【急募】4人同時に求婚してきた時の対処法～クセの強い彼らに溺愛されて困ってます～

差

「え、カレンたちじゃん。なんでいんの？」

後ろから出てきた綺羅様の様子を見るに知り合いらしい。そのまま進む会話に耳をすませば、どうやら大学の同級生、同じサークルのメンバーだと言う。近くまで来たから立ち寄ったのだと……と言っても、地元民だからそこまで結構な距離があることがわかってしまう。改めて綺羅様たちご兄弟のモテっぷりに感動していると、一人が何気なく聞いてくる。

「わ、あんたの手何それ？ありえないくらいぼろぼろじゃん」

思わず下を見やれば確かにあかぎれだらけの汚い手。他の方の白魚のような美しく滑らかな肌とは比べ物にならない。

「使用人ならこれくらい普通じゃない？うちの家もそんな感じだよ」
「あ、よくよく考えればうちもだわ」

私の返答抜きでも会話は進んでいく。……正直、手なんて気にしたこと無かった。マニキュアという言葉は知っていたし、見たこともあった、けど。実際に比べてしまうと辛かった。現実を、突きつけられたようで。綺羅様に可愛いと言われた記憶が蘇る。普段からこんなに可愛いらしい人たちと接しているんだ、彼にとっては軽いお世辞で……そこでようやくその言葉に喜びを覚えていた自分がいるとわかる。ああ、お世辞に舞い上がって、なんて恥ずかしい。エプロンの裾を、ぎゅっと握りしめた。それと同時に、引き寄せられる感覚。気付けば、肩に手を回されていた。

「この子、みさちゃんはボクの彼女！」
「はあ！？綺羅に彼女はいないって……」
「うん、この旅行中に一目惚れして口説いた。もう大変だったんだよ～」

唖然とするのは私も同じ。こんな、大学の友達の前で言うなんて。

「……でもならその子とはずっと一緒にいるんでしょ？今日一日くらいはうちらと遊ぼうよ！いい「気分転換」にもなるだろうし」

彼女と紹介された途端、女性たちの視線が鋭く、冷たくなる。あ、私、邪魔だ。

「あの、綺羅様、いってらっしゃいませ」
「ほら、その彼女って子もそう言ってんだし！……というかそもそも、本当に彼女？そんな女が？綺羅が彼女作らないなんて有名すぎるし。ていうか中入るね」

綺羅様の制止も虚しく、みなさまがぞろぞろと入ってくる。