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破られた沈黙

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「私は千代、綾瀬千代と言います。19歳。大学生です。そしてここに何故倒れていたのか、前後の記憶が全くありません。サッセリア王国という名前にも聞き覚えがありません。あなたのことも知りません」

周りがざわざわと騒ぎ出す。耳を澄ませば、名前の響き、大学生という言葉、そして何よりサッセリア王国を知らないというところに驚いているようだ……おいおい、これまさか異世界転生とかいうオチじゃないだろうな。じゃないだろうな!?しばらくしてから、王様……でいいのか?が口を開いた。

「状況は理解した。だがそれが真だと示すものは?お前が刺客でないと示す根拠は?」
「……ありません。ですがこんな突拍子もない話をする方がおかしいとは思いませんか?私がもし刺客なら、もっと別の……行き倒れたとか嘘をついて、助けていただいたことに感謝を述べて、あなたに取り入ろうとするでしょう。それにこの体つきからもわかる通り、私は何も特別なことは出来ません」

目の前の男が、初めて真顔以外の表情をした……笑ったのだ。大口を開けて。家臣たちも驚いているのか、場の空気が一気に緩んだ。

「っくっははっ……!!!はははははっ!!!……はあ、そなたのような豪胆な女は久々だ。なかなか面白い。それに話す知能もあるようだ。いいだろう、して、お前は何者だ?何が目的だ?」

よく分からんけど好印象ラッキー!!!

「私は大学生です。目的も何も、記憶がありません」
「ふむ……大学生とはなんだ。聞き覚えのない単語だ」

そのまま日本の教育システムを軽く説明する。義務教育が9年間、その後は高校や就職、色々な道があると。王は真剣な表情で私を眺めて、話に聞き入っていた。
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