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愛されてるって錯覚しそう
先輩からのアドバイス
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「しっかしコータもなかなか大胆なことやってんなぁ……」
言いながら先輩は、俺から離れていく。
「え?」
「いやこっちの話。じゃあお尻は? してもらってみた? コータに手取り足取り」
「し、してもらってません! てか、それはさすがに、頼めないですよ……」
「ええー? なんでよ」
「だって自分で出来るようにならなきゃ、航ちゃんのセフレたちの中で一番になんて、なれないから……」
俺の言葉を聞いて、先輩が以前のようにまた、眉間をピクっと寄せた。
「うーん。そもそもコータにとっては比べる対象じゃないと思うけどな、あっくんは」
「それって、俺がノンケとかいうやつだからですか? 端から土俵にも立ててないってこと?」
「いやいやそうじゃなくて」
「わかってるんです。スタートラインを間違った俺には告白する資格もないし、何を言ったって信じてもらえないって。それでも信じてもらうためには、甘えちゃダメなんですよ。隣に居させてもらうためには、みんながやってるコト、俺も自分で出来るようにならなきゃ」
「んー……スタートライン、ねぇ……」
ナギ先輩は眉間にシワを寄せながら唇を尖らせ、難しい顔をして空を仰いだ。
「そんな重く考えなくていいんじゃないかなぁ。告白する資格だって、なくはないでしょ」
「でも!」
「彼女作ってたから資格がないとか思ってる? そんなの言い訳にしてたら、何時まで経っても先には進めないよ」
「……だけどっ」
「好きになった時点で、気付いた時点で資格はある。そう思わなきゃ」
そうかもしれないけど、なんてまた言い訳してみようとする俺に、これ以上マイナスな発言はさせないとでも言いたげな顔でナギ先輩が見つめてくる。
「ほら誰が言ってる? 実際告白の機会を逃して失敗したナギ先輩よ?」
説得力ありまくりでしょ、なんて笑顔を作って俺の肩を叩く。
「でも信じてもらうために努力しようっていうあっくんは、カッコイイよ。俺だったらそんな子放っておかないし、惚れちゃうけどなぁ~」
「何も感じないって言ってたのに」
「それはそれ、これはこれよ」
肩に乗せたままだった手で俺の二の腕をガシガシと擦って、クツクツ笑う。
なんだか掴めない人だ、ナギ先輩って。
今までは航ちゃんのお気に入りの人だからと思って斜めに見てたけど、こうしてちゃんと話をしてみると、会話に心地好さを感じてくる。
「まあ、ちなみにだけど。俺たちは告げられない想いの代わりにプレイで解消するとか、普通にあるからね」
「え……」
「割り切ったプレイもだし、一回だけとか、挿入ナシとかも、いろいろね。だからセフレってワードに思い詰めたりしなくていいし、深く考えないほうがいいよ。……なんて、理解できないか、そういうの」
苦笑しながら、ペットボトルを傾けホットミルクティーを飲む。そんなナギ先輩を俺はただ、黙って見つめるしかできないでいる。
言いながら先輩は、俺から離れていく。
「え?」
「いやこっちの話。じゃあお尻は? してもらってみた? コータに手取り足取り」
「し、してもらってません! てか、それはさすがに、頼めないですよ……」
「ええー? なんでよ」
「だって自分で出来るようにならなきゃ、航ちゃんのセフレたちの中で一番になんて、なれないから……」
俺の言葉を聞いて、先輩が以前のようにまた、眉間をピクっと寄せた。
「うーん。そもそもコータにとっては比べる対象じゃないと思うけどな、あっくんは」
「それって、俺がノンケとかいうやつだからですか? 端から土俵にも立ててないってこと?」
「いやいやそうじゃなくて」
「わかってるんです。スタートラインを間違った俺には告白する資格もないし、何を言ったって信じてもらえないって。それでも信じてもらうためには、甘えちゃダメなんですよ。隣に居させてもらうためには、みんながやってるコト、俺も自分で出来るようにならなきゃ」
「んー……スタートライン、ねぇ……」
ナギ先輩は眉間にシワを寄せながら唇を尖らせ、難しい顔をして空を仰いだ。
「そんな重く考えなくていいんじゃないかなぁ。告白する資格だって、なくはないでしょ」
「でも!」
「彼女作ってたから資格がないとか思ってる? そんなの言い訳にしてたら、何時まで経っても先には進めないよ」
「……だけどっ」
「好きになった時点で、気付いた時点で資格はある。そう思わなきゃ」
そうかもしれないけど、なんてまた言い訳してみようとする俺に、これ以上マイナスな発言はさせないとでも言いたげな顔でナギ先輩が見つめてくる。
「ほら誰が言ってる? 実際告白の機会を逃して失敗したナギ先輩よ?」
説得力ありまくりでしょ、なんて笑顔を作って俺の肩を叩く。
「でも信じてもらうために努力しようっていうあっくんは、カッコイイよ。俺だったらそんな子放っておかないし、惚れちゃうけどなぁ~」
「何も感じないって言ってたのに」
「それはそれ、これはこれよ」
肩に乗せたままだった手で俺の二の腕をガシガシと擦って、クツクツ笑う。
なんだか掴めない人だ、ナギ先輩って。
今までは航ちゃんのお気に入りの人だからと思って斜めに見てたけど、こうしてちゃんと話をしてみると、会話に心地好さを感じてくる。
「まあ、ちなみにだけど。俺たちは告げられない想いの代わりにプレイで解消するとか、普通にあるからね」
「え……」
「割り切ったプレイもだし、一回だけとか、挿入ナシとかも、いろいろね。だからセフレってワードに思い詰めたりしなくていいし、深く考えないほうがいいよ。……なんて、理解できないか、そういうの」
苦笑しながら、ペットボトルを傾けホットミルクティーを飲む。そんなナギ先輩を俺はただ、黙って見つめるしかできないでいる。
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