彼女持ちのドМな親友の願望を叶えてあげる健気で哀れな俺の話

朝賀 悠月

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航ちゃんに視姦されてみたい

まだ、覚めない熱 ★

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 キス、しちゃったんだ。航ちゃんと。

 航ちゃんの唇、想像以上に柔らかかった。重ねて、押し付けて、何度も啄んで。ただそれだけだったのに、俺の全身は甘く痺れて溶けちゃいそうだった。頭がフワフワした。気持ち良かった、すごく。

 航ちゃんはきっと、嫌だったかもしれない。それなのに、俺の勝手な嫉妬で放ったワガママに、あっさり応えてくれた。
 なんで、あんなに優しいんだろ。なんでいつも、俺を優先してくれるんだろ。なんで……
 なんてそんなの、『親友だから』でしかないよな。そんな航ちゃんの優しさに、俺はちゃっかりつけ入ってる。ズルくてサイテーだってわかってるけど、その『親友』っていう唯一のポジションを、誰にも譲りたくないし、手放したくもないんだ。
 こんな関係は汚れてる。普通じゃない。そんなこともちゃんと解ってるんだ、ほんとは。

「う、っんぅ……はぁ……こぉちゃん……っんん」

 さっき別れたばっかりなのに、カラダの中でまだ熱がくすぶってる。
 足早にベッドへダイブして股間に手を伸ばしてみると案の定、軽く勃起してた。触れると同時に少し前までしていたプレイが、脳内を埋め尽くす。
 思い出だされる航ちゃんの熱い視線。鮮明に残ってる、手や唇の感触。そして足裏で擦った、航ちゃんの……
 硬くなって、脈打ってた。航ちゃんのカウパーが俺の足を濡らして、ヌルヌル滑らせるように擦るとビククッて跳ねて……
 蘇ってくる感触に、足の裏がジンジンしてくる。
 今、手で擦ってる自分のちんこもピクピクして、先端の口から汁がジワッと滲み出てきた。

「はぁ……やば……っ」

 航ちゃん、俺の足で気持ちよくなってくれてた。呼吸を乱して夢中になって、吐き出した精液で俺の足を汚してくれたあの瞬間、ゾクゾクして堪らなかった。
 そういえば、唇だけじゃない。航太朗は俺のちんちんにも、たくさんキスしてくれてた。
 チュ、チュッと音を立てて軽く吸い付かれる感覚がまだ、残ってる。時々かかる息とか、竿が唇で挟まれる感触、口内に包まれて扱かれたり、搾り取られるように射精した感覚も。まるで俺のちんちんを愛おしむみたいに丁寧な愛撫をされて、恥ずかしさと嬉しさが複雑に入り交じってとにかく、気持ちいいでしかなくて。

「はぁっぁぁ、ど、しよ……手ぇとまんない……っ」

 航ちゃんのクチでちんちん犯されるの、ほんとヤバかった。あの感触のおかげで、これから何度でも思い出しイキできそう。

 でも……

 あんな気持ちいいフェラを、他の人もしてもらってるんだよな……
 俺は初めてだったけど、航ちゃんのセフレたちはもっと、ずっと、いっぱい……

「っ、あぁ……くやしい……っん」

 考えただけで涙が込み上げてくる。
 他のセフレたちと同じ土俵に立ったからって、まだまだ遠く及ばない。他の人たちは航ちゃんともっと色んなことしてるんでしょ。ずるいよ。
 どんなコトしてるのか気になっちゃう。俺にしてくれたの以外に、それ以上に、すごいこともしてるんだろうな。酷いことも引くようなこともするって言ってたから。
 俺も、航ちゃんともっといろいろしてみたい。
 もっと滅茶苦茶にされてみたいよ。ねぇ、航ちゃん……
 仲間に入れてくれたってことは、期待してもいいんだよね?
 今日シたようなコトも、それ以上のコトも、同じようにしてくれるって。

「あやばっ……ぁっイきそ……イクっ……ンンッ」

 想像しただけで下腹部が痺れて精子が上がってくる。先っぽの方を素早く扱いて、手の中にドロッと放った精液。薄い白濁が、さっきまでのやらしい出来事を物語っているみたいだ。

「はぁっはぁ……好き、こぉちゃん……っ」

 言葉にするだけで、みぞおちの辺りがギュゥッと痛みだす。
 ほんとは、独り占めしたい。俺だけの航ちゃんになってほしい。だけどそんなの『ノンケ』ってやつの俺が言える立場じゃないのはわかってるから、せめて、囲われてる中の一番になりたいよ。
 それを願うだけでも、許してくれないかな。

「……あー、っはは。涙腺壊れたぁ」

 枕元に手を伸ばし、ティッシュを数枚引き出した。目から零れ出る涙を雑に拭いた後、その湿ったティッシュで汚れた手とちんこを綺麗に拭う。
 そういえば。一緒にシャワーを浴びてる時、航ちゃんは俺に手を出してこなかったけど、終始穏やかな顔してたな。俺と話しながらニコニコしてた。浴室に響く航ちゃんの笑い声、まだ耳に残ってる。あぁそうだ俺、航ちゃんのあんなふうに笑った顔を久しぶりに見たかも。こういう関係を強いるようになってからずっと、苦い顔ばっかりさせてたから。俺のせいで、奪っちゃってたんだ。俺が、あの笑顔を。

「っ……」

 じゃあまた明日、そう言って航太朗は家を出た。
 玄関ドアを開けて振り返ると、お互い口元を緩めてヘラッと笑いながら見つめ合った沈黙の時間。少しすると航ちゃんは、チラチラと目をそらしはじめた。あれはたぶん、急に気まずさが勝ってきたんだと思う。俺はもう少し航太朗と居たかったけど、でもそんなこと言ってコレ以上の迷惑は掛けたくなかったから、顔の横で軽く手を振って俺の方から静かにドアを閉めた。

 冷静になって思えば、俺、ほんとにずっとサイテーなことしてる。だけど今さら、引き下がれない。だって気付いちゃったから。自分の想いに。

「航ちゃん、またキス……してくれるかなぁ……っ」

 切なさ、嫉妬、不安、期待。色んな感情が渦巻いてる。
 気の迷いかもしれない。俺に言われて、仕方なく意を決して、キスをくれたのかも。
 だから次は無いかもしれないけど、淡い期待は持っていたいと思ってしまう。

 ごめんね。でも、嬉しかった。

 航太朗の感触が残る唇を手の甲に押し付けながら、俺は次第に、眠りに落ちていった。

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