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7 -Sept-
ここにいるはずのない人
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フライドポテト、チュロス、プレッツェルにラクレット。目移りしそうな出店の数々に、ワクワクが止まらない。本能のまま一通り食べたいものを食べて、雑貨を見て回った。温かそうなルームウェアやモコモコした帽子、壺やお皿、本も売ってる。
「あ。オーナメントかわいい」
「買う? どれがいい?」
「んー、でもこのあいだも別のマルシェで買ったからなあ」
「何個あってもいいでしょ。気に入ったのあれば買って飾ろう」
僕たちのやり取りを見ていたリュカさんが、なにやら口元をニヤつかせている。
「リュカさん? どうしたの?」
「ん? いやなんか、二人見てるとこっちまで幸せな気持ちになるなぁって思ってさ」
「あっ……」
「リュカも恋人作って来ればいい」
「うん、そうだね。……って違う、俺じゃなくて優理とテオの話!」
「あぁ。羨ましいのかと思った」
「コイツっ、可愛くないな!」
しれっとした顔で言うテオに、リュカさんがヘッドロックをかける。そんな二人のやり取りを見ていることが、僕も幸せだなって思う。
僕よりもずっと前から二人は知り合いで、友達。セフレだったとか言ってたけど、それはリュカさんを慰めるための一時的なカンケイだったと、前に二人が言っていた。優しい二人が作り出した、最善の手段だったんだろうな。そんな何でも曝け出せる相手がいることに、ちょっと羨ましさを感じる。時折、僕の入る隙間がなくなる瞬間があって、少しだけ寂しい気持ちになるのはナイショだけど。
二人のやり取りを横目に、僕は他の雑貨も見ようと傍にあるスノードームに手を伸ばした。すると同時に隣から手が伸びてきて、指先がぶつかってしまった。
「あっすみません!」
「いえ! こちらこそ」
咄嗟に出てしまった日本語に返ってきた返事は、日本語。
妙な嬉しさを感じで顔を上げると、その人は、絶対ここにいるはずのない人だった。
「え……」
「松下、くん」
「――……小此木先生」
なんで、なんで、なんで先生がここにいるの?!
「あ。オーナメントかわいい」
「買う? どれがいい?」
「んー、でもこのあいだも別のマルシェで買ったからなあ」
「何個あってもいいでしょ。気に入ったのあれば買って飾ろう」
僕たちのやり取りを見ていたリュカさんが、なにやら口元をニヤつかせている。
「リュカさん? どうしたの?」
「ん? いやなんか、二人見てるとこっちまで幸せな気持ちになるなぁって思ってさ」
「あっ……」
「リュカも恋人作って来ればいい」
「うん、そうだね。……って違う、俺じゃなくて優理とテオの話!」
「あぁ。羨ましいのかと思った」
「コイツっ、可愛くないな!」
しれっとした顔で言うテオに、リュカさんがヘッドロックをかける。そんな二人のやり取りを見ていることが、僕も幸せだなって思う。
僕よりもずっと前から二人は知り合いで、友達。セフレだったとか言ってたけど、それはリュカさんを慰めるための一時的なカンケイだったと、前に二人が言っていた。優しい二人が作り出した、最善の手段だったんだろうな。そんな何でも曝け出せる相手がいることに、ちょっと羨ましさを感じる。時折、僕の入る隙間がなくなる瞬間があって、少しだけ寂しい気持ちになるのはナイショだけど。
二人のやり取りを横目に、僕は他の雑貨も見ようと傍にあるスノードームに手を伸ばした。すると同時に隣から手が伸びてきて、指先がぶつかってしまった。
「あっすみません!」
「いえ! こちらこそ」
咄嗟に出てしまった日本語に返ってきた返事は、日本語。
妙な嬉しさを感じで顔を上げると、その人は、絶対ここにいるはずのない人だった。
「え……」
「松下、くん」
「――……小此木先生」
なんで、なんで、なんで先生がここにいるの?!
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