【急募】4人同時に求婚してきた時の対処法~クセの強い彼らに溺愛されて困ってます~

あんみつ~白玉をそえて~

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可愛い

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「晶様は確か……大学院に行っていらっしゃるんですよね。建築士って院まで行かないと取れないとかですか?」
「いや、そんなことはないで。でも俺家から色々取れ言われててなあ。将来の夢もなんもないし、まあ親が決めたルートに沿ってやってんのや。みさちゃんは大学行ってへんのやろ?行きたいとかないん?」

大学、大学……正直、こんな閉鎖された田舎じゃ、大学に行く人はほとんど居ない。余程ずば抜けて優秀な人か、何か大学に行ってまでやりたいことがある人だけが行く。私はなんとなく親のペンションを継ぐものだと思っていたし、それには大学も必要なかったから。そんな「なんとなく」で行かないことを選択した。でも。

「……大学って、楽しいですか?」
「めっっっちゃ楽しいで!!!将来官僚になって国を動かしたろ、とか思うてるやつとか、でっかい夢持ったやつらがぎょうさんおる。色々視界も開けるで」

視界、今の私はきっと閉ざされた視界の中にいるんだろうな。それでいいのか?いや、だがそもそも開けることで得られるメリットは?
そんなことを考えている間にどうやら終わったらしい。汗を拭いながら晶様がこちらを振り返る。

「終わったでー!」
「わあ……!すっかり直ってる……本当にありがとうございます!!!」

頭を下げる。

「なにかお礼がしたいんですけど……なにか欲しいものとかありますか?あ、私のお給料じゃ払えないかもですけど……」
「えー気にせんでええのに。あ、でもそやな、なんかしてくれるっちゅーなら……」

にんまりと微笑まれる。あ、これは不味ったか。これはキスとか要求されるパターンか。未だに自分の唇なんぞに価値があるとは思っていないが、あの趣味の悪いゲームのこともある。好きになれとでも言われたらどうしたら。なんて悪い想像ばかりが頭を巡った時。

「……褒めて」
「え?」

気のせいか。今褒めてと聞こえた気がしたが。思わず顔を見やれば、その顔は真っ赤。心なしか俯いているようにも見える。遅れてようやく、彼が本気なんだと知る。なら。私は頭に手を伸ばす。ふんわりとした毛が気持ちいい。

「偉い偉い。いい子ですね、晶様は。毎日頑張っていらっしゃって」

そのまま偉い偉い、なんて言いながら撫で続けていると、さらにどんどん赤くなっていく顔。もう首筋まで赤い。

「も、もうええから……ありがとな」
「いいえ、まだ褒めたりません」

真面目に言うと、もう限界だというように晶様が抱きついてきた。

「もう、どんだけ俺の想像超えたら気が済むん……はあ、好きや。好き、ほんまに」

顔をぐりぐりと押し付けられる。言葉は嘘だらけでも、こういうところはちょっぴり可愛いかも、なんて思ったり。
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