【急募】4人同時に求婚してきた時の対処法～クセの強い彼らに溺愛されて困ってます～

謎な人

ちゃぽん、お湯に足が浸かる。一日の疲れを誰にも邪魔されずに癒せるこの時。私の唯一の完璧リラックスタイム。伸びをして、肩までお湯に浸かって。乳白色のお湯は昔から入っているお馴染みのお風呂だ。思わず鼻歌でも浮かんできそうな時。

ちゃぽん。
別の、何かが入ってくる音。

「……？」

石かなにかか、それとも雨か。そんな私の予想を覆したのはある人の大声だった。

「わわわっ、み、みみみさちゃん！？」

湯けむりの先にいたのは、晶様だった。

「え、なんで晶様がここに……？」
「わーっ！！！何も見てない何も見てないからな！！！」

騒ぎ続ける晶様に、逆に私は冷静になってくる。なるほど、人が焦ると逆に落ち着くものだ。

「晶様、大丈夫です。ここ、色ついてるので見えません」
「え？あ、ほんまや……じゃないわ！！！なんでそんな冷静なん！？」
「え、だって見えませんし……逆に真っ赤ですね、晶様」

この人の事だ。ラッキーとかなんとか言いながら近寄ってきそうなのに。最大限距離を取られている。近寄ってみる。うん、面白いほどの慌てようだ。
私の方が主導権を握れることなんてほとんどないからそれが面白くて。常日頃のお返しも兼ねて、ほんの少し意地悪したくなる。まあ、だって体見えないし。

「いや、その、ほんまに近づかんといて……」
「え、なんでですか？」
「何でも何も……！！！好きな女の子と同じ湯に浸かるってやばいやろ」
「またそんなこと言って……」

ここまで来てその設定引きずるか。呆れ半分に言う。

「と、とにかく俺出るから向こう向いといてや！」
「はい」

大人しく後ろを向く。そりゃ私だって好んで男の人の体を見たい訳でもないし、そうしたら赤面する自信がある。

「にしたって、本当に晶様は謎だなあ」

最初なんて自分から見せてきたのに。まあ、その言い方も語弊があるけど。