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キミに囲ってもらえるならセフレでも構わない
後悔してる?
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「つうか目隠し、取るのはダメって言ったのに……」
「ごめん。でも航ちゃんの顔、エロくてかっこよくて、ゾクゾクした」
「な、んだよ……あっくん、ノンケなのになんで」
「関係ないよ、だって……」
航ちゃんが好きなんだもん。好きな人があんな顔を自分に向けてくれてるなんて知れたら、コーフンするに決まってるじゃん。
そう言いたくても言えない言葉を、俺はまた呑み込んだ。
「……まあいいや」
賢者タイムで冷静になった航ちゃんは、手を乗せている俺の足を主軸にしてゆっくり立ち上がり、中途半端な目隠しを外してくれた。そしてそのタオルで俺の手や航ちゃんの精液で汚れた足を拭き取ると、航ちゃんも自分のちんこを拭き取って、その場から離れていく。
「え、どこいくの?」
「洗面所。ホットタオル作ってくる」
そう言って洗面所へ歩いていく背中を目にしたら、俺の胸は甘く痺れるようにキュウっと締め付けられていく。全身が、航ちゃん好き、好き。って言ってるみたいに、得体の知れない感情が込み上げてくる。
洗面所に航太朗の姿が消えると、俺の中の衝動が突き動かされて、気付けば彼を追って自分もそこに向かっていた。
新しいタオルを濡らしている、後ろ姿。スラッとした長身、少し屈めた広い背中。事後で下半身だけ剥き出しなのが、ちょっとだけ俺に優越感を与えてくれる。だって今までは、航ちゃんが脱ぐことなんてなかったから。
「……航ちゃん」
そっと近づいて服をちょっと摘まんだら、航ちゃんの体がビクッと跳ねた。
「……やっぱ後悔した?」
不安げな声色で、振り返らずに聞いてくる。
「してないよ」
だから俺は、航ちゃんの腰にゆっくり腕を回して、振り返らない背中に恐る恐る、探るように張り付いてみる。
「航ちゃんは? 後悔してる?」
「……してない」
「よかった……」
振りほどかれないことに、ホッとした。けれど今までこういうことをずっと他の人たちとしてきたんだと思ったら、悔しさと悲しさと切なさが複雑に入り交じった感情が湧き上がってきて、俺は思わず航ちゃんの腰に巻き付けた腕に、少し力を込めてしまった。
「あっくん?」
「キスもしてるの? 他の人たちと」
つい、口を突いて出てしまった。嫉妬の籠った低い声が。
「……まあ、流れでそうなることは……あるけど」
「じゃあ、っ……俺にもしてよ」
「え……」
「他の人とキスしてるなら、俺ともして」
あ、マズい。航ちゃん固まっちゃった。俺とのキスなんて、さすがにキツイよな。また『違う意味を持っちゃうから』って言うに決まってるのに、なんで俺、こんなこと口走っちゃったんだろ。今なら間に合う。ジョウダンダヨって笑えば、まだ。
「っ、なんて……ごめん航ちゃん」
今すぐジョウダンダヨって言えば済むのに、上手く笑えないし、その言葉を口から出せない。また航ちゃんを困らせてるのに、早く、誤魔化さなきゃいけないのに。
そんな簡単なことも上手に出来なくて、せめて巻き付けてるこの腕だけは解かなきゃと思った。腕の力を緩めて、航ちゃんの体から離れる。そんな簡単なことを恐る恐るやっていたら、ふいに手首を掴まれて、航ちゃんが振り返った。
その顔は、少し眉間に皺を寄せていて真剣そのもの。
「え……航ちゃ、んンっ」
予想外の表情に戸惑っていたら、俺の唇はどういうわけか、航ちゃんの唇で塞がれていた。
長く、触れるだけのキス。押し付けるように航ちゃんの唇が動く。それに合わせて俺も、隙間を埋めるように調整して唇を重ね、押し付ける。少し厚みのある航太朗の唇、柔らかくて、熱くて、気持ちいい。
一度触れ合わせてしまったら、押し込めていた愛しさが急激に込み上げてきてしまう。
好きだよ、航ちゃん、好き……
言えない言葉を唇に託して、航ちゃんの感触を堪能する。
