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8 -Huit-

サプライズ大作戦

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「堂々とテオを紹介してやりなさい。こっちもサプライズだ」

 そう言っておじいちゃんは、お茶目な顔でウィンクをした。

 僕はこのサプライズ大作戦を伝えるため、テオの家へ戻った。また布団に潜っているテオの横に座って話をすると、テオは慌てて飛び起き、急いで支度をはじめる。僕も一緒に洗面台の前に立ってボサボサの髪を整えていたら、鏡の中でテオと目が合って、二人で思わず吹き出して笑った。二人で並んで歯磨きをして、身だしなみチェックをしたら最後にちょっとだけキス。すると今度はおじいちゃんから電話があり、お父さんとお母さんが最寄りのバス停を降りて向かってきていると教えてくれた。

「よし、行こう」

 頷き合って手を繫ぎ、二人で家を出る。おじいちゃんの家のソファに座って寛いでいても、なんだか妙に落ち着かない。心なしかテオも緊張した顔をしていて、顔が強張っていた。そして連絡があってから数分した後、玄関からチャイムの音がした。

「おっ、来た来た」

 おじいちゃんの作戦通り、僕たちはまだ姿を見せず、ソファに座って待つ。そして玄関まで行って二人を迎え入れると、おじいちゃんは軽い挨拶を済ませて家の中へ招き入れた。

「お久しぶりです、お父さん。元気でしたか?」
「ああ元気だ。凛々子さんは?」
「私も元気にやってましたよ」
「父さん、優理は?」
「ん? 奥で待ってるよ」

 先導して歩きながら、ソファに座っている僕たちにウィンクする。作戦通り『出ておいで』の合図を見た僕たちは、二人で立ち上がり姿を見せた。

「やあお父さん、お母さん」
「優理! おお、元気そうだな」
「よかった、優理! 今年のクリスマスは仕事が立て込んでて連絡もできなかったけど、元気にしてた? なんだか顔色が良さそう」

 二人からのハグを受け、僕は素直にそれを受け止める。

「急すぎてビックリしたよ~」
「年末年始は休みが取れたから、オリヴィエとも話してこっちに来ようって計画してたの。優理がどうしてるか心配だったし、それに……」

 何かを言い掛けて、お母さんは僕の後ろに立つテオに目を向けた。そしてお父さんと顔を見合わせ二人でニヤリと笑い合ったと思ったら。

「優理の大切な人にも会いたかったからっ!」

 むず痒そうな声でそう言って、お母さんはテオの腕にしがみついた。

「はあ?! えっなんで僕まだ何も」
「ふっふっふっ。隠し通せると思ってるの? 優理の情報ツウがずっとそばに付いてたのに?」

 その言葉を聞いて、僕はハッとした。僕の情報ツウ、それは……

「おじいちゃん?!」
「サプラーイズ」

 何そのテッテレーみたいなの!
 おじいちゃんは両手を広げておどけてみせる。日本のドッキリネタばらしみたいな感じで。

「え、なにわかんない。結局僕が騙されたってこと?」
「騙されたんじゃなくて、サプライズっ。ね、テオさん」
「え? はあ……」

 巻き込まれたテオも、お母さんに腕を組まれたまま固まって、僕みたいに困惑した顔をしている。

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