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第ニ章
暗闇で彼に触れた
しおりを挟むスイッチは、私が押してしまった。
もはやためらいのない仕草で私の手をまさぐり、指の隙間をひとつひとつ埋めるようにぎゅっと握った彼は、ぎゅ、ぎゅ、と何度か力を加えながら私の指を弄る。乾いた大きい掌だ。
同時に私の肩を支えていた手は私の首から肩のライン、後頭部から髪の一筋、頬から顎の裏まで、今までの彼からは考えられないほど優しい手つきで滑っていく。
彼が親指の腹で私の下唇をなぞった瞬間、私は彼の肩に手をかけた。互いの顔が目の前にある。熱っぽい目で見つめる彼の目に同じく潤んだ目の私が映っている。
目を閉じたかは忘れた。
音もなく触れ合った互いの唇は、握り合っている手と同じ温度で、ずっと柔らかかった。
味わう間もなく離れた唇を確かめるようにもう1度、今度はちゅ、と音がした。
またもう1度、さらにもう1度。
いつしか彼の手は私の後頭部を掴み、私の手は彼のTシャツをしわくちゃに握っていた。
半開きになった口の間から彼の生温かい舌が侵入する。自分の舌をそっと伸ばしてみると、くちゅり、という音をたてた。
舌を絡めキスを交わしながら彼の手が私の頭から首、肩の丸み、背中を柔らかく愛撫する。鎖骨の下をなぞった手が離れていきながら敏感なところをさっと触れた時、下腹がふわっと熱くなった。
始めはTシャツの上から徐々に触れていた手はいつしかシャツの下に潜り込む。直に触れる彼の掌の熱が心地よくて私は思わず息を吐いた。ブラの繊細なレースの上から引っ掻くように指が乳頭に触れる。
びくりと肩が跳ねた。
「っ」
次の瞬間にはこねこねとつぶすように刺激される。
「っはっ、っ」
のけぞった喉を彼の舌がつーっとなぞった。そのまま耳元でささやく。
「声、出して」
Tシャツをばんざいするように強引に脱がされた。ずれたブラからは既にピンクの乳首が両方見えている。
乳輪を焦らすようになぞられたあと、直に乳首をつままれた。
「ーんんっっ」
もはや声を出さないことは不可能だった。
羽のような手つきで触り、つつく。かと思えばときどき力強くきゅっと掴んでくりくりこねくり回す。大きな掌でやわやわと乳房全体を揉む。
「っふっ、ぅ、ぅ、ーーあんっっ」
自分のものとは思えない声が喉の奥から出た。
いつの間にかホックが外され、私は白い胸の全貌をさらしていた。思わず隠そうとすると、彼が「何を今更」と笑い、そのまま顔を屈めた。
熱い刺激が最初は何か分からなかった。
目の前にまだ濡れている彼の頭がある。ぬるりと乳首を舐められ、強く吸われた。
「あああんっっ」
仰け反った背中がそのまま、とさっと布団に落ちる。もはや余裕なく彼が覆い被さってくる。
身体中を愛撫され、舌先でなぞられる。
彼の裸の胸が自分の胸に触れた時、自分が彼のTシャツを剥ぎ取ったことを知った。にやっと笑った彼が私の手をとって彼の小さな乳首に導く。見よう見まねでくにっと押してみると、「もっと」と押し付けられる。
お互いに指で、舌先で、夢中で触り合った。窄めた唇でぢゅっと吸うと、「うっ」と彼がうめいた。
「ーっ、はぁ、おまえ、初めてのくせに…」
と荒い息をつくのがおもしろくて、れろれろとさらに舌を這わす。
びく、と震えた肩にほくそえんでいると、そのとき伸びた彼の手が私の内腿をつと撫で上げた。
「ひゃんっ」
ぞわりと肌が粟立つ。ねっとりと太腿を撫でながら私のおしりのラインをなぞり、ショートパンツに手をかけようとする。
気持ちいい。優しい。でも、でも、
「ーっ。はぁ、ゃ、だ、やだっ」
思わず押しのけてしまい彼の手が止まる。
やだ、違うの、違う。
彼が私を抱き起こす。
やだ、やだやだ止めないで。ただ…
「そうだよな。初めてだもんな。怖いよな」
心の声が彼と重なった。ぎゅっと抱きしめられる。そのままくるりと後ろを向かされてからまた抱きしめられる。
「ゆっくり行くから、な?いい?」
耳もとに囁かれた声に、せめてこくこくと頷く。
胸を、脇腹を、下腹をゆっくりと円を描くように這っていた彼の手がやがてショートパンツのゴムの間からするりと滑り込んだ。
「ーーーーっ」
今度は抵抗しないように下唇を噛む。
「よしよし、いい子だ…」
耳もとで囁きながら、秘部には触れずに柔らかい内腿をゆっくりと何度も撫でる。いつしか力が抜け、くたっと両足が開いていた。
「ーんっ、ふっ…、…ぁ、ん」
息が荒くなっていき、物足りない気持ちが腰を捩らせる。
それを見てとった彼がそっと指をショーツ越しに割れ目に這わせた。
「ぁあっっ」
求めていたのはこれだという気持ちと羞恥心が混ざり合って、思わず足を閉じようとする。だが彼は今度は止めてくれなかった。片手で乳首をいらい、片手で何度も割れ目を往復する。
「大丈夫…ちゃんと濡れてるから…」
彼の声に喘ぎながら見下ろすと彼の右手が私の胸を包みこみ、彼の左手が既にショーツが剥ぎ取られた私の股の間に動いている。彼の手はぬらぬらと光っていた。
くちくちと彼の指が動くたびに音が鳴る。割れ目の少し上あたりを擦られたとき、頭の中に星が散ったかと思った。
「ぁっ、あっあっあっ、ゃ、だ、あんっっ」
執拗にくにくにと擦られる。もはやぐちゃぐちゃと音をたてる股をくぱっと開いて嬌声を上げるしかできない。足の指が丸まる。
気持ちいい気持ちいい気持ちいい
目の前で彼の左手の中指が、つぷりと私の茂みに埋まった。
「ーーーーーーーーーっ」
異物感に息が止まる。
ふー、ふー、と数回息をしていたら、彼の指がゆっくり私のナカで動き出した。
「痛い?」
とやや心配そうに聞く。
首を振る。この圧迫感が痛みなのか、快感なのか分からない。
粘膜を撫でるようにゆっくり動いていた指が徐々に激しさを増していく。
くちゅくちゅくちゅくちゅ
「っあん、あん、あっあっ、あんっっ」
指がもう一本ずぶずぶと沈み込んだ。
ぐちゅぐちゅぐちゅぐちゅ
「あーっ、ん、はっあっ、ああっ、あ」
そしてずるずると指が抜ける。
さっきから私の腰にあたっていた熱いものが何なのか、初めてでもさすがに分かる。
涙目で振り返ると、カチャカチャとベルトを外して予想以上に大きいモノを引きずりだした彼が私の目を熱っぽく見て行った。
「さあ、セックスするぞ」
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