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七夕に咲く花
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すみれはいつもと違う目的で病院にきた。今日は七夕会である。
「すごい、将棋ってこんなに人気があるの?」
将棋大会は小学生から80歳のおじいちゃんまでいて盛況だった。
「将棋はメジャースポーツだからな。」
将棋をバカにされては蓮が黙っていない。
「日菜、はしゃいじゃだめだよ。」
すみれははらはらする。
日菜ちゃんといるとなぜか小姑のようになってしまう自分がいる。
でもよかった。日菜ちゃんに元気がもどった。
お互い入院したり通院したりしてるから体調が悪い時を知っている。でも、今回の日菜ちゃんの入院時の暗くしずんだ顔は初めてだった。
元気になってほしい。
自分のことを忘れて日菜の回復を祈った。そして、祈りが通じたのか、日菜はまた前にたいにうるさいくらいの元気をふりまいている。
でも、うるさいくらいが丁度いいんだよね。今では素直にそう思える。
すみれは今まで「ここではないどこか」にいつも夢みていた。病気でない自分を夢みて、友達に対しても、病院で出会い、ただ同い年の子が自分たちしかいないという理由で仲良くなった日菜ではなく、どこかに本当の友達がいると。
でも気が付いた。自分にも本気で心配できる友達がいて、心配してくれる友達がいることを。本当の自分は理想とおりではないけどここにいて、本当の友達も理想どおりではないけど、そんなこと気にならないくらい大切な存在であることを。
そして、もう一人。話しかけられないくらい真剣な顔で将棋をうっている横顔に目を向ける。蓮
初めて自分のピアノを聞いてみたいと言ってくれた人。無愛想で超がつくほど真面目で、全然笑ってくれない人。でも、すみれが落ち込んでいるのを気にしてくれた人。
今まですみれは蓮のことを真面目なとっつきにくい人だと思っていた。でも、でもその一件からどうしても蓮のことが気になった。当の蓮とはそれ以降も特に仲良くなったわけでも、たくさん話すようになったわけでもないのだが。
かっこいい。
蓮の将棋。初めてみた。ぴんと伸びた背中と、将棋をさす音。普段ならぶっきらぼうでこわく思える横顔も、王者の風格のように思えた。そして、どうしてそこに置くんだろうと思っている間に、いつの間にか「大手」と言って、あっけなく対局は終了。
もっと見たい、蓮の将棋。
すみれは日菜にばれないようにするのに必死だった。
蓮がこんなに騒がしい場所で将棋をするのは初めてだった。今は小学生のガキ相手に将棋をしている。将棋と言っていいのかわからないけど。
「ちょっと待て。おやつを食べながらはやめろ。」
将棋以前の小言ばかりだ。
「兄ちゃん怒ってるの?」
「いや、この兄ちゃんは怒ってそうに見えるかもだけど喜んでるんだよ。怒ってたらもっと声が低いんだ。」
「へえー。」
和葉が助け船をだしてくれた。和葉は兄妹がいるから慣れているのかもしれない。双子といえど。
おれも変わったな。和葉が言ったとおり確かにうれしいんだ。今までどう勝つか、どうしたら強くなるかばかり考えていた。自分の物語に飾る成果を探していた。でも今日はみんな楽しんでいるかが気になって、でも結局自分が一番楽しんでいた。
「本当にそこにおいていいんだな?一回だけチャンスをあげるよ。」
「チャンス?ありがとう。」
このガキ、いや少年の記憶の片隅に残ってふとした時に思い出してくれたらいい。あの時将棋をして楽しかったなって。
そして蓮はすみれを見る。あいつらの記憶に残ってほしい。みんなでがんばった七夕会。楽しかったなって。
七夕会は最後のすみれのコンサートだけとなった。病院の食堂にグランドピアノが置かれ、観客席が作られた小さなコンサート会場は半分以上席がうまっていた。
すみれ、緊張してるな。蓮は舞台袖からピアノの椅子までの距離を歩くすみれを見て思った。
すみれの歩き方はロボットみたいになっていた。観客席の真ん中に蓮は座っていた。すみれの緊張が蓮にも伝わってきた。
でもあいつなら大丈夫だ。
舞台袖の日菜も祈るようなまなざしだ。
「やっぱりあいつら友達なんだな。」
そう思えることが蓮にとっても幸せだった。
すみれの指先が白鍵にふれた。静寂から音楽がつむぎだされ、すみれの世界につつまれた。
