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1.貧乳は婚約破棄の要件に含まれますか?!

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―――ああ、大変なことを聞いてしまいました!




衝撃のあまり声が出そうになるのを何とか耐えて、私は息を潜めました。

私がここにいると気付かれたら困ったことになります。
早くこの場から離れなければと思うのに、足は凍りついたように固まって、全く動いてくれません。

あの時、教室に戻ろうと思わなければ…
私は何も知らずに幸せなままでいられたのに…

ドクドクと心臓が嫌な音を立てて痛いほどです。
苦しくて心臓の辺りを手で抑えると、手のひらに感じるささやかな膨らみ。
抗うことのできない現実を突き付けられて、ますます心拍数が上がってきました。




ああ、なんてことでしょう…

私の婚約者が、まさか、まさか、巨乳好きだったなんて…!!










皆さま、ごきげんよう。

私は伯爵令嬢のリリアと申します。
今回の話では私が主役だと聞いてとても驚きました。

だって私は同じクラスの公爵令嬢ジェシカ様のように高貴な身分も女神のような美しさもあるわけではないですし、
男爵令嬢アメリ様のように愛くるしい見た目も素晴らしい才能もあるわけではないのです。

平々凡々とはまさに私のこと。

もちろん貴族であるだけで恵まれていると思いますし、見た目も…まぁ…両親とお兄様には家族の贔屓目で「可愛い可愛い」と言ってもらえる程度ではあります。

ただ、通常の物語であれば主人公のクラスメイトの一人に過ぎない私が、何故今回主役に選ばれたのか。
それは婚約者であるアスラン様の秘密を知ってしまったからでしょう。


アスラン様は侯爵家の次男でいらっしゃいます。
私の父とアスラン様のお父上が古くから交流があったため、幼い頃から私たちは婚約者という立場にありました。

アスラン様は子供の頃から体格が良くて、私はアスラン様と初めてお会いした時、失礼ながらクマさんみたいだと思った記憶があります。
騎士団への入団を志したアスラン様は、背は高くしっかりとした体躯で、キリっとした眉に凛々しい顔立ちのとても素敵な方で…

…と、すみません、少々惚気てしまいました。

とにかくとても格好良くて、そして優しい方なのです。


一方、私は女性の平均よりも背が低く、髪型は長い髪を編みこんで一つにまとめて少しでも大人っぽく頑張っているのですが、童顔のせいでアスラン様と並んで立つと妹にしか見えません。
同い年なのに…

それでもアスラン様は私を淑女として扱ってくださいます。
手紙や贈り物も定期的に贈ってくださり、こんな素晴らしい方が私の婚約者で本当に良いのだろうかと常々思っておりました。


そんな時に聞いてしまった、アスラン様巨乳好き発言!

私の胸は…とても巨乳とは言い難く…
誰かと比べたことはありませんが、むしろ、平均よりも小さいのではないかと密かに思っておりました。

それでなくても釣り合っていないのではないかと心配に思っていたのに、アスラン様の好みからも大きくかけ離れているだなんて。


どうしよう、と思っても、こればっかりはどうすることも出来ません。

ただ、私には一縷の望みがありました。

クラスメイトのアメリ様は、魔具の発明が得意だと聞いております。
アメリ様が作った魔具についてジェシカ様とよく議論を交わしているお姿を拝見しました。


―――アメリ様に巨乳になれる魔具を作ってもらえれば、私の胸がアスラン様の求める大きな胸に変わるかもしれない!

目指せジェシカ様サイズ!


ささやかな胸に希望を抱き、私は早速行動に移すことにしました。







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