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@藤堂side
9.4月1日21:44 「一緒にいたい」@藤堂side
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「すみません、泣くなんて。そんなつもり、なかったのに…」
「ずっと我慢して、ため込んでたんだね。
俺は、さくらが頑張っているの、ずっと、見てたよ。
ほかの誰より、頑張ってた。しかも、みんなのこと考えて、誰かに指示されたわけでもなく、
こんなに丁寧にちゃんとしたもの作って、すごいよ。ほんとよく頑張った。」
さくらが頑張っているの、ちゃんと知ってる人がいるっで、
今日見た資料は本当によくできてるって、ちゃんとほめてあげたかった。
報われなかったわけじゃないって思って欲しかった。
「もう、そんな風に、言わないでください。わたし、また・・・」
さくらが手にしていたハンカチで目を覆った。
おれはさくらの方へ体を向けてさくらを抱きしめた。
さくらがびっくりして身をすくませるのがわかった。
「ごめん、でも、今日は、我慢しないで、気が済むまで泣いて全部吐き出そう?ね?」
「藤堂さん…」
さくらが再び泣き出した。
俺は抱いたまま、さくらの頭を撫でた。
「俺が、見てる。応援してるの、覚えてて?」
さくらがコクコクとうなづいた。
しゃくりあげて泣くさくら。我慢しなくていいという俺の言葉を素直に受け取ってくれたみたいだ。
俺はそっとさくらの頭に唇をつける。
そのまま頬ずりする。
会社から連れ出すとき、さくらは俺を「課長」と呼び、気を遣って緊張していた。
それが笑顔を見せて、部長への愚痴を吐き出して、仕事の相談をして、
今は俺の前で心の澱を吐き出して、泣いている。
「かわいい…」
おれはさくらの額にキスした。
さくらがハンカチから目を話して俺を見た。
「ごめん…」
無言で頭を横に振るさくら。
欲が出た。
さくらの両手首をつかんで顔から離させる。
「藤堂さん…?」
ハンカチを離したさくらの目から、涙がこぼれる。
おれは涙の上から頬にキスする。さくらの涙のしょっぱい味。
さくら、拒んで。拒まないなら…
俺はさくらの唇に自分の唇を合わせた。
ちゅっ
っと音を立てて唇を離してさくらの目を見つめる。
さくらは目を丸くして俺を見ている。
「嫌?」
「…いえ…、でも…あの…」
「何?」
「だって…」
さくらはそのあとを続けない。
嫌じゃないなら、遠慮しない。できない。
俺はもう一度唇を合わせた。
さくらの手首を放して、驚いてこわばるさくらの体を抱きしめる。
唇をついばむように、ちゅ、ちゅと軽いキスを繰り返す。
さくらは拒まない。
いいの?さくら?
俺は腕に力を込めて強く抱きしめて、さくらの唇全体を自分の唇で包む。
さくらの体がびくっと驚く。
そのまま、さくらの唇を舌先でゆっくり撫でる。
さくらはされるがまま、受け入れている。
嫌じゃ…ないんだよな…
しばらくそうしていると
さくらが少し俺の体を押して顔を遠ざけた。
ここまで我慢して限界が来たのかと俺は覚悟してさくらの顔をうかがった。
さくらは、はあ…とため息をついて、泣いてはっきりした二重で俺の顔を見上げていた。
それは、嫌がっている表情じゃなかった。
泣いたせいだったのかもしれないが、おれに唇をかわいがられて、蕩けた表情に思えた。
「さくら、今日、帰さなくていい?」
「…え…?」
彼氏がいたことがないって言っていたさくらには、こんな時、どうしたらいいかわからないんだろう。
付き合ってもいない、会社の他部署の課長にこんなこと言われて、困るよな。
初めてなのに、順番がぐちゃぐちゃだ。
悪いと思うけど、今日のさくらをひとりで帰したくない。っていうか、俺が離れたくない。
「一緒にいたい。さくら、お願い。」
さくらはじっと俺と目を合わせている。
「嫌なら、何も言わずに、俺の背中、3回、叩いて。」
俺はさくらの肩に自分の頭を置くようにしてさらに抱き締めて返答を待った。
さくらの手が俺の背中に置かれた。
そのまま…動かない。拒まない。
