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第9/終わらない、鬼の数え歌。

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 ここは、僕だけの場所、
 皆でかくれんぼをした場所、
 屋台で買った思い出の残骸がたどり着き、
 飛んでいってしまったヘリウム風船が、
 ゆらゆらと彷徨う場所、
 ただ忘れられていくだけの、場所。

 僕は知っている。
 この場所が、創られた世界だってことを。

 創られた祭りにまよいこんだ人間は……
 そのことにも気がつかず。

 何回も見る悪夢のように終わり、
 二度と帰らぬ過去のように繰り返す。


 夏のおまつり。
 おはやしの音が、遠ざかる。

 夏の祭りが、終わる音。
 月の満ちる音。
 不思議な不思議な月の光。

 終わる、祭り。
 夏の祭り。

 そして、
 そこには、
 狐の仮面がひとつ落ちているだけ……
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