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8 -Huit-
愛情表現はまだ序の口 ※
しおりを挟むマルシェ・ド・ノエルを存分に楽しんだあと、街でリュカさんと別れたら、僕たちはテオの家へ直行した。
玄関に入るなりすぐに抱き締められ、腕の中に収まった僕は彼の背中に腕を回して抱きしめ返すと、彼の匂いをたくさん吸い込んだ。
「テオの匂い……落ち着く……」
「ユウリ……随分俺を煽るのが上手くなったね」
「だって、ほとんど毎日テオにやらしく育てられてきたんだもん。そりゃあなた好みになりますよ」
「ふっ、そんなことも言えるようになっちゃって」
優しく体を離されて、両手で頬を包まれる。
「こんな僕、いや?」
「ううん。かわいい。すごく好き」
「ん……っ」
熱を帯びた瞳で見つめられ、ふわりと微笑まれる。それだけで僕の胸はキュゥッと甘く締め付けられるのに、彼の包み込むような優しい声でそんなふうに言われたら、キスも、その先も、早く欲しいと欲張りになってしまう。
彼がするより先に僕が彼の唇を奪いに行ったら、一瞬驚いた様子を見せたけどすぐに僕の口を覆うようにキスを返された。噛みつくような激しさと、舌で唇を舐め取られるような行為に腰が砕けそう。僕も口を開いて応戦してみるけれど、やっぱりテオのほうが上手で全然敵わない。舌を絡め取って吸われたら、気持ちよくて力が抜けちゃう。もう立っていられなくなりそうで、背中に回した手で彼の服を掴んだら、口を離したテオがニヤリと笑って僕の腰を引き寄せた。
「硬くなっちゃったね、ほら」
「あっ……」
腰を押し付けられ、テオの硬くなった股間と僕のソレが擦り合わされる。それだけで僕のモノは下着の中でピクっと反応してしまう。
「シャワーいこ? ユウリ」
「ん……」
頭がふわふわして手を引かれるままシャワーへ向かう。手早く服を脱がされて、もう至れり尽くせり。抱き合うようにお互いの全身を洗い合い、時折テオの指先が僕の蕾をノックする。優しく捏ねられ指先を少し入れて擽られたら、堪らずに腰が震えてしまう。
「あっ……ま、まって……」
「ん?」
「と、トイレで綺麗にしてくるから」
「いいよ、ここで。俺が綺麗にしてあげる」
「え! そ、そんな……汚いの見せちゃう、やだ」
「俺は見たい。ユウリの全部。だからここで……」
「あ、っだ、だめ……っぅぅ」
その言葉通り、全部見られて綺麗にされた。いつも自分でしていることをテオにされ、それだけでもとんでもなく泣きそうに恥ずかしかったのに、「綺麗になったよ」ってお尻の穴を舐め尽くされて、イかされて。完全に立っていられなくなった僕はテオに抱えられてベッドに連れてこられ……そう。僕は今まさに、打ち上げられたマグロ。
「うぅ……恥ずかしすぎるムリ……」
「恥ずかしがることないよ、ユウリ。これも愛情表現~」
僕をベッドに下ろしたあとマウスウォッシュをしに行って戻って来たテオが、うつ伏せで枕に顔を埋めて動かない僕の首の後ろにキスをする。日本語で呟いていたのに、言葉は通じなくても僕の態度でわかったみたい。
「あんなふうに綺麗にされたの、初めてだった?」
「初めてだよ。だから恥ずかしすぎて消えたい」
「んん、消えないでユウリ~」
チラッと振り返って睨むようにテオを見た。けれどきっと僕の顔は、真っ赤に染まっていたんだと思う。涙目だったこともあって、それがテオの心を擽ったみたいだ。体を転がされて仰向けにされると、労わるようにテオは僕の顔にたくさんキスをしてくれた。
「でもよかった、俺が初めてで」
「え?」
「もしアイツが先にしてたら、俺はもっとアイツを許せないところだった」
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