10 / 153
宮治様と2
しおりを挟む
「ふーっ、ありがとう!すごく楽しかったよ。それにこんなに話が合うならきっとここにある本は全部僕好みだね」
「はい!全部おすすめですよ!」
「ん……?」
突然、つかつかと寄ってこられる。自然?追い込まれて、壁と彼に挟まれる形、いわゆる壁ドンの体勢になる。
「すごく、晶の香り……ごめんね、うちの弟、何かやらかしたかな」
苦笑交じりに言う彼に、先程の出来事が蘇って真っ赤になる。
「ふふっ、真っ赤だね……これは何かやらかしたみたい。責任、とらせて?」
「え、えっと……?」
「君が望むことを教えて?」
艶っぽく、微笑まれる。手に口付けられて、ウインクされて。もう、頭は大混乱。頭に浮かんだ欲望。それはーー
「ほ、本が読みたい……です?」
「ぷっ、ふはっ、あははははっ!そっか、本が読みたいのか!でもこの雰囲気で言える君は、本当にそういう欲望がないみたいだね……でもそういう子に覚え込ませるのって、楽しそう」
最後の言葉は耳元で囁かれたけれど、意味がわからなくて。ただ頭は宮治様に支配されたみたいにぼーっとしてて。
「?」
「ふふっ、今はまだ、知らなくていいよ。そしてそうだな、そんな可愛い君にはプレゼント。何の本がほしい?なんでも取り寄せてあげるよ」
正直に言って、欲しい本は山ほどあった。稀覯本に外国の本。世の中にもう出回ってない本。でもお客様にそんなこと言うなんて絶対にダメだ。私はぶんぶんと全力で首を横に振る。
「むしろ晶様と咲夜様には助けていただいて……」
「あ、咲夜もやらかしたんだね。じゃあ2冊。あるでしょ?欲しい本」
「違っ、そういう意味じゃなくて……!!!」
「ふふっ、焦ってる。可愛いね。でもいいんだよ。本当に……ああでもそうだなあ、今度僕の部屋に招待しようか。それが1番手っ取り早いね。だいたい揃ってるから」
「!?」
招待!?招待!?待って、私は従業員でこの人はお客様で……まとまらない思考のまま、ぼそりと、また耳元で囁かれた。
「そうやって固まる癖、僕達の前だけにしてね?だって……つけ込みやすいよ?」
れろりと耳をそのままひと舐めされて。走った衝撃に、気づけば床にへたりこんでて。
「ふふっ、ぜーんぶ初めてってところかな?いいね、可愛い……」
「宮治様あ!!!そんな寒いとこずっといたら風邪引いちゃいますよう」
あやかさんの声。立ち上がって逃げたい。でも、腰が抜けて上手く立てない。ふわりと抱き抱えられた。そのまま宮治様はとんとんと階段を上がっていく。
「み、宮治様!?私は大丈夫ですから早くあやかさんの元に……」
「立てないのに、大丈夫、なの?僕にはどうにもそう思えないなあ」
私の言葉など気にもとめず宮治様は歩を進める。このままじゃ、見られる。それだけは、嫌だ。恥ずかしい。こんなに男性と接近したことなんてないというのに、顔だって真っ赤で。そんな姿、他人に見られる、なんて。目尻に涙が溜まり始めたとき。
「……はい、ごめんね、冗談はここまで。君もそろそろ立てるだろう。下ろすよ」
意外なほどあっけなく、でもやっぱり手つきは優しく丁寧に、下ろされる。
「あ……」
やっと正気に戻れた気がして、安心からか、肩から力が抜けた。
「じゃあ、僕は先に行くから……君はゆっくり、その熱が引いてから、おいでね」
最後にまた、妖艶に微笑まれて。顔の熱は、しばらく引きそうになかった。
「はい!全部おすすめですよ!」
「ん……?」
突然、つかつかと寄ってこられる。自然?追い込まれて、壁と彼に挟まれる形、いわゆる壁ドンの体勢になる。
「すごく、晶の香り……ごめんね、うちの弟、何かやらかしたかな」
苦笑交じりに言う彼に、先程の出来事が蘇って真っ赤になる。
「ふふっ、真っ赤だね……これは何かやらかしたみたい。責任、とらせて?」
「え、えっと……?」
「君が望むことを教えて?」
艶っぽく、微笑まれる。手に口付けられて、ウインクされて。もう、頭は大混乱。頭に浮かんだ欲望。それはーー
「ほ、本が読みたい……です?」
「ぷっ、ふはっ、あははははっ!そっか、本が読みたいのか!でもこの雰囲気で言える君は、本当にそういう欲望がないみたいだね……でもそういう子に覚え込ませるのって、楽しそう」
最後の言葉は耳元で囁かれたけれど、意味がわからなくて。ただ頭は宮治様に支配されたみたいにぼーっとしてて。
「?」
「ふふっ、今はまだ、知らなくていいよ。そしてそうだな、そんな可愛い君にはプレゼント。何の本がほしい?なんでも取り寄せてあげるよ」
正直に言って、欲しい本は山ほどあった。稀覯本に外国の本。世の中にもう出回ってない本。でもお客様にそんなこと言うなんて絶対にダメだ。私はぶんぶんと全力で首を横に振る。
「むしろ晶様と咲夜様には助けていただいて……」
「あ、咲夜もやらかしたんだね。じゃあ2冊。あるでしょ?欲しい本」
「違っ、そういう意味じゃなくて……!!!」
「ふふっ、焦ってる。可愛いね。でもいいんだよ。本当に……ああでもそうだなあ、今度僕の部屋に招待しようか。それが1番手っ取り早いね。だいたい揃ってるから」
「!?」
