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プレゼント
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歩いてそのうち観光客向けにお土産の置いてある店へ向かう。と言っても、この辺りの観光客は少ないから何でも屋のような場所だが。地元でとれる特産品もあれば、アンティークのアクセサリーなんかも売っている、私のお気に入りの店だ。
みんなちらばって、見て回る。来慣れている場所。だけど今日はひとつ、ひとつ違った。
「わあ……!」
思わず声が漏れ出た。そのネックレスはまるで星空を閉じ込めたように輝いていて。キラキラと降り注ぐ霧雨のようで。なんて素敵。
けれど代金は今日持ってきてる分じゃ足りないどころか、全貯金かき集めても届くか届かないかだ。まあ、しょうがない。縁がなかったと思おう。そんな風に考えている時だった。
細く白い、骨ばった手がそのネックレスを横から取った。さっきまで眺めていただけはあって、つい視線がつられる。そこに居たのは宮治様だった。
「?彼女さんへのプレゼントですか?」
「そんなとこだよ」
やっぱりお金持ちはスケールが違うなあ。あれをお土産だと言ってぽんと渡される世界。想像しただけで身震いする。というかそもそも、なんで我が家のペンションに来たんだろう。そんなに高級という訳でもないのに。わざわざ貸し切ってまで。改めて思い返すと不思議な話だ。すると突如、首筋に冷たい感覚が走った。
「ひゃあっ!」
慌てて後ろを振り向けば、ニコニコとした宮治様が立っていた。
首筋の正体はネックレス。しかも、さっきまで見ていたあの素敵な。
「え、えっと……?あ、彼女さん用の試着ですか?」
「ぷっ、ふふっ!あ~あ、見ちゃった見ちゃった。宮治兄さんのかっこ悪いとこ!」
「はははっ!!!兄貴もこの子の前では型なしやなあ」
「こら、お前たち。こういう子に教えてあげるのが楽しいんじゃないか」
綺羅様と晶様は笑っていて、咲夜様は気づけばおせんべいを買って食べていて、宮治様は苦笑している……?私何か悪いことしたのか?不安げな顔をしていることに気付いたのか、宮治様が笑ってこちらに向き直った。
「プレゼントだよ、熱心に見てただろう?ああ、良く似合う。まるで君のために作られたようだね」
「え!?」
「これ本当に気付いてなかったパターンだね~」
「ここまで純粋な子はもう珍しいの域やなあ」
「いや、貰う理由がないです!!!熱心に見てたのは否定しませんけど、こんなに高いもの……」
「みさちゃん僕らのこと忘れちゃったかな~?」
「腐っても神ノ杜ってな」
「逆に返されたら困っちゃうな。僕に彼女はいないし。それに君のために買ったんだ。それなら、君がつけるのが道理じゃないかい?」
……言い返したい気持ちはいっぱいあったけど。実際に食い下がったけど。宮治様は上記のセリフを繰り返すばかりで取り付く島もない。
「……ありがとうございます。大切にします」
結局、深く深く頭を下げたのを満足気に見守られただけだった。
みんなちらばって、見て回る。来慣れている場所。だけど今日はひとつ、ひとつ違った。
「わあ……!」
思わず声が漏れ出た。そのネックレスはまるで星空を閉じ込めたように輝いていて。キラキラと降り注ぐ霧雨のようで。なんて素敵。
けれど代金は今日持ってきてる分じゃ足りないどころか、全貯金かき集めても届くか届かないかだ。まあ、しょうがない。縁がなかったと思おう。そんな風に考えている時だった。
細く白い、骨ばった手がそのネックレスを横から取った。さっきまで眺めていただけはあって、つい視線がつられる。そこに居たのは宮治様だった。
「?彼女さんへのプレゼントですか?」
「そんなとこだよ」
やっぱりお金持ちはスケールが違うなあ。あれをお土産だと言ってぽんと渡される世界。想像しただけで身震いする。というかそもそも、なんで我が家のペンションに来たんだろう。そんなに高級という訳でもないのに。わざわざ貸し切ってまで。改めて思い返すと不思議な話だ。すると突如、首筋に冷たい感覚が走った。
「ひゃあっ!」
慌てて後ろを振り向けば、ニコニコとした宮治様が立っていた。
首筋の正体はネックレス。しかも、さっきまで見ていたあの素敵な。
「え、えっと……?あ、彼女さん用の試着ですか?」
「ぷっ、ふふっ!あ~あ、見ちゃった見ちゃった。宮治兄さんのかっこ悪いとこ!」
「はははっ!!!兄貴もこの子の前では型なしやなあ」
「こら、お前たち。こういう子に教えてあげるのが楽しいんじゃないか」
綺羅様と晶様は笑っていて、咲夜様は気づけばおせんべいを買って食べていて、宮治様は苦笑している……?私何か悪いことしたのか?不安げな顔をしていることに気付いたのか、宮治様が笑ってこちらに向き直った。
「プレゼントだよ、熱心に見てただろう?ああ、良く似合う。まるで君のために作られたようだね」
「え!?」
「これ本当に気付いてなかったパターンだね~」
「ここまで純粋な子はもう珍しいの域やなあ」
「いや、貰う理由がないです!!!熱心に見てたのは否定しませんけど、こんなに高いもの……」
「みさちゃん僕らのこと忘れちゃったかな~?」
「腐っても神ノ杜ってな」
「逆に返されたら困っちゃうな。僕に彼女はいないし。それに君のために買ったんだ。それなら、君がつけるのが道理じゃないかい?」
……言い返したい気持ちはいっぱいあったけど。実際に食い下がったけど。宮治様は上記のセリフを繰り返すばかりで取り付く島もない。
「……ありがとうございます。大切にします」
結局、深く深く頭を下げたのを満足気に見守られただけだった。
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