異世界転生！？ハレムで側室！？ありえません！！！～平凡な大学生だった私が超一途なハレムの王から溺愛されました～

一夜

時間が過ぎるのは早いもので。彼の告白を了承して、彼の両親に会いに行って。もう結婚式を明日に控えていた。両親は身寄りのない私にも大変優しい方たちで、まるで本当の子供のように寄り添ってくれた。
その晩、私の部屋の扉がノックされた。オファリかな、なんて思いつつ開けると、そこに居たのは、ザキだった。

「チヨ……」

こうして顔を合わせるのは何週間ぶりか。しばらく見ないうちに、彼は随分痩せていた。その変化に驚いていると、突然抱きしめられた。強い、強い力で。

「ザキ……？」

そのまま何も言わない。心配になって肩を叩いて名前を呼べば、突然唇が重なった。しかも、長い。やがて息苦しくなった私が口を開けるとぬるりと舌が侵入してくる。その舌は私の口内を蹂躙し、歯列を舐め上げ、唾液を流し込んだ。拒めなかった。拒まなかった。
はあはあと肩で息をする。ようやく離れたザキと私の間には、つうと銀の糸がひいていた。

「っザキ……？」
「ああ、お前だ……お前だ」

もう一度、ぎゅっと抱きしめられた。

「……お前が好きだ」

顔は、見えなかった。ただ、その体は震えていた。

「……ダメ、だよ。ザキ。分かってるでしょ」
「ダメじゃない」
「ダメなんだよ」

宰相様に言われた言葉が蘇る。決して彼と結ばれることは許せない。国王が、身元不明の女と結ばれるのは、国の宰相として許可できない。ははっ、彼はこれ、見越してたのかな。さすが宰相サマ。

「お前は、俺が嫌いなのか……？」
「……好き、だよ。友人としてね」
「違う、そうじゃない、わかっているだろう。逃げるな……逃げないで、くれ」

あんなに強くて気高いザキが、私に懇願している。あんなにいつも強気に笑うザキが、泣きそうになっている。もう、止められなかった。

「好き、だよ……！！！あなたのこと、愛してる……！」
「！チヨ……」
「今までは、友人愛だって、兄弟愛だって、誤魔化してた。でも、でもでもでも……あなたが、好き」
「～～ッ！！！」

ベッドに押し倒される。抵抗は、しなかった。