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キミのそばにいられるなら何だって叶えてあげよう
このまま終わりなんて嫌だ
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嫌われたのか? 俺は、篤志に……
呼び止めるも虚しく、無情に閉まる玄関ドア。目はただドアの一点を見つめたまま、思考回路がショートしたかのように体が固まって動けない。
いったいどこで、何を間違えた。
俺はずっと、篤志に尽くしてきたはずなのに。
「あっくん……」
手の中にあるスマホがまた、鳴った。
画面を見るとそれは、アプリで知り合った相手の一人。
『もう終わりって、どういうこと?』
さっきお誘いのメッセがあって、「ごめん、こういうのもう終わりにする」って急いで送った。篤志が着替えて出ていこうとしてた時。それの返信が、これ。
他の子たちには前から断りのメッセを入れていて、その返信は『そっかあ残念です』『機会があればまた遊んでください』とかでわりとアッサリ終われたけど、この人は俺の好きな人のことまで話すほど長い付き合いではあったから、そう簡単には終われなかった。
『好きな人と、急展開』
篤志が出て行ってしまったショックで頭が回らないながらも、なんとか打ち出した。すると、すぐに既読がついて返信が来る。
『え、もしかして実った感じ?』
『いや、逆。終わった』
『終わった?』
『終わりにするって送ったあと、終わった』
『ちょっと待って展開が見えない。明日話聞かせて』
『わかった』
『じゃあ昼、学食でね』
この人は同じ大学の先輩。アプリで知り合って、プレイをしてからそれが発覚した。だからプレイ以外でもこうして校内で会って、話を聞いてもらったりしていた。
そういえば篤志に、「なんで学部が違うのに一緒にいるの? どこで知り合ったの?」って聞かれたことがあったな。説明に困って「あぁ、まあ……ちょっと」って誤魔化したら、なんか妙に拗ねてたっけ。
「あっくん……」
やっぱり、このまま終わりなんて嫌だ。
頭で考えるよりも心が勝って、電話を掛けていた。すると何故か部屋の中で聞こえる着信音。呼び出し音を鳴らしながら部屋に戻って探してみると、それは、ベッドの下に落ちていた。
スマホを拾って発信を切ると、待ち受け画面に表示されたのは、俺と篤志のツーショット写真。
「え……」
ビックリした。なんで、俺とのツーショなんて待ち受けにしてるんだろ。
「……あ、これ、高校の時のだ……」
そういえば高三の夏休みだったよな。みんなで高校最後の夏休みだからって、男五人だけで制服着てテーマパーク行って。あの時は青春してた。みんなでカチューシャつけてアトラクション乗ってはしゃぎまくって、五人で違う味のチュロス買って食べさせ合ったりしてた。レストランは高いからホットスナックで腹を満たそうってパーク内のワゴンに並んで色んなの食べたっけ。キャラクターの耳着けて美味しいって笑うあっくんが、めちゃくちゃ可愛かったんだ。それをすごく覚えてる。
あれ? でもこれ……
「二人で、撮ったんだっけ……?」
ベンチに座って肉巻きスティックみたいなのを食べてる、この時。たしか俺の隣にもう一人……あ、ほら肩が見切れてる。つまり切り取って敢えてツーショにしたってことか。でも、どうしてこんなのを待ち受けに?
よっぽど俺のことが好きなのか。待ち受けにしちゃうくらい俺のことを? なんて、冗談半分でつい自分に都合のいいように考えてしまって、それを諫めるように頭を振った。
とにかくこれで、また会える。明日になればもしかしたら、篤志も冷静になっているかもしれない。明日会って、ちゃんと話をしよう。
呼び止めるも虚しく、無情に閉まる玄関ドア。目はただドアの一点を見つめたまま、思考回路がショートしたかのように体が固まって動けない。
いったいどこで、何を間違えた。
俺はずっと、篤志に尽くしてきたはずなのに。
「あっくん……」
手の中にあるスマホがまた、鳴った。
画面を見るとそれは、アプリで知り合った相手の一人。
『もう終わりって、どういうこと?』
さっきお誘いのメッセがあって、「ごめん、こういうのもう終わりにする」って急いで送った。篤志が着替えて出ていこうとしてた時。それの返信が、これ。
他の子たちには前から断りのメッセを入れていて、その返信は『そっかあ残念です』『機会があればまた遊んでください』とかでわりとアッサリ終われたけど、この人は俺の好きな人のことまで話すほど長い付き合いではあったから、そう簡単には終われなかった。
『好きな人と、急展開』
篤志が出て行ってしまったショックで頭が回らないながらも、なんとか打ち出した。すると、すぐに既読がついて返信が来る。
『え、もしかして実った感じ?』
『いや、逆。終わった』
『終わった?』
『終わりにするって送ったあと、終わった』
『ちょっと待って展開が見えない。明日話聞かせて』
『わかった』
『じゃあ昼、学食でね』
この人は同じ大学の先輩。アプリで知り合って、プレイをしてからそれが発覚した。だからプレイ以外でもこうして校内で会って、話を聞いてもらったりしていた。
そういえば篤志に、「なんで学部が違うのに一緒にいるの? どこで知り合ったの?」って聞かれたことがあったな。説明に困って「あぁ、まあ……ちょっと」って誤魔化したら、なんか妙に拗ねてたっけ。
「あっくん……」
やっぱり、このまま終わりなんて嫌だ。
頭で考えるよりも心が勝って、電話を掛けていた。すると何故か部屋の中で聞こえる着信音。呼び出し音を鳴らしながら部屋に戻って探してみると、それは、ベッドの下に落ちていた。
スマホを拾って発信を切ると、待ち受け画面に表示されたのは、俺と篤志のツーショット写真。
「え……」
ビックリした。なんで、俺とのツーショなんて待ち受けにしてるんだろ。
「……あ、これ、高校の時のだ……」
そういえば高三の夏休みだったよな。みんなで高校最後の夏休みだからって、男五人だけで制服着てテーマパーク行って。あの時は青春してた。みんなでカチューシャつけてアトラクション乗ってはしゃぎまくって、五人で違う味のチュロス買って食べさせ合ったりしてた。レストランは高いからホットスナックで腹を満たそうってパーク内のワゴンに並んで色んなの食べたっけ。キャラクターの耳着けて美味しいって笑うあっくんが、めちゃくちゃ可愛かったんだ。それをすごく覚えてる。
あれ? でもこれ……
「二人で、撮ったんだっけ……?」
ベンチに座って肉巻きスティックみたいなのを食べてる、この時。たしか俺の隣にもう一人……あ、ほら肩が見切れてる。つまり切り取って敢えてツーショにしたってことか。でも、どうしてこんなのを待ち受けに?
よっぽど俺のことが好きなのか。待ち受けにしちゃうくらい俺のことを? なんて、冗談半分でつい自分に都合のいいように考えてしまって、それを諫めるように頭を振った。
とにかくこれで、また会える。明日になればもしかしたら、篤志も冷静になっているかもしれない。明日会って、ちゃんと話をしよう。
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