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入学式

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「であるからして……」

何回それを言えば気が済むの、なんて気持ちを押し殺し、思わずあくびが出そうになるのをグッと堪える。どうやら校長、もとい学園長の話が長いというのは世界共通みたいだ。けれどここで眠る訳には絶対にいかない。無理やり瞼を押し上げる、
何故ここまで頑張らなければならないのか。ふっふっふっ、そう、それは……在校生の挨拶としてレウザン様が登壇するからだ!このイベントは原作でのレウザン様初登場シーン。自信たっぷりなその瞳に、射貫かれた人は多いはず。

「続いて、在校生挨拶。二年、レウザン・ゼハシュ」

来たっ!
美しく伸びた背筋に、こちらもつられて、無意識のうちに姿勢がただされる。彼が一歩歩くごとに、空気が引き締まっていく。ああ、かっこいい。
その堂々たる姿は、まさに思い描いていた通りだ。
短いようで長いような時間が過ぎ、レウザン様はステージの中央へと到着する。そこにマイクはない。科学技術があまり発達していないこの世界では、声を大きくしたり、変えたりするために、人々は自分の喉に魔法をかける。柔らかい光がレウザン様を取り巻いた。

「まずは入学試験を合格した諸君、おめでとう。ここにいる者は皆、諸君らの入学を歓迎している。」

私達を迎える言葉がつらつらと続く。この時点でも、耳が悲鳴をあげるくらいに幸せなのだが、私が待ち望んでいるのはまだ先だ。まだか、まだか。

「だが!」    

その次の瞬間彼をまとう空気が一変した。

「これで終わりとは思ってはならない。むしろこれからが、”本番”だ。魔術師、学者、医者。志すものも、理由も、様々だ。入学こそが終わりではない。食らいつけ!上を目指せ!貪欲になれ!この短い4年という中で、何を得るか、何を失うかはすべて自分次第だ。悔いの残らぬよう、せいぜい気を引き締めて励め!」

言い切り、靴音を響かせながら去ってゆく。生徒の反応はそれぞれだ。おびえる、目を輝かせる、あっけにとられる。この空気はすべて、レウザン様が作り出したんだ。まさに王者の風格。まだ興奮が覚めない。

それに何より、これで作中一努力家なところが最高にかっこいい。16歳という若さで周りの重圧も期待も、すべて一身に請け負っている。リーシェンを勉強においての努力家とするならば、彼は人生の努力家。思わずため息が漏れる。
数々の名シーンに思いを馳せ、ほくほくした気分のまま、入学式は続いていった。
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