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1 -Un-
最悪の出会い
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――おじいちゃんと暮らし始めて、数日経ったある朝。
少し早く目が覚めてしまったので、パッサージュの中を散歩でもしてこようかと、歩廊を渡って出口の扉へ向かっていると、向かいの通路に人影が見えた。パッサージュのガラス天井で足元しか見えないけれど、たぶん、男の人が二人。柵に寄り掛かって、何か話をしているみたい。この居住スペースに来て初めてのお向いさんだ。ちょっと緊張するけど、ちゃんと挨拶しなきゃ。
僕は少し気合を入れて、立ち止まっていた歩廊を再び歩きだした。ゆっくり足を進めて行くと、だんだんとその姿が近づいてくる。大丈夫、大丈夫。そう思いながら歩廊を渡り切って顔を覗かせた、その時。僕は朝からとんでもない光景を目撃してしまった。
(キス、してる……)
濃厚なキスをしている。男の人が二人で。お互いの腰に腕を回して、舌を絡めて。
小さく聞こえるやらしい音。息に漏れて聞こえる声。戯れのようにしている外国の人のキスに一瞬見惚れそうになったけど、それよりも僕の中で、嫌悪感の方が、勝ってしまった。
現場を目撃して固まっている僕に気付いたのは、柵に寄り掛かっていた男の人。
「ん! んん、っちょ、テオ待って」
「……なに」
慌てる男の人と、妙に冷静な顔で僕をじっと見つめてくる相手の男。その人は僕の存在を確認した途端、驚いたような顔をして目を見開いた。一瞬何かを言いたそうに見えたけど、僕は冷めた無の表情を二人に向けて、その場を立ち去った。
「……さいっあくだ」
少し早く目が覚めてしまったので、パッサージュの中を散歩でもしてこようかと、歩廊を渡って出口の扉へ向かっていると、向かいの通路に人影が見えた。パッサージュのガラス天井で足元しか見えないけれど、たぶん、男の人が二人。柵に寄り掛かって、何か話をしているみたい。この居住スペースに来て初めてのお向いさんだ。ちょっと緊張するけど、ちゃんと挨拶しなきゃ。
僕は少し気合を入れて、立ち止まっていた歩廊を再び歩きだした。ゆっくり足を進めて行くと、だんだんとその姿が近づいてくる。大丈夫、大丈夫。そう思いながら歩廊を渡り切って顔を覗かせた、その時。僕は朝からとんでもない光景を目撃してしまった。
(キス、してる……)
濃厚なキスをしている。男の人が二人で。お互いの腰に腕を回して、舌を絡めて。
小さく聞こえるやらしい音。息に漏れて聞こえる声。戯れのようにしている外国の人のキスに一瞬見惚れそうになったけど、それよりも僕の中で、嫌悪感の方が、勝ってしまった。
現場を目撃して固まっている僕に気付いたのは、柵に寄り掛かっていた男の人。
「ん! んん、っちょ、テオ待って」
「……なに」
慌てる男の人と、妙に冷静な顔で僕をじっと見つめてくる相手の男。その人は僕の存在を確認した途端、驚いたような顔をして目を見開いた。一瞬何かを言いたそうに見えたけど、僕は冷めた無の表情を二人に向けて、その場を立ち去った。
「……さいっあくだ」
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