すみれはピアノが好きだった。でも、それはピアノを弾く自分が好きだったり、ドレスが好きなのとそんなに変わりがなかった。自分の弾くピアノにうっとり酔ったりもした。でも、そうすると先生に怒られた。「左はもっと小さく。」「テンポは一定に。」
すみれには理由がわからなかった。こんなに自分は気持ちよく弾いているのになんでダメなんだろう。でも、この一か月ちょっとで何がダメだったかよくわかった。
今まで自分のためだけに弾いていた。聞いてくれる人のことを考えていなかった。聞いてくれる人がどんな気分になるか、どう感じるか、考えてもなかった。
今すみれは蓮に伝えたい。日菜に聞いてほしい。自分も生きていることを。すみれにとって日菜も蓮も大切な存在であることを。どんな困難も生きぬいて幸せになってほしいと願っていることを。
すみれは自分の五感全部を演奏にむけた。ある時は体から、ある時は手首から抑揚をつける。細かな旋律は指先に全神経を集中させつつ、耳だけは別人のようにメロディーを客観的にとらえていた。
すみれの演奏が終わった時、蓮の目から涙がでた。日菜は舞台袖ですみれと抱き合っていた。
「あの明るいのがこと座のベガだよ。少し離れたところにあるのがわし座のアルタイル。はくちょう座のベネブは少し見えにくいけどあれ。本当は一番明るいけど、遠いから明るく見えないんだ。」
七夕会が終わったあと、すみれと蓮は二人でこっそり夜空を見ていた。蓮の解説で今まで無関係だった星が思い出となる。蓮の声と夏の大三角。
「今日はありがとう。」
すみれは星空の力を借りて素直に言えた。
「うん。」
もっとダメ出しやらいろいろ返ってくるかと思ったら蓮は微かに「うん。」と言っただけだった。
「蓮のおかげで生まれて初めて主役になれたよ。」
「それは大げさだな。」
蓮は笑っていった。あのあたりが天の川だよ。目をこらすと夜空にはたくさん星があった。
「お前の物語におれはちゃんといる?」
星を見たまま蓮がきいた。
「当たり前だよ。いつもずっと私の隣にいるよ。」
すみれは星ではなく蓮を見た。どうすれば伝わるだろう。
「来年も再来年も絶対しようね。」
出てきた言葉は単純な言葉しか出てこなかった。こんな言葉で伝わるかな。
「ああ。約束だな。」
蓮は小指をさしだし、二人は指切りをした。
初めてふれた蓮の小指は骨ばっていて強く大きくかった。
「絶対生きようね。二人で絶対生きようね。」
すみれの目から涙がでた。すると、蓮がすみれの頭を優しくなでてくれた。
「すごい、将棋ってこんなに人気があるの?」
将棋大会は小学生から80歳のおじいちゃんまでいて盛況だった。
「将棋はメジャースポーツだからな。」
将棋をバカにされては蓮が黙っていない。
「日菜、はしゃいじゃだめだよ。」
すみれははらはらする。
日菜ちゃんといるとなぜか小姑のようになってしまう自分がいる。
でもよかった。日菜ちゃんに元気がもどった。
お互い入院したり通院したりしてるから体調が悪い時を知っている。でも、今回の日菜ちゃんの入院時の暗くしずんだ顔は初めてだった。
元気になってほしい。
自分のことを忘れて日菜の回復を祈った。そして、祈りが通じたのか、日菜はまた前にたいにうるさいくらいの元気をふりまいている。
でも、うるさいくらいが丁度いいんだよね。今では素直にそう思える。
すみれは今まで「ここではないどこか」にいつも夢みていた。病気でない自分を夢みて、友達に対しても、病院で出会い、ただ同い年の子が自分たちしかいないという理由で仲良くなった日菜ではなく、どこかに本当の友達がいると。
でも気が付いた。自分にも本気で心配できる友達がいて、心配してくれる友達がいることを。本当の自分は理想とおりではないけどここにいて、本当の友達も理想どおりではないけど、そんなこと気にならないくらい大切な存在であることを。
そして、もう一人。話しかけられないくらい真剣な顔で将棋をうっている横顔に目を向ける。蓮
初めて自分のピアノを聞いてみたいと言ってくれた人。無愛想で超がつくほど真面目で、全然笑ってくれない人。でも、すみれが落ち込んでいるのを気にしてくれた人。
今まですみれは蓮のことを真面目なとっつきにくい人だと思っていた。でも、でもその一件からどうしても蓮のことが気になった。当の蓮とはそれ以降も特に仲良くなったわけでも、たくさん話すようになったわけでもないのだが。
かっこいい。
蓮の将棋。初めてみた。ぴんと伸びた背中と、将棋をさす音。普段ならぶっきらぼうでこわく思える横顔も、王者の風格のように思えた。そして、どうしてそこに置くんだろうと思っている間に、いつの間にか「大手」と言って、あっけなく対局は終了。
