8 / 10
第8/もういいよ
しおりを挟む
「只今、祭りの現場からお伝えしております」
黒子が人形を二つもってくる。それは、ガンマとデルタと同じ服を着たかわいい人形であった。
アナウンサは、黒子からそれを受け取り、先ほどの人形の横に置いた。3体の人形がここに集う。
「僕らは鬼に見つかれば」
暗がりの中でベータは空を見上げ、つぶやいた。
「人形……?」
黒子から手渡され、アナウンサーはそうつぶやいた。アナウンサと、ベータの声が重なった。
再び電気が消え、暗闇が襲う。
「今日は本当に停電が多いね。電気使いすぎなんじゃないの」
祭り客の男の声。
「この作為的な闇。迷い込んだ幻には、出口はない。あるとすれば……」
ベータは暗がりを渡り歩く。
「それにしても、空が綺麗ね」
祭り客の女の声。
「もう手遅れだよ。みんな、みつかっ……」
「あ、流れ星だぞ」
「ん? あ、消えちゃった……」
男と女の声。
「あーあー……停電といったハプニングがありましたが、皆様は楽しんでいるようです。えーあー、以上、暗闇の大祭りの現場から、中継でお伝えしました」
アナウンサは、人ごみの中に混じり、もうどこへ行ったか分からない。
月の光が、点いた。月蝕は終わり、月の光が戻ってきた。
地面に散らばる、たくさんの人形たち。男も女もすべて白い無地の人の形で形どっている。その中に、ベータと同じ服を着た人形も紛れ込んでいた。
「……6、7、8、9、10。もういいかい?」
鬼は言うが、誰も答えない。何も聞こえない。鬼は散らばった、人形を拾い始める。
「さぁ、かくれんぼしようか。新しい仲間がこんなに、たくさんいるしね。……じゃあ、数えるから隠れて。でも、外の祭りに行っちゃ駄目だよ。いなくなった子が、たくさんいるから。本当にたくさん……」
隠々鬼は、再び数を数えだした。
「1、2、3、4、5、6、7……」
黒子が人形を二つもってくる。それは、ガンマとデルタと同じ服を着たかわいい人形であった。
アナウンサは、黒子からそれを受け取り、先ほどの人形の横に置いた。3体の人形がここに集う。
「僕らは鬼に見つかれば」
暗がりの中でベータは空を見上げ、つぶやいた。
「人形……?」
黒子から手渡され、アナウンサーはそうつぶやいた。アナウンサと、ベータの声が重なった。
再び電気が消え、暗闇が襲う。
「今日は本当に停電が多いね。電気使いすぎなんじゃないの」
祭り客の男の声。
「この作為的な闇。迷い込んだ幻には、出口はない。あるとすれば……」
ベータは暗がりを渡り歩く。
「それにしても、空が綺麗ね」
祭り客の女の声。
「もう手遅れだよ。みんな、みつかっ……」
「あ、流れ星だぞ」
「ん? あ、消えちゃった……」
男と女の声。
「あーあー……停電といったハプニングがありましたが、皆様は楽しんでいるようです。えーあー、以上、暗闇の大祭りの現場から、中継でお伝えしました」
アナウンサは、人ごみの中に混じり、もうどこへ行ったか分からない。
月の光が、点いた。月蝕は終わり、月の光が戻ってきた。
地面に散らばる、たくさんの人形たち。男も女もすべて白い無地の人の形で形どっている。その中に、ベータと同じ服を着た人形も紛れ込んでいた。
「……6、7、8、9、10。もういいかい?」
鬼は言うが、誰も答えない。何も聞こえない。鬼は散らばった、人形を拾い始める。
「さぁ、かくれんぼしようか。新しい仲間がこんなに、たくさんいるしね。……じゃあ、数えるから隠れて。でも、外の祭りに行っちゃ駄目だよ。いなくなった子が、たくさんいるから。本当にたくさん……」
隠々鬼は、再び数を数えだした。
「1、2、3、4、5、6、7……」
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説
だから、私は愛した。
惰眠
ホラー
一生に一度の本気の愛情を注ぐ。愛するから愛されるわけではないことはわかっている。それでも愛するのって素敵でしょ?すべてを捨てでもいいと思えるほど私にとって貴方は魅力的だってこと、少しはわかって。彼女は精一杯の思いを込めて、愛を捧げた。彼女は一途だった。
貴方も私の心の中を覗きたいみたいね。
もっと狂ってしまえばいいのに。
暗夜の灯火
波と海を見たな
ホラー
大学を卒業後、所謂「一流企業」へ入社した俺。
毎日毎日残業続きで、いつしかそれが当たり前に変わった頃のこと。
あまりの忙しさから死んだように家と職場を往復していた俺は、過労から居眠り運転をしてしまう。
どうにか一命を取り留めたが、長い入院生活の中で自分と仕事に疑問を持った俺は、会社を辞めて地方の村へと移住を決める。
村の名前は「夜染」。
その影にご注意!
秋元智也
ホラー
浅田恵、一見女のように見える外見とその名前からよく間違えられる事が
いいのだが、れっきとした男である。
いつだったか覚えていないが陰住むモノが見えるようになったのは運が悪い
としか言いようがない。
見たくて見ている訳ではない。
だが、向こうは見えている者には悪戯をしてくる事が多く、極力気にしない
ようにしているのだが、気づくと目が合ってしまう。
そういう時は関わらないように逃げるのが一番だった。
その日も見てはいけないモノを見てしまった。
それは陰に生きるモノではなく…。
THE TOUCH/ザ・タッチ -呪触-
ジャストコーズ/小林正典
ホラー
※アルファポリス「第6回ホラー・ミステリー小説大賞」サバイバルホラー賞受賞。群馬県の山中で起こった惨殺事件。それから六十年の時が経ち、夏休みを楽しもうと、山にあるログハウスへと泊まりに来た六人の大学生たち。一方、爽やかな自然に場違いなヤクザの三人組も、死体を埋める仕事のため、同所へ訪れていた。大学生が謎の老人と遭遇したことで事態は一変し、不可解な死の連鎖が起こっていく。生死を賭けた呪いの鬼ごっこが、今始まった……。
あるある
ちょこぼーらー
ホラー
よくある怪談話。
あなたはこれ、聞いたこと、ある?
小説家になろうでも掲載。
前後と蛇足っぽいタイトル回収の全3話。
ホラー大賞に参加します。
よろしければぽちっと1票お願いします!
前中後+αになりました。
一話完結で書き始めたはずなのに……。
あるある!
最終死発電車
真霜ナオ
ホラー
バイト帰りの大学生・清瀬蒼真は、いつものように終電へと乗り込む。
直後、車体に大きな衝撃が走り、車内の様子は一変していた。
外に出ようとした乗客の一人は身体が溶け出し、おぞましい化け物まで現れる。
生き残るためには、先頭車両を目指すしかないと知る。
「第6回ホラー・ミステリー小説大賞」奨励賞をいただきました!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる