【急募】4人同時に求婚してきた時の対処法～クセの強い彼らに溺愛されて困ってます～

咲夜様と

こんこん。軽くノックするも返事はない。まあこれは想定内。次、大きく息を吸って名前を呼ぶ。反応無し。まあ、これも大丈夫。
宮治様の言葉通り、扉に鍵はかかっていない。そろり、扉を開けてもう一度呼ぶ……これでも起きないか。しょうがない、近づいて……近づいて、ゆり起こそうとした瞬間。

「……ん～」

視界が反転して、気づけば、腕の中。え！？

「咲夜様！！！咲夜様！！！起きてください！！！」
「ぽん吉、あんた、喋れるようになったのか……」

何を言っているのか意味がわからないが、とにかくホールドが強い。端正な顔立ちが目の前にあって、腕を腰に回されて。恥ずかしさしかない。

「咲夜様！起きてください！！！」

必死にばんばん胸板を叩いても無反応。ていうか硬っ！もうどうしたらいいのかと途方に暮れた時。聞き覚えのある笑い声が響いてきた。

「あははっ！さっすが咲夜兄さん、想像通り過ぎ～」
「みささんもまだ慣れないのかい？上裸の咲夜に触れたんだろう？」
「触らされたんです！！！」
「まあそろそろ限界っぽいし助けてあげるかね～」

よいしょ、その言葉で晶様が私と咲夜様を引き剥がす。引き剥がされた私はというと速攻でドアの方に逃げ、残された咲夜様は、ぽん吉……とよく分からない名前を呼びながら温もりを探している。そこに一発、晶様がビンタを叩き込んだ。ばちん！大きい大きい音。

「えっ！？晶様何を……？」
「咲夜兄さんはね～晶兄さんのビンタじゃなきゃ目覚めない日がたまにあるんだよね～ちなみに、はい。これ撮れた写真」

スマホに映し出された画面には、私と咲夜様が抱き合って眠っているようにしか見えない写真。

「ちょっ！？消してください！！！」

ぴょんぴょん飛び跳ねるも、ギリギリ届かない。

「はいはーい、頑張れみさちゃん！」

楽しそうな顔に一瞬苛立ちを覚えるも、すぐに引っ込める。お客様相手だ、いけないいけない。

「はい、綺羅、そろそろみささん怒っちゃうから」

ひょいと、綺羅様より10cmは高い宮治様がスマホを取り上げ、消すところを見せてくれる。

「ありがとうございます……」

はあ、よかった。あの画像がもし出回ったら後世まで残る恥だ。そして咲夜様はやっと起きたらしい。周りに全員いることに驚いている。そして何より……

「はっ！！！朝食は！？」
「心配せんでも残してあるって」
「……ふう、ありがとう」

朝食について心配している。私とのことも覚えてないよう。いや、それならそれがいい。こうしてゲーム開始2日目から私は既に苛立つ羽目になったのだった。