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エルフの女王
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深い森の中、最後に会った時と寸分たがわぬ美しさをたたえながら、女王は俺たちを歓迎した。どうやらエルフの間でも俺の作る棺は有名らしい。
「それではその依頼のために、我が谷のみに咲く月光花の種が欲しい、と。」
「ああ、頼めるか」
断られたらこれ以上金を積むつもりだった。一瞬の静寂の後、女王は意外なほどあっさりと頷いた。
「ええ、もちろん。いつ帰るのですか?最後に渡すよう命じておきますわ」
「あ、ああ。明後日には発つつもりだ」
承知しました。と笑顔で答える女王に安堵する。エルフは古来より魔法を使う一族。戦いとなれば負けるつもりはないが、出来れば友好的な関係でいたい。ほっとしてふと隣にいるリエルを見やる。緊張からか、その体は動かない。ひょいと覗き込むと、彼は頬を紅に染めて、一点を見つめていた。ただ一点、女王を。
その後召使いに通された部屋で、一息つく。時計を見ればもう朝を迎えるところだった。リエルが疲れきっていたこともあって、会話もほどほどに、俺たちは床についた。ただ1つ、胸に理解し難い、何か酷くざわついたものを感じながら。
「それではその依頼のために、我が谷のみに咲く月光花の種が欲しい、と。」
「ああ、頼めるか」
断られたらこれ以上金を積むつもりだった。一瞬の静寂の後、女王は意外なほどあっさりと頷いた。
「ええ、もちろん。いつ帰るのですか?最後に渡すよう命じておきますわ」
「あ、ああ。明後日には発つつもりだ」
承知しました。と笑顔で答える女王に安堵する。エルフは古来より魔法を使う一族。戦いとなれば負けるつもりはないが、出来れば友好的な関係でいたい。ほっとしてふと隣にいるリエルを見やる。緊張からか、その体は動かない。ひょいと覗き込むと、彼は頬を紅に染めて、一点を見つめていた。ただ一点、女王を。
その後召使いに通された部屋で、一息つく。時計を見ればもう朝を迎えるところだった。リエルが疲れきっていたこともあって、会話もほどほどに、俺たちは床についた。ただ1つ、胸に理解し難い、何か酷くざわついたものを感じながら。
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