異世界転生!?ハレムで側室!?ありえません!!!~平凡な大学生だった私が超一途なハレムの王から溺愛されました~

あんみつ~白玉をそえて~

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稽古

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「次!」
「はっ!!!」

圧巻。その一言だった。ザキは教える側らしい。次々と襲いかかってくる部下をいなし、その度改善点を細かく伝えている。圧倒的に、回転が早い。

「まさかこの人、末端まで稽古見てるとかないよな……」
「そのまさかですよ」

ぬっと現れたのは背の高い、歳の割に伸びた背筋の、さっぱりとした老人。驚きつつも何者かと尋ねると、笑って軍の統括者だと言った。

「とは言っても、我が国は軍縮を王の命令で目指しておりますので、大したことはないのですが」
「軍縮……」

そんな言葉、私から教えたことない。それに今は世界的に物々しい雰囲気が続いているとも聞いた。そんな時に、軍縮。その驚きが顔に出ていたのか、老人は続ける。

「あの方はご両親を戦でなくしておりましてな。戦争や争いごとが嫌いなのです。しかし決して剣の稽古は怠らない。自ら稽古をつけているのも、いざという時それぞれがそれぞれの大切な者を守るためだとおっしゃる……本当に、若いのに立派な人だ」

うんうんと頷く老人の視線を辿れば、そこには常に王がいる。私も、そっと見守った。
眺めていると、そのうち稽古が終わる。ありがとうございましたの言葉と共に去っていく兵とは裏腹に、王はその場に残っている。

「?」
「あの方はこれから、個別で私と鍛錬するのですよ。ほっほっほ、この老いぼれから学べることなど、もうないというのに」

あれだけやった後に!?思わず声を漏らす……水でも、差し入れようか。

「どうぞ」
「ん、ああ、チヨか」
「……貴方はストイックですね」
「これくらい、王として当然だ」

本当に、心の底からの言葉なんだと、何故だか理解できた。
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