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支柱
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そして、その時はやってきた。
5時間目の後の休み時間。教室のドアが勢いよく開く。血相を変えた担任の先生が入ってきた。
「里宮くん、ちょっと。」
「はい。」
続きは言われなくてもわかった。日菜が倒れたんだ。すぐさま保健室に向かった。
保健室では倉木が付き添ってくれていた。倉木も心配しておどおどしていた。
「体育は見学してたんだけどね。今日は音楽もあって、移動が多かったから疲れたのかな。」
まるで自分を責めているかのような口調だった。
「倉木、ありがとう。大丈夫だよ。」
日菜を見ると唇が真っ青になっている。手をにぎると冷たくなっていた。
「日菜。おれが来たよ。わかるか?大丈夫だからな。」
手を一生懸命こすった。少しでも暖かくなるように。
「おれの体温わけてやるよ。だから大丈夫だ。」
呪文のように大丈夫といった。大丈夫になるように。
「和葉、ごめんね。たぶん、私ばちがあたったんだ。」
苦しそうな口からこの上ない弱気な言葉がでた。
「私、和葉とケンカした時思ったの。もしここで倒れたら和葉は心配してとんできてくれるかなって。そんなこと願ってしまったから、きっとこうなっちゃったんだ。」
そんなに傷つけてしまってたんだ。自分のせいで。
「もし罰を受けるならおれが受けるよ。おれが受けてはねかえすから、安心しろ。」
日菜を勇気づける言葉なら全部並べたい。全部届いてほしい。
「日菜は生きるんだ。生きる物語を書くんだろ。」
唇は青い。手も冷たい。まだ足りていないのか。
「日菜は生きる。生まれる前から一緒にいたおれが言ってるんだ。間違いない。日菜は生きる。」
確かに日菜はうなずいた。届いたのか。きっと日菜なら乗り越えてくれるはずだ。
その時ドアが開いて、お母さんが迎えにきた。
「日菜、もう大丈夫よ。お母さんが来たからね。今から病院に行くからね。すぐ先生診てくれるからね。」
それから日菜は担架に乗せられて、病院へ向かった。
大丈夫。
その言葉は自分にも言い聞かせていた言葉だった。
絶対日菜は大丈夫。
逃げてはだめだ。しんどいのは日菜なんだ
だから、おれが泣いたらだめなんだ。しっかり腹に力を入れて、信じる。支えるんだ。
体にぎゅっと力が入っているまま保健室を出ると倉木が見えた。待っていてくれたようだ。倉木の目が赤くなっていた。
「待っててくれてたんだ。心配かけてごめんな。」
日菜の病状を伝えていなかったから、よけいにびっくりしただろうな。和葉は申し訳なく思った。
「あやまることないよ。あやまりたいのは私なの。」
教室まで一緒に帰ることにした。倉木と二人で話をするのはいつぶりだろう。もう6時限目が始まるチャイムがなったので長い廊下は二人だけだった。
「私中学に入ってから、少し日菜ちゃんにいじわるをしてしまったの。」
「そうなの?」
気づかなかった。倉木がいじわるをする姿を想像できなかったし、二人の間に何かあったのかも全然気づいてなかった。
「私今までの自分と変わりたくて。よく大人しいって言われて、いつもだれかのかげに隠れてて。そんな自分を変えたくて、テニス部に入ってみたの。」
倉木がテニス部に入ったことは日菜も驚いていた。そんな理由があったなんて。和葉は自分が人の気持ちに全然気づいてないことに気づいた。
「でも、入っただけで自分が変わるわけないよね。練習についていくのも必死なうえに、周りのおしゃべりについていくのも必死。笑うのもあいづちをうつのも全部必死。必死な自分にも情けなくなってきたときに、ふと日菜ちゃんを見るとね。」
倉木はそこで、一息ついた。
「日菜ちゃんは今までと変わらず、和葉くんの話をしたり、ドラマの話をしたり、今までと何も変わらないまま笑っているの。私こんな努力してるのにって思うと腹がたってしまって。それで、わざと日菜ちゃんが会話に入ってこれない話題ばかり他の友達としゃべったりしてたんだ。」
和葉は少しほっとした。それなら大丈夫だ。
「それならおれも同じだよ。おれはそれで日菜と大ゲンカしたんだ。朝一緒に登校してない時期があっただろ?ゴールデンウィークあけた頃。」
「確かに。日菜ちゃん元気ない時があった。私のせいかと思っていたら和葉くんもだったのかな。」
「完全におれのせいだよ。でもそのおかげで、日菜は前に進んだんだよ。今、日菜めちゃくちゃがんばってただろ?」
おれが「おかげ」というのはおかしい表現だが。
「うん、日菜ちゃん今すごく楽しそうにしてたね。小説書くの、すごくはりきってた。」
「ハンデを負いながら、それにふてくされずに受け止めて自分の夢を持って歩き始めたんだ。あいつまじですごいよな。」
果穂は中学に入ってからは「日菜」とよんでいたのに、今はちゃんづけで呼んでいることに気づいた。その方が自然だった。やっぱりまだ子どもなんだなと思ったけれど、背伸びしていない自分にほっとした。
和葉くんのおかげかしら。そう気づいたとたん、果穂はあせった。もう一つ言いたい話があったのだ。
でもどう切り出したらいいの。もう渡り廊下まで来てしまっている。
「話かわるけど、和葉くん野球がんばってるんだよね。朝も一人トレーニングしてるって。」
「そういえばさ、朝ランニングから帰ってくるといつも倉木のおじいちゃんが野菜をくれるんだ。ありがとうな。」
「え!おじいちゃん。」
せっかく切り出したのに、おじいちゃんの話になるとは。顔が真っ赤になった。
「毎朝おじいちゃん早起きだよな。おれの体の一部は果穂のじいちゃんの畑でできてると思うよ。本当にありがたい。」
「やだ、うちだけじゃ食べきれないから、あげてるんだと思う。ごめんね。」
しまった。このままじゃおじいちゃんの話になってしまう。果穂は急いでつけくわえた。
「てか、和葉くん、きっと野球めちゃくちゃ上手になってるんだろうな。いつか試合応援に行きたいな。」
やっと言えた。果穂は心の中で自分に拍手をおくった。
「いや、みんなについてくのに必死だからね。でも倉木も朝練始めたんでしょ?毎朝素振りしてるって。おじいちゃんが言ってたよ。」
「え?おじいちゃんそんな話もしてるの?」
家が近いと隠したいことも伝わってしまう。できればおじいちゃんからでなく自分から話たかったのにな。果穂は心の中で地団駄をふんだ。
「みんなそれぞれがんばってるんだな。」
和葉くんは窓の外を見ていた。昨日降った雨はまだ乾いていない。桜の葉っぱに露として残り、日差しをあびてきらきら光っていた。
「私ね、和葉くんががんばってるの見て私もがんばろうと思ったんだ。だから、ありがとうね。お互いがんばろうね。」
ずっと言いたかったことを言えた時、もう4組の教室の前まで来ていた。
「おう、それじゃ。今日は心配かけてごめんな。」
和葉くんはすたすた行ってしまった。
和葉くんは気づいていないだろうな。「お互いがんばろうね」っていう言葉を言うのにどれだけ苦労したか。どれだけ言いたかったか。
でも、あきらめないからね。
あっけなく別れた和葉の背中に果穂は誓った。
5時間目の後の休み時間。教室のドアが勢いよく開く。血相を変えた担任の先生が入ってきた。
「里宮くん、ちょっと。」
「はい。」
続きは言われなくてもわかった。日菜が倒れたんだ。すぐさま保健室に向かった。
保健室では倉木が付き添ってくれていた。倉木も心配しておどおどしていた。
「体育は見学してたんだけどね。今日は音楽もあって、移動が多かったから疲れたのかな。」
まるで自分を責めているかのような口調だった。
「倉木、ありがとう。大丈夫だよ。」
日菜を見ると唇が真っ青になっている。手をにぎると冷たくなっていた。
「日菜。おれが来たよ。わかるか?大丈夫だからな。」
手を一生懸命こすった。少しでも暖かくなるように。
「おれの体温わけてやるよ。だから大丈夫だ。」
呪文のように大丈夫といった。大丈夫になるように。
「和葉、ごめんね。たぶん、私ばちがあたったんだ。」
苦しそうな口からこの上ない弱気な言葉がでた。
「私、和葉とケンカした時思ったの。もしここで倒れたら和葉は心配してとんできてくれるかなって。そんなこと願ってしまったから、きっとこうなっちゃったんだ。」
そんなに傷つけてしまってたんだ。自分のせいで。
「もし罰を受けるならおれが受けるよ。おれが受けてはねかえすから、安心しろ。」
日菜を勇気づける言葉なら全部並べたい。全部届いてほしい。
「日菜は生きるんだ。生きる物語を書くんだろ。」
唇は青い。手も冷たい。まだ足りていないのか。
「日菜は生きる。生まれる前から一緒にいたおれが言ってるんだ。間違いない。日菜は生きる。」
確かに日菜はうなずいた。届いたのか。きっと日菜なら乗り越えてくれるはずだ。
その時ドアが開いて、お母さんが迎えにきた。
「日菜、もう大丈夫よ。お母さんが来たからね。今から病院に行くからね。すぐ先生診てくれるからね。」
それから日菜は担架に乗せられて、病院へ向かった。
大丈夫。
その言葉は自分にも言い聞かせていた言葉だった。
絶対日菜は大丈夫。
逃げてはだめだ。しんどいのは日菜なんだ
だから、おれが泣いたらだめなんだ。しっかり腹に力を入れて、信じる。支えるんだ。
体にぎゅっと力が入っているまま保健室を出ると倉木が見えた。待っていてくれたようだ。倉木の目が赤くなっていた。