息継ぎをするように触れ合わせていた唇を少し離して、ふと目が合ったらまた、今度はお互い探るように見つめ合いながら、キス。だけど俺は解ってる。舌を入れるキスはしないんだって。だから俺たちは何度か啄んで、静かに唇を離した。
「もう、アプリ使わないって、約束して?」
「ん。もう使わない。アプリちゃんと消すから……だから俺のこと、囲ってくれる?」
「うん」
「よかった……」
これで俺も、航ちゃんのセフレになれた。エッチなこともする親友。これからは、もっとずっと、濃密な関係。
「ね、航ちゃん。せっかく二人でココにいるからさ、一緒にシャワー浴びちゃわない?」
洗面所が浴室の脱衣スペースというこの状況。絶好のチャンスだと思って、軽いノリで誘ってみた。我ながら都合のいいこといってるな、と思いながら。けれど航ちゃんも案外悪い気はしてないみたいで、フフッと小さく笑ったあと、服の裾から手を入れて俺の素肌を撫でてきた。
「名案だな。入るか、せっかくだから」
口角を上げて微笑む顔が、かっこいい。好きを自覚するとこんなちょっとした表情の一つ一つがキラキラ眩しく見えるんだって、初めて知った。
「なにー? 脱がせてくれんの?」
「脱がせてもいいんだったら、脱がせるけど」
「じゃあお願いしまーす」
「ふっ。はぁい」
両手を前に突き出して、甘えるポーズをしてみせる。そんな俺を見て航ちゃんは眉を垂らして笑いながら、不器用な手つきで俺の服を脱がせてくれた。
もちろん俺も、航ちゃんの服を脱がせてやる。
二人で裸になって、一緒に浴室に入ってシャワーを浴びて。初めてちゃんと見る航ちゃんの体は、細身なのに筋肉質で引き締まっていて胸筋もある、まさに『男が魅了される憧れちゃう体』を体現していた。腹筋割れてるし、腰のあたりから股間にかけてのエロ筋もあるし、つい見惚れちゃうズルい体をしている。
このカラダに抱かれた人もいるんだろうな、なんて思ったらドス黒い感情が湧き上がりそうになるけど、俺は、まず、航ちゃんがこの関係を受け入れてくれたことに感謝しなくちゃいけない。
航ちゃんがこうして俺にカラダを曝け出してくれたことが、奇跡なんだから。
⇒次章『航ちゃんに視姦されてみたい』
「ごめん。でも航ちゃんの顔、エロくてかっこよくて、ゾクゾクした」
「な、んだよ……あっくん、ノンケなのになんで」
「関係ないよ、だって……」
航ちゃんが好きなんだもん。好きな人があんな顔を自分に向けてくれてるなんて知れたら、コーフンするに決まってるじゃん。
そう言いたくても言えない言葉を、俺はまた呑み込んだ。
「……まあいいや」
賢者タイムで冷静になった航ちゃんは、手を乗せている俺の足を主軸にしてゆっくり立ち上がり、中途半端な目隠しを外してくれた。そしてそのタオルで俺の手や航ちゃんの精液で汚れた足を拭き取ると、航ちゃんも自分のちんこを拭き取って、その場から離れていく。
「え、どこいくの?」
「洗面所。ホットタオル作ってくる」
そう言って洗面所へ歩いていく背中を目にしたら、俺の胸は甘く痺れるようにキュウっと締め付けられていく。全身が、航ちゃん好き、好き。って言ってるみたいに、得体の知れない感情が込み上げてくる。
洗面所に航太朗の姿が消えると、俺の中の衝動が突き動かされて、気付けば彼を追って自分もそこに向かっていた。
新しいタオルを濡らしている、後ろ姿。スラッとした長身、少し屈めた広い背中。事後で下半身だけ剥き出しなのが、ちょっとだけ俺に優越感を与えてくれる。だって今までは、航ちゃんが脱ぐことなんてなかったから。
「……航ちゃん」
そっと近づいて服をちょっと摘まんだら、航ちゃんの体がビクッと跳ねた。
「……やっぱ後悔した?」
不安げな声色で、振り返らずに聞いてくる。
「してないよ」
だから俺は、航ちゃんの腰にゆっくり腕を回して、振り返らない背中に恐る恐る、探るように張り付いてみる。
「航ちゃんは? 後悔してる?」
「……してない」
「よかった……」
振りほどかれないことに、ホッとした。けれど今までこういうことをずっと他の人たちとしてきたんだと思ったら、悔しさと悲しさと切なさが複雑に入り交じった感情が湧き上がってきて、俺は思わず航ちゃんの腰に巻き付けた腕に、少し力を込めてしまった。