もっと見たい、蓮の将棋。
すみれは日菜にばれないようにするのに必死だった。
蓮がこんなに騒がしい場所で将棋をするのは初めてだった。今は小学生のガキ相手に将棋をしている。将棋と言っていいのかわからないけど。
「ちょっと待て。おやつを食べながらはやめろ。」
将棋以前の小言ばかりだ。
「兄ちゃん怒ってるの?」
「いや、この兄ちゃんは怒ってそうに見えるかもだけど喜んでるんだよ。怒ってたらもっと声が低いんだ。」
「へえー。」
和葉が助け船をだしてくれた。和葉は兄妹がいるから慣れているのかもしれない。双子といえど。
おれも変わったな。和葉が言ったとおり確かにうれしいんだ。今までどう勝つか、どうしたら強くなるかばかり考えていた。自分の物語に飾る成果を探していた。でも今日はみんな楽しんでいるかが気になって、でも結局自分が一番楽しんでいた。
「本当にそこにおいていいんだな?一回だけチャンスをあげるよ。」
「チャンス?ありがとう。」
このガキ、いや少年の記憶の片隅に残ってふとした時に思い出してくれたらいい。あの時将棋をして楽しかったなって。
そして蓮はすみれを見る。あいつらの記憶に残ってほしい。みんなでがんばった七夕会。楽しかったなって。
七夕会は最後のすみれのコンサートだけとなった。病院の食堂にグランドピアノが置かれ、観客席が作られた小さなコンサート会場は半分以上席がうまっていた。
すみれ、緊張してるな。蓮は舞台袖からピアノの椅子までの距離を歩くすみれを見て思った。
すみれの歩き方はロボットみたいになっていた。観客席の真ん中に蓮は座っていた。すみれの緊張が蓮にも伝わってきた。
でもあいつなら大丈夫だ。
舞台袖の日菜も祈るようなまなざしだ。
「やっぱりあいつら友達なんだな。」
そう思えることが蓮にとっても幸せだった。
すみれの指先が白鍵にふれた。静寂から音楽がつむぎだされ、すみれの世界につつまれた。
すみれはピアノが好きだった。でも、それはピアノを弾く自分が好きだったり、ドレスが好きなのとそんなに変わりがなかった。自分の弾くピアノにうっとり酔ったりもした。でも、そうすると先生に怒られた。「左はもっと小さく。」「テンポは一定に。」
すみれには理由がわからなかった。こんなに自分は気持ちよく弾いているのになんでダメなんだろう。でも、この一か月ちょっとで何がダメだったかよくわかった。
今まで自分のためだけに弾いていた。聞いてくれる人のことを考えていなかった。聞いてくれる人がどんな気分になるか、どう感じるか、考えてもなかった。
今すみれは蓮に伝えたい。日菜に聞いてほしい。自分も生きていることを。すみれにとって日菜も蓮も大切な存在であることを。どんな困難も生きぬいて幸せになってほしいと願っていることを。
すみれは自分の五感全部を演奏にむけた。ある時は体から、ある時は手首から抑揚をつける。細かな旋律は指先に全神経を集中させつつ、耳だけは別人のようにメロディーを客観的にとらえていた。
すみれの演奏が終わった時、蓮の目から涙がでた。日菜は舞台袖ですみれと抱き合っていた。
「あの明るいのがこと座のベガだよ。少し離れたところにあるのがわし座のアルタイル。はくちょう座のベネブは少し見えにくいけどあれ。本当は一番明るいけど、遠いから明るく見えないんだ。」
七夕会が終わったあと、すみれと蓮は二人でこっそり夜空を見ていた。蓮の解説で今まで無関係だった星が思い出となる。蓮の声と夏の大三角。
「今日はありがとう。」
すみれは星空の力を借りて素直に言えた。
「うん。」
もっとダメ出しやらいろいろ返ってくるかと思ったら蓮は微かに「うん。」と言っただけだった。
「蓮のおかげで生まれて初めて主役になれたよ。」
「それは大げさだな。」
蓮は笑っていった。あのあたりが天の川だよ。目をこらすと夜空にはたくさん星があった。
「お前の物語におれはちゃんといる?」
星を見たまま蓮がきいた。
「当たり前だよ。いつもずっと私の隣にいるよ。」
すみれは星ではなく蓮を見た。どうすれば伝わるだろう。
「来年も再来年も絶対しようね。」
出てきた言葉は単純な言葉しか出てこなかった。こんな言葉で伝わるかな。
「ああ。約束だな。」
蓮は小指をさしだし、二人は指切りをした。
初めてふれた蓮の小指は骨ばっていて強く大きくかった。
「絶対生きようね。二人で絶対生きようね。」
すみれの目から涙がでた。すると、蓮がすみれの頭を優しくなでてくれた。
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