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航ちゃんに視姦されてみたい
普通の会話が心地いい①
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「あ、今日の日替わりカツカレーだ!」
学食入口にあるディスプレイの前。食品サンプルが並ぶガラス棚とは別枠で設置されたテーブルの上に、本物のサンプルがいくつか置いてある。
和食のA定食。肉料理のB定食。ちょっと豪華な特別メニューに、日替わりサンキューランチ。文字通り、390円で食べられるからサンキューランチね。ルーにはこだわりが詰まってるとかで、上手く説明できないんだけど辛すぎず甘すぎない絶妙な加減がいい。しかもカレーに限っては、ご飯とルー盛り放題! 美味いから日替わりランチはいつも真っ先に確認しちゃうんだ。
「これにする?」
「うん、俺これにする。あーでもハンバーグオムライスもいいなぁ」
「じゃあ、あっくんカツカレーにしなよ。俺がオムライスにするから。そしたらハンバーグ、半分こできるでしょ?」
「いいの?」
航ちゃんが何も言わずにただ微笑んで、後頭部を撫でてくる。その手があまりにも優しいから、胸がまたうっかり、キュン……って。
あぁほんと、なんでそんなにかっこいいんだよ。
俺の好きなものを解ってくれてるだけでも嬉しいのに、そんな優しく撫でられたら、堪らなくなる。
……でもこういう顔を、他の人たちにも見せてるんだよな。
ホテルの前で鉢合わせしたあの時も、お相手さんの腰抱いてたし。
別に、俺だけに優しいわけじゃ、ない。
そう思うと、また醜い感情が湧いてきてしまう。ヤだな、また。
「あっくん?」
「あ待って。やっぱ俺B定にする。焼肉食いたかったんだよねー。航ちゃんは? 肉好きじゃん」
「そうだけど……いいの?」
「いいのっ。航ちゃんが選んだやつが食べたいの」
腐りかけた感情がバレないように、俺は極力明るい声を放った。航ちゃんに振り返って、笑顔で袖を引っ張った。
大丈夫。抑えられてる。まだ、ダイジョウブ。
「ね、どれにする?」
「……じゃあ、B定」
カウンターで焼肉定食を受け取って、テラス席に出た。
うちの大学は広大で景色もすごくいい。整然と並ぶ木々に、石畳で舗装された幅広く長い通り。レンガ造りの図書館棟が奥に聳え立っていて、芝生のエリアには木のテーブルとベンチが点々と。それらを見渡せるように、テラスには敢えて隣り合わせで椅子と丸テーブルが設置されている。まあ中には別のテーブルから勝手に椅子を持ってきて、三、四人向かい合って座る人たちもいるけど、俺たちはこの心が洗われるような景色を目の前に、隣り合って座った。
「やっぱ上から見るこの景色、好きだなぁ」
「うん、いいよね。俺も好き」
「これからどんどん紅葉していくのが見られるんだよ、ワクワクするよなぁ」
長閑な口調で景色を眺める俺たちだけど、テーブルの上では『早く食え』と急かすように、鉄板がジューッパチパチッと音を立てている。
同じタイミングで航ちゃんも感じ取ったのか、二人同時に顔を見合わせて、思わず笑ってしまった。
学食入口にあるディスプレイの前。食品サンプルが並ぶガラス棚とは別枠で設置されたテーブルの上に、本物のサンプルがいくつか置いてある。
和食のA定食。肉料理のB定食。ちょっと豪華な特別メニューに、日替わりサンキューランチ。文字通り、390円で食べられるからサンキューランチね。ルーにはこだわりが詰まってるとかで、上手く説明できないんだけど辛すぎず甘すぎない絶妙な加減がいい。しかもカレーに限っては、ご飯とルー盛り放題! 美味いから日替わりランチはいつも真っ先に確認しちゃうんだ。
「これにする?」
「うん、俺これにする。あーでもハンバーグオムライスもいいなぁ」
「じゃあ、あっくんカツカレーにしなよ。俺がオムライスにするから。そしたらハンバーグ、半分こできるでしょ?」
「いいの?」
航ちゃんが何も言わずにただ微笑んで、後頭部を撫でてくる。その手があまりにも優しいから、胸がまたうっかり、キュン……って。
あぁほんと、なんでそんなにかっこいいんだよ。
俺の好きなものを解ってくれてるだけでも嬉しいのに、そんな優しく撫でられたら、堪らなくなる。
……でもこういう顔を、他の人たちにも見せてるんだよな。
ホテルの前で鉢合わせしたあの時も、お相手さんの腰抱いてたし。
別に、俺だけに優しいわけじゃ、ない。
そう思うと、また醜い感情が湧いてきてしまう。ヤだな、また。
「あっくん?」
「あ待って。やっぱ俺B定にする。焼肉食いたかったんだよねー。航ちゃんは? 肉好きじゃん」
「そうだけど……いいの?」
「いいのっ。航ちゃんが選んだやつが食べたいの」
腐りかけた感情がバレないように、俺は極力明るい声を放った。航ちゃんに振り返って、笑顔で袖を引っ張った。
大丈夫。抑えられてる。まだ、ダイジョウブ。
「ね、どれにする?」
「……じゃあ、B定」
カウンターで焼肉定食を受け取って、テラス席に出た。
うちの大学は広大で景色もすごくいい。整然と並ぶ木々に、石畳で舗装された幅広く長い通り。レンガ造りの図書館棟が奥に聳え立っていて、芝生のエリアには木のテーブルとベンチが点々と。それらを見渡せるように、テラスには敢えて隣り合わせで椅子と丸テーブルが設置されている。まあ中には別のテーブルから勝手に椅子を持ってきて、三、四人向かい合って座る人たちもいるけど、俺たちはこの心が洗われるような景色を目の前に、隣り合って座った。
「やっぱ上から見るこの景色、好きだなぁ」
「うん、いいよね。俺も好き」
「これからどんどん紅葉していくのが見られるんだよ、ワクワクするよなぁ」
長閑な口調で景色を眺める俺たちだけど、テーブルの上では『早く食え』と急かすように、鉄板がジューッパチパチッと音を立てている。
同じタイミングで航ちゃんも感じ取ったのか、二人同時に顔を見合わせて、思わず笑ってしまった。
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