招待!?招待!?待って、私は従業員でこの人はお客様で……まとまらない思考のまま、ぼそりと、また耳元で囁かれた。
「そうやって固まる癖、僕達の前だけにしてね?だって……つけ込みやすいよ?」
れろりと耳をそのままひと舐めされて。走った衝撃に、気づけば床にへたりこんでて。
「ふふっ、ぜーんぶ初めてってところかな?いいね、可愛い……」
「宮治様あ!!!そんな寒いとこずっといたら風邪引いちゃいますよう」
あやかさんの声。立ち上がって逃げたい。でも、腰が抜けて上手く立てない。ふわりと抱き抱えられた。そのまま宮治様はとんとんと階段を上がっていく。
「み、宮治様!?私は大丈夫ですから早くあやかさんの元に……」
「立てないのに、大丈夫、なの?僕にはどうにもそう思えないなあ」
私の言葉など気にもとめず宮治様は歩を進める。このままじゃ、見られる。それだけは、嫌だ。恥ずかしい。こんなに男性と接近したことなんてないというのに、顔だって真っ赤で。そんな姿、他人に見られる、なんて。目尻に涙が溜まり始めたとき。
「……はい、ごめんね、冗談はここまで。君もそろそろ立てるだろう。下ろすよ」
意外なほどあっけなく、でもやっぱり手つきは優しく丁寧に、下ろされる。
「あ……」
やっと正気に戻れた気がして、安心からか、肩から力が抜けた。
「じゃあ、僕は先に行くから……君はゆっくり、その熱が引いてから、おいでね」
最後にまた、妖艶に微笑まれて。顔の熱は、しばらく引きそうになかった。
0
お気に入りに追加
62
あなたにおすすめの小説


【R18】幼馴染がイケメン過ぎる
ケセラセラ
恋愛
双子の兄弟、陽介と宗介は一卵性の双子でイケメンのお隣さん一つ上。真斗もお隣さんの同級生でイケメン。
幼稚園の頃からずっと仲良しで4人で遊んでいたけど、大学生にもなり他にもお友達や彼氏が欲しいと思うようになった主人公の吉本 華。
幼馴染の関係は壊したくないのに、3人はそうは思ってないようで。
関係が変わる時、歯車が大きく動き出す。
女子小学五年生に告白された高校一年生の俺
think
恋愛
主人公とヒロイン、二人の視点から書いています。
幼稚園から大学まである私立一貫校に通う高校一年の犬飼優人。
司優里という小学五年生の女の子に出会う。
彼女は体調不良だった。
同じ学園の学生と分かったので背負い学園の保健室まで連れていく。
そうしたことで彼女に好かれてしまい
告白をうけてしまう。
友達からということで二人の両親にも認めてもらう。
最初は妹の様に想っていた。
しかし彼女のまっすぐな好意をうけ段々と気持ちが変わっていく自分に気づいていく。
黒の神官と夜のお世話役
苺野 あん
恋愛
辺境の神殿で雑用係として慎ましく暮らしていたアンジェリアは、王都からやって来る上級神官の夜のお世話役に任命されてしまう。それも黒の神官という異名を持ち、様々な悪い噂に包まれた恐ろしい相手だ。ところが実際に現れたのは、アンジェリアの想像とは違っていて……。※完結しました

4人の王子に囲まれて
*YUA*
恋愛
シングルマザーで育った貧乏で平凡な女子高生の結衣は、母の再婚がきっかけとなり4人の義兄ができる。
4人の兄たちは結衣が気に食わず意地悪ばかりし、追い出そうとするが、段々と結衣の魅力に惹かれていって……
4人のイケメン義兄と1人の妹の共同生活を描いたストーリー!
鈴木結衣(Yui Suzuki)
高1 156cm 39kg
シングルマザーで育った貧乏で平凡な女子高生。
母の再婚によって4人の義兄ができる。
矢神 琉生(Ryusei yagami)
26歳 178cm
結衣の義兄の長男。
面倒見がよく優しい。
近くのクリニックの先生をしている。
矢神 秀(Shu yagami)
24歳 172cm
結衣の義兄の次男。
優しくて結衣の1番の頼れるお義兄さん。
結衣と大雅が通うS高の数学教師。
矢神 瑛斗(Eito yagami)
22歳 177cm
結衣の義兄の三男。
優しいけどちょっぴりSな一面も!?
今大人気若手俳優のエイトの顔を持つ。
矢神 大雅(Taiga yagami)
高3 182cm
結衣の義兄の四男。
学校からも目をつけられているヤンキー。
結衣と同じ高校に通うモテモテの先輩でもある。
*注 医療の知識等はございません。
ご了承くださいませ。
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
明智さんちの旦那さんたちR
明智 颯茄
恋愛
あの小高い丘の上に建つ大きなお屋敷には、一風変わった夫婦が住んでいる。それは、妻一人に夫十人のいわゆる逆ハーレム婚だ。
奥さんは何かと大変かと思いきやそうではないらしい。旦那さんたちは全員神がかりな美しさを持つイケメンで、奥さんはニヤケ放題らしい。
ほのぼのとしながらも、複数婚が巻き起こすおかしな日常が満載。
*BL描写あり
毎週月曜日と隔週の日曜日お休みします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる