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千秋楽

第3話

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-本番30分前-
「じゃーそろそろ準備をお願いします」

現場スタッフが私達に声を掛ける。

「「宜しくお願い致します。」」

私達はそう返した。

「会場は盛り上がってるみたいだよー」

先程迄このライブの確認で離れていた、ウチのチームマネージャーでもある島田さんが私達の所に戻って言ってきた。流石千秋楽とあってか、会場は初めての満員御礼だそうだ。私達は緊張と最終日という気合の気持ちの中で準備に入った。
因みに今回のライブはコンサートホール‥ではなく、今までもそうだったけど、とあるライブハウスで行われる。と言っても、地域の有名処のライブハウスをチョイスしているので、まぁまぁ経費が掛かっているらしい。流れとしては新曲を含めて6曲のオリジナル曲を歌う。MC等含めても約30分の短時間ライブだ。その後はサイン会並びに握手会があり、合計で1時間前後ってとこ。

「長い様で短いライブが今日で終わるのかーー」

如何にもライブ終了した感を出して、背伸びしながら話す最年少の愛ちゃん。

「ほんとにー?私なんかやっとかよって感じなんだけど」

そう言ったのは私。私達にはモープロが所持している劇場が2つあり、半月交代で普段から行き来しつつ、それとは別にチーム練習や個人練習で通っているダンス教室やジム。ただでさえゆとりがないのに、今回はそれプラス、慣れないツアーが入って来たもんだから、個人的に限界状態となっている。言ってしまえば毎日アイドルしている。正直、半年間でツアーを回るのだが、4つ目くらいのツアー場所では、”私は一体何のためにアイドルやってるんだろう”って自暴自棄になり掛けていた。相談しようにも折角のチームの人気が急上昇している大事な時だから、ずっと抱え込んでる。
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