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どんなプレイでもキミが望むなら
さあ、行こうか。
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篤志から連絡があったのは、夕方になってからだった。
帰ったよと、ただ一言。俺はそれに対して素っ気なく、「約束、覚えてるよね。シャワー浴びて全裸待機」と返す。既読は付いたけど返信は、ない。
篤志は何を考えてるんだろう。ナギ先輩と同じことをして欲しいなんて、どんなプレイをしているのかなんて、なんでそんなこと聞いたんだ。
それにあの目。真剣味を帯びていて、笑顔を作っているのに泣き出しそうだった。声色もなんだかピリッとしていて、まるで嫉妬……みたいな態度。
あいつは好奇心旺盛なところがあるから、きっとゲイ同士がするコトに興味が湧いただけなんだと思う、けど。
まさか、独占欲?
いやそんなこと、あるわけがない。そんな考えは、俺に都合が良すぎるだろ。
理由はわからないにしろ、とにかく篤志が望むなら俺は、その要望に応えるだけだ。
「そろそろ行くか」
シャワーを浴びる時間、それから篤志の気が変わって断ってくるかもしれない時間を考慮して、俺はゆっくり座っていたソファーから腰を上げた。
篤志からの連絡は、ない。
どうやら気は変わらないらしい。
読んでいた小説を本棚に戻し、ソファーの背もたれに軽く掛けていたジャケットを羽織る。
もう一度スマホに連絡が無いかを確認して、俺はゆったりとした足取りで家を出た。
※ ※ ※
インターホンを鳴らして玄関ドアを開けると、何故か右手側にある洗面脱衣室から篤志が顔を覗かせていた。ちらりと見える白い肌。視線を下ろすと、下着を身に着けている。
「……全裸待機って言ったよね」
「う……は、恥ずかしくて……」
「いつも全部脱いで弄られてるのに?」
「そっれは! そう、だけど……最初からって無かったじゃん」
羞恥心で顔どころか首まで真っ赤になってる。ほんと、こういうところが妙に可愛いんだよな。モジモジしちゃって俺から目を逸らしてるとこも、抱き占めたくて堪らない。
「……まいいや」
そんな疼きを誤魔化すように、俺は篤志の頭をポンポンと撫でてリビングに向かう。
「せっ、先輩は! 最初から脱いで待ってるの?」
「そうだね」
後ろから付いてくる篤志の声に、なぜか少し焦りのようなものを感じる。
「じ、じゃあ! やっぱ俺も脱ぐ」
プレイの一環として冷たい声色であしらうと、篤志は言うなり立ち止まった。その声に慌てて振り返ると、篤志はすでに、下着に手を掛けている。それを目にした瞬間、俺は咄嗟に篤志の手を掴んで制止していた。
「待って!」
「なんで止めるんだよ」
「ごめん、無理しなくていい」
「は?」
「あの人はソレが好きだから、興奮するからって自らやってるだけ。同じようにって言うからそう命令したけど、できないことは、しなくていいから」
脱ぎかけの下着に両手を掛けて、引き上げてやる。すると篤志はムッとした顔をして両手を払いのけ、俺の胸を強く押した。
帰ったよと、ただ一言。俺はそれに対して素っ気なく、「約束、覚えてるよね。シャワー浴びて全裸待機」と返す。既読は付いたけど返信は、ない。
篤志は何を考えてるんだろう。ナギ先輩と同じことをして欲しいなんて、どんなプレイをしているのかなんて、なんでそんなこと聞いたんだ。
それにあの目。真剣味を帯びていて、笑顔を作っているのに泣き出しそうだった。声色もなんだかピリッとしていて、まるで嫉妬……みたいな態度。
あいつは好奇心旺盛なところがあるから、きっとゲイ同士がするコトに興味が湧いただけなんだと思う、けど。
まさか、独占欲?
いやそんなこと、あるわけがない。そんな考えは、俺に都合が良すぎるだろ。
理由はわからないにしろ、とにかく篤志が望むなら俺は、その要望に応えるだけだ。
「そろそろ行くか」
シャワーを浴びる時間、それから篤志の気が変わって断ってくるかもしれない時間を考慮して、俺はゆっくり座っていたソファーから腰を上げた。
篤志からの連絡は、ない。
どうやら気は変わらないらしい。
読んでいた小説を本棚に戻し、ソファーの背もたれに軽く掛けていたジャケットを羽織る。
もう一度スマホに連絡が無いかを確認して、俺はゆったりとした足取りで家を出た。
※ ※ ※
インターホンを鳴らして玄関ドアを開けると、何故か右手側にある洗面脱衣室から篤志が顔を覗かせていた。ちらりと見える白い肌。視線を下ろすと、下着を身に着けている。
「……全裸待機って言ったよね」
「う……は、恥ずかしくて……」
「いつも全部脱いで弄られてるのに?」
「そっれは! そう、だけど……最初からって無かったじゃん」
羞恥心で顔どころか首まで真っ赤になってる。ほんと、こういうところが妙に可愛いんだよな。モジモジしちゃって俺から目を逸らしてるとこも、抱き占めたくて堪らない。
「……まいいや」
そんな疼きを誤魔化すように、俺は篤志の頭をポンポンと撫でてリビングに向かう。
「せっ、先輩は! 最初から脱いで待ってるの?」
「そうだね」
後ろから付いてくる篤志の声に、なぜか少し焦りのようなものを感じる。
「じ、じゃあ! やっぱ俺も脱ぐ」
プレイの一環として冷たい声色であしらうと、篤志は言うなり立ち止まった。その声に慌てて振り返ると、篤志はすでに、下着に手を掛けている。それを目にした瞬間、俺は咄嗟に篤志の手を掴んで制止していた。
「待って!」
「なんで止めるんだよ」
「ごめん、無理しなくていい」
「は?」
「あの人はソレが好きだから、興奮するからって自らやってるだけ。同じようにって言うからそう命令したけど、できないことは、しなくていいから」
脱ぎかけの下着に両手を掛けて、引き上げてやる。すると篤志はムッとした顔をして両手を払いのけ、俺の胸を強く押した。
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