彼女持ちのドМな親友の願望を叶えてあげる健気で哀れな俺の話

朝賀 悠月

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どんなプレイでもキミが望むなら

甘えん坊な子供みたいに

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「あ、あっくん?」
「……」
「……あそうだ、ご褒美。何がしたい?」

 篤志の背中にそっと腕を回して優しく背中を撫でてやったら、俺にしがみついたままの篤志の手が、少し締まった。

「いいの? 俺、上手にイけなかった」
「上手だったよ。審査基準は俺なんだから、いいの」
「……なんでもいい?」
「うん、いいよ」
「じゃあ後ろからぎゅってして。いつもみたいに」

 しがみつく手の力が、また少し強くなった。
 まるで甘えん坊な子供みたいだ。
 絶対に離れない。そう言われているみたいで、鳩尾の辺りが熱くなる。
 なんだか声まで甘く聞こえて、この錯覚に愛しさで息が詰まりそう。

「ん、わかった」

 ゆったりとした動きで篤志の体を一度離し、ユラリと膝立ちになって後ろに回る。
 その一連の動きを、俺の顔を、篤志は見上げながらずっと目で追ってきていた。
 望み通り、背中に密着して座り、包み込んであげるように前へ腕を回して抱き締めると、篤志は俺に体重を預けて寄り掛かり、深く息を吸って長く吐き出す。

「航ちゃんの体温、落ち着く」
「そう?」

 俺は心臓の高鳴りがバレないかと、若干ヒヤヒヤしてるけど。
 密着した背中に、直接胸の鼓動が響いている感覚。お互い素肌だから余計、緊張がハンパない。ていうか、股間の硬さに気付かれてないだろうか。一応触れてしまう危険を回避する形で座ってはみたけど……
 何も言ってこないってことは、どっちもバレてはいなさそうだ。

「あとは?」

 ふと、篤志の耳が真っ赤になっていることに気付く。
 俺はその可愛い耳にそっと、唇を押し付けてみた。
 小さく肩を竦める篤志。顔を覗き込んでみたら、振り返って見上げてきた瞳と視線がぶつかって、心臓がキュッと跳ねる。

「触って、いっぱい。航ちゃんの手でカラダ、撫でられたい」

 潤った瞳は、妙に甘えているように見える。トロンとしていて、とんでもなく可愛い。
 甘えん坊な子供? とんでもない。子供はこんな表情しないだろ。
 これは、一人の男の誘惑だ。

「あっくんさぁ……ほんと、上手だね」
「……っ、ん」

 離したくない。誰にも、渡したくない。
 こんなに可愛い篤志も、いやらしい篤志も、見ていいのは俺だけだ。
 沸き立つ嫉妬心と独占欲。
 本当にこのままセフレとして囲ったら、ずっと俺のモノでいてくれる?

「あっくん……」

 好きだよ。ねぇ、好きだ。口にはできないけど、思い続ける俺を許して。オンナなんか好きにならないで。俺の隣にいて。ずっと、一生。

「航ちゃん……」

 聞こえていないはずなのに、まるで心の声が伝わってしまったみたいに、篤志の両手が俺の腕をギュッと握った。
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