「ありがとう。さくら。」
顔を見て、もう一度唇を合わせる。
そして、俺はさくらの手をつかんで立ち上がった。
「ずっと我慢して、ため込んでたんだね。
俺は、さくらが頑張っているの、ずっと、見てたよ。
ほかの誰より、頑張ってた。しかも、みんなのこと考えて、誰かに指示されたわけでもなく、
こんなに丁寧にちゃんとしたもの作って、すごいよ。ほんとよく頑張った。」
さくらが頑張っているの、ちゃんと知ってる人がいるっで、
今日見た資料は本当によくできてるって、ちゃんとほめてあげたかった。
報われなかったわけじゃないって思って欲しかった。
「もう、そんな風に、言わないでください。わたし、また・・・」
さくらが手にしていたハンカチで目を覆った。
おれはさくらの方へ体を向けてさくらを抱きしめた。
さくらがびっくりして身をすくませるのがわかった。
「ごめん、でも、今日は、我慢しないで、気が済むまで泣いて全部吐き出そう?ね?」
「藤堂さん…」
さくらが再び泣き出した。
俺は抱いたまま、さくらの頭を撫でた。
「俺が、見てる。応援してるの、覚えてて?」
さくらがコクコクとうなづいた。
しゃくりあげて泣くさくら。我慢しなくていいという俺の言葉を素直に受け取ってくれたみたいだ。
俺はそっとさくらの頭に唇をつける。
そのまま頬ずりする。
会社から連れ出すとき、さくらは俺を「課長」と呼び、気を遣って緊張していた。
それが笑顔を見せて、部長への愚痴を吐き出して、仕事の相談をして、
今は俺の前で心の澱を吐き出して、泣いている。
「かわいい…」
おれはさくらの額にキスした。
さくらがハンカチから目を話して俺を見た。
「ごめん…」
無言で頭を横に振るさくら。
欲が出た。
さくらの両手首をつかんで顔から離させる。
「藤堂さん…?」
ハンカチを離したさくらの目から、涙がこぼれる。
おれは涙の上から頬にキスする。さくらの涙のしょっぱい味。
さくら、拒んで。拒まないなら…
俺はさくらの唇に自分の唇を合わせた。
ちゅっ
っと音を立てて唇を離してさくらの目を見つめる。
さくらは目を丸くして俺を見ている。
「嫌?」
「…いえ…、でも…あの…」
「何?」
「だって…」
さくらはそのあとを続けない。
嫌じゃないなら、遠慮しない。できない。
俺はもう一度唇を合わせた。
さくらの手首を放して、驚いてこわばるさくらの体を抱きしめる。
唇をついばむように、ちゅ、ちゅと軽いキスを繰り返す。
さくらは拒まない。
いいの?さくら?
俺は腕に力を込めて強く抱きしめて、さくらの唇全体を自分の唇で包む。
さくらの体がびくっと驚く。
そのまま、さくらの唇を舌先でゆっくり撫でる。
さくらはされるがまま、受け入れている。
嫌じゃ…ないんだよな…
しばらくそうしていると
さくらが少し俺の体を押して顔を遠ざけた。
ここまで我慢して限界が来たのかと俺は覚悟してさくらの顔をうかがった。
さくらは、はあ…とため息をついて、泣いてはっきりした二重で俺の顔を見上げていた。
それは、嫌がっている表情じゃなかった。
泣いたせいだったのかもしれないが、おれに唇をかわいがられて、蕩けた表情に思えた。
「さくら、今日、帰さなくていい?」
「…え…?」
彼氏がいたことがないって言っていたさくらには、こんな時、どうしたらいいかわからないんだろう。
付き合ってもいない、会社の他部署の課長にこんなこと言われて、困るよな。
初めてなのに、順番がぐちゃぐちゃだ。
悪いと思うけど、今日のさくらをひとりで帰したくない。っていうか、俺が離れたくない。
「一緒にいたい。さくら、お願い。」
さくらはじっと俺と目を合わせている。
「嫌なら、何も言わずに、俺の背中、3回、叩いて。」
俺はさくらの肩に自分の頭を置くようにしてさらに抱き締めて返答を待った。
さくらの手が俺の背中に置かれた。
そのまま…動かない。拒まない。
「ありがとう。さくら。」
顔を見て、もう一度唇を合わせる。
そして、俺はさくらの手をつかんで立ち上がった。
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