたけど、好きになったことはあるんだ…続く言葉はどうしてだか頭に入って来なかった。

「？千景様？」
「はっ！あっ、ごめん、なんて？」
「あ、いえ、なんだか心ここに在らずと言った風だったので思わず声をかけてしまいました」
「ああ、えっと…僕は女性を好きになったことすらないからすごいなって思って」
「え、1度も？」

こくりと頷いてみせると、古川さんは目をまん丸にする。

「でも、告白してくる女の子とか、多かったんじゃないですか？」
「それは…そうだね、ありがたいことに何度か告白してもらったことはあるよ。でも…」
「ふふっ、「僕だけのお姫様」じゃなかったってことですね」
「っ！もう！！！古川さんってば！」

思わず顔が熱くなる。もう兄様ってば本当になんてことを言ってくれたんだ…そんな風に意気消沈していると、古川さんが遠慮がちに声をかけてくる。

「でも、私はその考え方、すっごく好きです。素敵だと思います」

そんなことを、満面の笑みで伝えてくるものだから。

「…アリガトウゴザイマス」

顔を背けながら、そう返すので精一杯だった。でも、考えてみれば。このことを話して笑わなかったのは、真剣に褒めてくれたのは、古川さんが初めてだ…嬉しい、なあ。

それから僕達はもうしばらく散策してから、兄様達のところに戻ったのだった。