「待っててくれてたんだ。心配かけてごめんな。」
日菜の病状を伝えていなかったから、よけいにびっくりしただろうな。和葉は申し訳なく思った。
「あやまることないよ。あやまりたいのは私なの。」
教室まで一緒に帰ることにした。倉木と二人で話をするのはいつぶりだろう。もう6時限目が始まるチャイムがなったので長い廊下は二人だけだった。
「私中学に入ってから、少し日菜ちゃんにいじわるをしてしまったの。」
「そうなの?」
気づかなかった。倉木がいじわるをする姿を想像できなかったし、二人の間に何かあったのかも全然気づいてなかった。
「私今までの自分と変わりたくて。よく大人しいって言われて、いつもだれかのかげに隠れてて。そんな自分を変えたくて、テニス部に入ってみたの。」
倉木がテニス部に入ったことは日菜も驚いていた。そんな理由があったなんて。和葉は自分が人の気持ちに全然気づいてないことに気づいた。
「でも、入っただけで自分が変わるわけないよね。練習についていくのも必死なうえに、周りのおしゃべりについていくのも必死。笑うのもあいづちをうつのも全部必死。必死な自分にも情けなくなってきたときに、ふと日菜ちゃんを見るとね。」
倉木はそこで、一息ついた。
「日菜ちゃんは今までと変わらず、和葉くんの話をしたり、ドラマの話をしたり、今までと何も変わらないまま笑っているの。私こんな努力してるのにって思うと腹がたってしまって。それで、わざと日菜ちゃんが会話に入ってこれない話題ばかり他の友達としゃべったりしてたんだ。」
和葉は少しほっとした。それなら大丈夫だ。
「それならおれも同じだよ。おれはそれで日菜と大ゲンカしたんだ。朝一緒に登校してない時期があっただろ?ゴールデンウィークあけた頃。」
「確かに。日菜ちゃん元気ない時があった。私のせいかと思っていたら和葉くんもだったのかな。」
「完全におれのせいだよ。でもそのおかげで、日菜は前に進んだんだよ。今、日菜めちゃくちゃがんばってただろ?」
おれが「おかげ」というのはおかしい表現だが。
「うん、日菜ちゃん今すごく楽しそうにしてたね。小説書くの、すごくはりきってた。」
「ハンデを負いながら、それにふてくされずに受け止めて自分の夢を持って歩き始めたんだ。あいつまじですごいよな。」
果穂は中学に入ってからは「日菜」とよんでいたのに、今はちゃんづけで呼んでいることに気づいた。その方が自然だった。やっぱりまだ子どもなんだなと思ったけれど、背伸びしていない自分にほっとした。
和葉くんのおかげかしら。そう気づいたとたん、果穂はあせった。もう一つ言いたい話があったのだ。
でもどう切り出したらいいの。もう渡り廊下まで来てしまっている。
「話かわるけど、和葉くん野球がんばってるんだよね。朝も一人トレーニングしてるって。」
「そういえばさ、朝ランニングから帰ってくるといつも倉木のおじいちゃんが野菜をくれるんだ。ありがとうな。」
「え!おじいちゃん。」
せっかく切り出したのに、おじいちゃんの話になるとは。顔が真っ赤になった。
「毎朝おじいちゃん早起きだよな。おれの体の一部は果穂のじいちゃんの畑でできてると思うよ。本当にありがたい。」
「やだ、うちだけじゃ食べきれないから、あげてるんだと思う。ごめんね。」
しまった。このままじゃおじいちゃんの話になってしまう。果穂は急いでつけくわえた。
「てか、和葉くん、きっと野球めちゃくちゃ上手になってるんだろうな。いつか試合応援に行きたいな。」
やっと言えた。果穂は心の中で自分に拍手をおくった。
「いや、みんなについてくのに必死だからね。でも倉木も朝練始めたんでしょ?毎朝素振りしてるって。おじいちゃんが言ってたよ。」
「え?おじいちゃんそんな話もしてるの?」
家が近いと隠したいことも伝わってしまう。できればおじいちゃんからでなく自分から話たかったのにな。果穂は心の中で地団駄をふんだ。
「みんなそれぞれがんばってるんだな。」
和葉くんは窓の外を見ていた。昨日降った雨はまだ乾いていない。桜の葉っぱに露として残り、日差しをあびてきらきら光っていた。
「私ね、和葉くんががんばってるの見て私もがんばろうと思ったんだ。だから、ありがとうね。お互いがんばろうね。」
ずっと言いたかったことを言えた時、もう4組の教室の前まで来ていた。
「おう、それじゃ。今日は心配かけてごめんな。」
和葉くんはすたすた行ってしまった。
和葉くんは気づいていないだろうな。「お互いがんばろうね」っていう言葉を言うのにどれだけ苦労したか。どれだけ言いたかったか。
でも、あきらめないからね。
あっけなく別れた和葉の背中に果穂は誓った。
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