「あっくん?」
「キスもしてるの? 他の人たちと」
つい、口を突いて出てしまった。嫉妬の籠った低い声が。
「……まあ、流れでそうなることは……あるけど」
「じゃあ、っ……俺にもしてよ」
「え……」
「他の人とキスしてるなら、俺ともして」
あ、マズい。航ちゃん固まっちゃった。俺とのキスなんて、さすがにキツイよな。また『違う意味を持っちゃうから』って言うに決まってるのに、なんで俺、こんなこと口走っちゃったんだろ。今なら間に合う。ジョウダンダヨって笑えば、まだ。
「っ、なんて……ごめん航ちゃん」
今すぐジョウダンダヨって言えば済むのに、上手く笑えないし、その言葉を口から出せない。また航ちゃんを困らせてるのに、早く、誤魔化さなきゃいけないのに。
そんな簡単なことも上手に出来なくて、せめて巻き付けてるこの腕だけは解かなきゃと思った。腕の力を緩めて、航ちゃんの体から離れる。そんな簡単なことを恐る恐るやっていたら、ふいに手首を掴まれて、航ちゃんが振り返った。
その顔は、少し眉間に皺を寄せていて真剣そのもの。
「え……航ちゃ、んンっ」
予想外の表情に戸惑っていたら、俺の唇はどういうわけか、航ちゃんの唇で塞がれていた。
長く、触れるだけのキス。押し付けるように航ちゃんの唇が動く。それに合わせて俺も、隙間を埋めるように調整して唇を重ね、押し付ける。少し厚みのある航太朗の唇、柔らかくて、熱くて、気持ちいい。
一度触れ合わせてしまったら、押し込めていた愛しさが急激に込み上げてきてしまう。
好きだよ、航ちゃん、好き……
言えない言葉を唇に託して、航ちゃんの感触を堪能する。
息継ぎをするように触れ合わせていた唇を少し離して、ふと目が合ったらまた、今度はお互い探るように見つめ合いながら、キス。だけど俺は解ってる。舌を入れるキスはしないんだって。だから俺たちは何度か啄んで、静かに唇を離した。
「もう、アプリ使わないって、約束して?」
「ん。もう使わない。アプリちゃんと消すから……だから俺のこと、囲ってくれる?」
「うん」
「よかった……」
これで俺も、航ちゃんのセフレになれた。エッチなこともする親友。これからは、もっとずっと、濃密な関係。
「ね、航ちゃん。せっかく二人でココにいるからさ、一緒にシャワー浴びちゃわない?」
洗面所が浴室の脱衣スペースというこの状況。絶好のチャンスだと思って、軽いノリで誘ってみた。我ながら都合のいいこといってるな、と思いながら。けれど航ちゃんも案外悪い気はしてないみたいで、フフッと小さく笑ったあと、服の裾から手を入れて俺の素肌を撫でてきた。
「名案だな。入るか、せっかくだから」
口角を上げて微笑む顔が、かっこいい。好きを自覚するとこんなちょっとした表情の一つ一つがキラキラ眩しく見えるんだって、初めて知った。
「なにー? 脱がせてくれんの?」
「脱がせてもいいんだったら、脱がせるけど」
「じゃあお願いしまーす」
「ふっ。はぁい」
両手を前に突き出して、甘えるポーズをしてみせる。そんな俺を見て航ちゃんは眉を垂らして笑いながら、不器用な手つきで俺の服を脱がせてくれた。
もちろん俺も、航ちゃんの服を脱がせてやる。
二人で裸になって、一緒に浴室に入ってシャワーを浴びて。初めてちゃんと見る航ちゃんの体は、細身なのに筋肉質で引き締まっていて胸筋もある、まさに『男が魅了される憧れちゃう体』を体現していた。腹筋割れてるし、腰のあたりから股間にかけてのエロ筋もあるし、つい見惚れちゃうズルい体をしている。
このカラダに抱かれた人もいるんだろうな、なんて思ったらドス黒い感情が湧き上がりそうになるけど、俺は、まず、航ちゃんがこの関係を受け入れてくれたことに感謝しなくちゃいけない。
航ちゃんがこうして俺にカラダを曝け出してくれたことが、奇跡なんだから。
⇒次章『航ちゃんに視姦されてみたい』
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