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ゲイの親友に囲われたいと願う彼女持ちのサイテーな俺の話
彼女を作ったサイテーな俺の葛藤と言いワケ
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ピッという音がして、部屋の灯りが豆電になった。布が擦れる音のあと、何の音もしなくなり、やがて聞こえてきたのは航太朗の静かな寝息。
俺は布団から顔を出して仰向けになり、天井を見上げてみる。
豆電球のオレンジ色が、不透明な白いカバーに覆われて寂しく光る。
暖かい色なのにどこか寂し気にも見えるのは、何でだろう。
なんだか、俺と航ちゃんみたいだ。
高校に入って意気投合して、親友と呼べるくらいにまで仲良くなったのに、大学生活にも慣れてきた頃、たまたま男の腰を抱いてホテルから出てくるところを見てしまった。そのあとで、カミングアウトされて。そこから歪んじゃったのかな。……いや違う。歪ませたのは、俺だ。それを知って俺が我慢できなくなったせいだ。
あの時あんなことを言わなければ、俺が我慢できてれば、もっと違う形でアプローチしたり、もっと……
あぁ、でもダメか。女の子に告白されて彼女作った時点で、もう俺は間違ったんだ。
それだって、航太朗へのこんな感情は女の子と付き合ってセックスしてみれば変わるかもしれないとか、思ったからで。
(でも結局、何も変わらなかった……)
女の子にいい顔して、行きたい所に付き合ってあげて、求められればセックスして。
それでも、航太朗にもう一度触れられたいって感情は一ミリも変わらなかった。
つるんでる奴らに彼女とのことを聞かれて、その度に、その場のノリで上手くいってるアピールしてたけど、本当は、俺の心は航太朗でいっぱいだった。
話しながら時折チラ見すると、航太朗は微笑を浮かべて聞いてるだけ。
性的なことには無欲で淡白で無関心そうな顔してたのに、俺の知らないところで、しかも男と、ホテルから出てきたのが許せなかったんだ。
なんで、俺じゃないのって、思っちゃったんだよ。
航太朗の隣に立ってる男を憎く思った。航太朗に腰なんか抱かれちゃって、なに事後ですみたいな顔晒しちゃってんの、って。その位置変わってよ、って。
自分は彼女作ってセックスもしてるのに、航太朗はダメとか。どんな独占欲だよ。
彼女がいるくせに、航太朗も手に入れたいなんてさ。
……いや、嘘。本当は、航太朗しかいらない。
なんで俺、女の子と付き合ってんだろって後悔してる。
航太朗がもっと早く打ち明けてくれたら、もっとピュアっピュアの俺でアプローチするところから始められたのにとか、考えちゃうくらい。
俺に彼女がいるのを航太朗のせいにしちゃうくらいには、歪みきってる。
(……サイテーだわ、俺)
自分の情けなさに泣けてくる。
こんな俺を、航太朗が好きになってくれるわけがない。この関係だって俺が言いだしたから始まったわけだし、航太朗は俺のワガママに付き合ってくれてるだけだもん。ノンケでドМな、親友の俺に。
だから、さっき聞こえた言葉も、どうせ俺の都合のいい幻聴。
キスだって、都合のいい覚醒前の夢だ。
俺は布団から顔を出して仰向けになり、天井を見上げてみる。
豆電球のオレンジ色が、不透明な白いカバーに覆われて寂しく光る。
暖かい色なのにどこか寂し気にも見えるのは、何でだろう。
なんだか、俺と航ちゃんみたいだ。
高校に入って意気投合して、親友と呼べるくらいにまで仲良くなったのに、大学生活にも慣れてきた頃、たまたま男の腰を抱いてホテルから出てくるところを見てしまった。そのあとで、カミングアウトされて。そこから歪んじゃったのかな。……いや違う。歪ませたのは、俺だ。それを知って俺が我慢できなくなったせいだ。
あの時あんなことを言わなければ、俺が我慢できてれば、もっと違う形でアプローチしたり、もっと……
あぁ、でもダメか。女の子に告白されて彼女作った時点で、もう俺は間違ったんだ。
それだって、航太朗へのこんな感情は女の子と付き合ってセックスしてみれば変わるかもしれないとか、思ったからで。
(でも結局、何も変わらなかった……)
女の子にいい顔して、行きたい所に付き合ってあげて、求められればセックスして。
それでも、航太朗にもう一度触れられたいって感情は一ミリも変わらなかった。
つるんでる奴らに彼女とのことを聞かれて、その度に、その場のノリで上手くいってるアピールしてたけど、本当は、俺の心は航太朗でいっぱいだった。
話しながら時折チラ見すると、航太朗は微笑を浮かべて聞いてるだけ。
性的なことには無欲で淡白で無関心そうな顔してたのに、俺の知らないところで、しかも男と、ホテルから出てきたのが許せなかったんだ。
なんで、俺じゃないのって、思っちゃったんだよ。
航太朗の隣に立ってる男を憎く思った。航太朗に腰なんか抱かれちゃって、なに事後ですみたいな顔晒しちゃってんの、って。その位置変わってよ、って。
自分は彼女作ってセックスもしてるのに、航太朗はダメとか。どんな独占欲だよ。
彼女がいるくせに、航太朗も手に入れたいなんてさ。
……いや、嘘。本当は、航太朗しかいらない。
なんで俺、女の子と付き合ってんだろって後悔してる。
航太朗がもっと早く打ち明けてくれたら、もっとピュアっピュアの俺でアプローチするところから始められたのにとか、考えちゃうくらい。
俺に彼女がいるのを航太朗のせいにしちゃうくらいには、歪みきってる。
(……サイテーだわ、俺)
自分の情けなさに泣けてくる。
こんな俺を、航太朗が好きになってくれるわけがない。この関係だって俺が言いだしたから始まったわけだし、航太朗は俺のワガママに付き合ってくれてるだけだもん。ノンケでドМな、親友の俺に。
だから、さっき聞こえた言葉も、どうせ俺の都合のいい幻聴。
キスだって、都合のいい覚醒前の夢だ。
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