上 下
31 / 44
7 -Sept-

大事にしてくれるのは嬉しいけど……

しおりを挟む
 秋の肌寒い季節も、冬になり雪の降る日も、いつだって彼がそばにいてくれた。
 食事に出掛けたり散歩をしたり、デパートや服屋に行って買い物したり、色んな所に連れて行ってくれてたくさんデートをした。
 そして、夜も。彼をしっかり受け入れられるように少しずつ、彼の指で解されていく。僕が「もう入りそう?」と何度聞いても「まだだよ。痛くしたくないから辛抱して」と返される。「先っぽだけでも入るよね?」と言ってみれば「煽らないでユウリ」と諭される。体は隅々まで愛されて、口でしゃぶり合ったり擦り合ったり、お尻を指や舌で気持ち良くしてくれはするのに、挿入は全然してくれない。そうやって焦らしに焦らされ、ついには秋も越えて年末になってしまった。
 クリスマスを目前に控えてどこかソワソワするパリの街。夜はイルミネーションが街を彩り、僕らもテオの仕事終わり、夕食がてらに散歩することが多くなった。

「はぁぁー……もう僕、限界かも」
「なに、どうしたの?」

 今日はテオが働いているパン屋へ迎えに行く前に、リュカさんのカフェへ寄った。いつものカウンター席に座って紅茶を飲み、頬杖をついて息を吐く。日本語で話し出した僕に何かを察してくれたのか、カウンターの向こう側で夜の仕込みをしていたリュカさんは、スツールを持ってきて僕の前に座り、作業をしながら話を聞いてくれた。

「テオが、全然入ってきてくれないんです」
「どこに?」
「僕のなか」

 リュカさんは、おっと! と驚いた顔をして目を見開き僕を見た。

「随分大胆な話だった」

 そう言ってクスクスと笑いながら、また作業の手を動かし始める。

「笑い事じゃないんですよぉ。お尻は解され慣れてきてジンジンするし、動いて何かしてないとウズウズしてくるし……」
「それは大変だ」
「もうそろそろ大丈夫だと思うって言っても、まだだよって。僕の誘いに全然乗ってくれないんです」
「それだけ大事にしてるってことじゃない? 優理のこと」
「うぅ……そう、かもだけど……」

 大事にされ過ぎてるせいで、僕のカラダはおかしくなりかけてる。このままじゃ、わがままで強欲な自分の醜い内面まで引きずり出されそうで、こわい。こんなふうになったのなんて、初めてだ。こんなに欲しくなったのなんて、初めて。

「ダメだ、思い出して疼きそう」
「かわいい~。ホットミルク飲む? 落ち着くかもよ」
「飲みます」

 テオの仕事が終わるまで時間がある。僕はもう少しここでゆっくりすることにした。

「まあ明日はクリスマスイブだし、期待して待ってたら? 一緒に過ごすんでしょ?」
「はい。夕方はおじいちゃんと、おじいちゃんのお友達さんとテオの四人で食事して、夜は二人でって約束してます。クリスマスも」

 フランスで過ごす初めてのクリスマス。すごく楽しみにしてた。

「あ。ほら、噂をすれば」

 リュカさんが店の入り口に目を向け、微笑んだ。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?

すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。 「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」 家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。 「私は母親じゃない・・・!」 そう言って家を飛び出した。 夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。 「何があった?送ってく。」 それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。 「俺と・・・結婚してほしい。」 「!?」 突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。 かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。 そんな彼に、私は想いを返したい。 「俺に・・・全てを見せて。」 苦手意識の強かった『営み』。 彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。 「いあぁぁぁっ・・!!」 「感じやすいんだな・・・。」 ※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。 ※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。 ※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。 ※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。 それではお楽しみください。すずなり。

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?

すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。 翔馬「俺、チャーハン。」 宏斗「俺もー。」 航平「俺、から揚げつけてー。」 優弥「俺はスープ付き。」 みんなガタイがよく、男前。 ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」 慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。 終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。 ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」 保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。 私は子供と一緒に・・・暮らしてる。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 翔馬「おいおい嘘だろ?」 宏斗「子供・・・いたんだ・・。」 航平「いくつん時の子だよ・・・・。」 優弥「マジか・・・。」 消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。 太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。 「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」 「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」 ※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。 ※感想やコメントは受け付けることができません。 メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

王子を身籠りました

青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。 王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。 再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。

男子高校生だった俺は異世界で幼児になり 訳あり筋肉ムキムキ集団に保護されました。

カヨワイさつき
ファンタジー
高校3年生の神野千明(かみの ちあき)。 今年のメインイベントは受験、 あとはたのしみにしている北海道への修学旅行。 だがそんな彼は飛行機が苦手だった。 電車バスはもちろん、ひどい乗り物酔いをするのだった。今回も飛行機で乗り物酔いをおこしトイレにこもっていたら、いつのまにか気を失った?そして、ちがう場所にいた?! あれ?身の危険?!でも、夢の中だよな? 急死に一生?と思ったら、筋肉ムキムキのワイルドなイケメンに拾われたチアキ。 さらに、何かがおかしいと思ったら3歳児になっていた?! 変なレアスキルや神具、 八百万(やおよろず)の神の加護。 レアチート盛りだくさん?! 半ばあたりシリアス 後半ざまぁ。 訳あり幼児と訳あり集団たちとの物語。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 北海道、アイヌ語、かっこ良さげな名前 お腹がすいた時に食べたい食べ物など 思いついた名前とかをもじり、 なんとか、名前決めてます。     *** お名前使用してもいいよ💕っていう 心優しい方、教えて下さい🥺 悪役には使わないようにします、たぶん。 ちょっとオネェだったり、 アレ…だったりする程度です😁 すでに、使用オッケーしてくださった心優しい 皆様ありがとうございます😘 読んでくださる方や応援してくださる全てに めっちゃ感謝を込めて💕 ありがとうございます💞

Take On Me

マン太
BL
 親父の借金を返済するため、ヤクザの若頭、岳(たける)の元でハウスキーパーとして働く事になった大和(やまと)。  初めは乗り気でなかったが、持ち前の前向きな性格により、次第に力を発揮していく。  岳とも次第に打ち解ける様になり…。    軽いノリのお話しを目指しています。  ※BLに分類していますが軽めです。  ※他サイトへも掲載しています。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

赤ずきんちゃんと狼獣人の甘々な初夜

真木
ファンタジー
純真な赤ずきんちゃんが狼獣人にみつかって、ぱくっと食べられちゃう、そんな甘々な初夜の物語。

処理中です...