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好きな子
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「困ったわねえ……」
かれこれ頭を悩ませて数十分。母と2人、頭を悩ませる。話は1時間ほど前に遡る。屋根が少し壊れて、天井に穴が空いてしまったのだ。今はまだ雪が降っていないからいいものの、そのうち降り出す予報だ。頼りの父はぎっくり腰。かと言って私たち2人に出来る気はしない。それでいて、業者を呼べば一週間はかかる。
「うーん……」
「お、みさちゃんやん。どしたん?」
ひょっこり顔を出したのは晶様。かくかくしかじか。事情を説明する。
「まあ、業者さんを呼ぼうかねえ」
母の言葉に同意しようとした時。
「うーん、それってどこなん?ちょっと見せて」
「え?」
言葉の意味もわからずとりあえずその場所に連れていけば、うんうんと見て回る。
「普段は親父さんがやっとるんやろ?なら道具はあるよな。それなら俺、修理出来るで」
「え!?いや、お客様にしていただく訳には……というか、晶様そういうこと出来るんですか?」
「おん。俺、設計士目指しとんのや。現場の仕事も一通り覚えよ思うてな」
意外すぎる事実に驚いていると、そのままそこにある工具箱に気づいたらしい。気づけば作業を始めている。
「え、本当にお客様にしていただくのは……大丈夫ですから!!!」
「でも、みさちゃん困っとんのやろ?」
にこりと、純真な顔で微笑んだ。
「好きな子のために何か出来る。それが幸せなことなんやって、気づいたんや」
「……っ」
これはゲーム、これはゲーム。この優しさは全て作り物。決して私に向けた言葉じゃない。わかっていても、改めて確認しなければいけないほど、彼からは真心しか感じ取れなかった。
「……今夜の夕飯、晶様の好きなものにしますね。ありがとうございます。それと、手伝えることがあったらなんでも言ってください」
「なら俺オムライスがええなあ!よろしく頼むで、みさちゃん」
そのまま作業を続ける彼を見守ることしか、私には出来なかった。なんとなく無言なのも変かと思って、私は問いかける。
かれこれ頭を悩ませて数十分。母と2人、頭を悩ませる。話は1時間ほど前に遡る。屋根が少し壊れて、天井に穴が空いてしまったのだ。今はまだ雪が降っていないからいいものの、そのうち降り出す予報だ。頼りの父はぎっくり腰。かと言って私たち2人に出来る気はしない。それでいて、業者を呼べば一週間はかかる。
「うーん……」
「お、みさちゃんやん。どしたん?」
ひょっこり顔を出したのは晶様。かくかくしかじか。事情を説明する。
「まあ、業者さんを呼ぼうかねえ」
母の言葉に同意しようとした時。
「うーん、それってどこなん?ちょっと見せて」
「え?」
言葉の意味もわからずとりあえずその場所に連れていけば、うんうんと見て回る。
「普段は親父さんがやっとるんやろ?なら道具はあるよな。それなら俺、修理出来るで」
「え!?いや、お客様にしていただく訳には……というか、晶様そういうこと出来るんですか?」
「おん。俺、設計士目指しとんのや。現場の仕事も一通り覚えよ思うてな」
意外すぎる事実に驚いていると、そのままそこにある工具箱に気づいたらしい。気づけば作業を始めている。
「え、本当にお客様にしていただくのは……大丈夫ですから!!!」
「でも、みさちゃん困っとんのやろ?」
にこりと、純真な顔で微笑んだ。
「好きな子のために何か出来る。それが幸せなことなんやって、気づいたんや」
「……っ」
これはゲーム、これはゲーム。この優しさは全て作り物。決して私に向けた言葉じゃない。わかっていても、改めて確認しなければいけないほど、彼からは真心しか感じ取れなかった。
「……今夜の夕飯、晶様の好きなものにしますね。ありがとうございます。それと、手伝えることがあったらなんでも言ってください」
「なら俺オムライスがええなあ!よろしく頼むで、みさちゃん」
そのまま作業を続ける彼を見守ることしか、私には出来なかった。なんとなく無言なのも変かと思って、私は問いかける。
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