【R-18】藤堂課長は溺愛したい。~地味女子は推しを拒みたい。

絵夢子

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@さくらside

2.紅茶とチョコレート@さくらside

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 藤堂さんが申請書の件で総務部を訪ねた少し後、休憩室でコーヒーを淹れていた私に藤堂さんが声を掛けてくれた。
「さくらさん、お疲れ様。」
 もちろんそこに藤堂さんがいるのは気づいていたけど、まさか私を認識してくれているなんて!しかも「さくらさん」?名前?総務部の中では同じ苗字の後輩が来てから下の名前で呼ばれるようになっていたけど、藤堂さんに下の名前で呼ばれるのは全然違う。
「あ、えっと、お疲れさまです。」
 あ~私の馬鹿、もうちょっといい反応できないの?
「総務部の、さくらさんだよね。この間はありがと。」
 藤堂さんにお礼言われるなんて…
「あ、いえ…。」
 あまりの衝撃に本当につまらない反応しかできない。高峰美幸さんならかっこよく、楽しい返しができるんだろうな。

 その後もエレベーターで、廊下で、すれ違いざま藤堂さんは挨拶してくれる。
「お疲れ様。」とか、時には「よっ」なんて軽く片手をあげて親し気に挨拶してくれる。そのたびに、私は心臓が口から飛び出そうになって、毎回ちょっと会釈するとかつまんない反応しかできない。いっそ藤堂さんから見えない透明人間になりたい!

 2月に入って、藤堂さんはいつも以上に忙しそうで、昼も席で簡単に食べながら仕事し続けているし、社内のイントラ内での藤堂さんからの申請書の登録時間が深夜だったり早朝だったりする。
 藤堂さんは自分の案件抱えながら、部下の教育して、フォローして、管理職として備品やら経費やらなんやかんやと申請も上げててとにかく仕事量が多い。

 総務部の私が営業の藤堂さんの手助けはできないけど、前々から気になっていた申請書のわかりにくさを解消するための改善案やマニュアルを作ることにした。これが採用されれば、藤堂さんや営業の人たちの助けになるはず。
 頑張っている藤堂さんを見て私もできることをやろうと思った。
 上司からの指示でやることじゃないから、通常の仕事の合間や定時後に作業する。
 大好きなチョコレートと、ノンカフェインのお茶を励みに。

 その日、作業に熱中していたら、終電が近くて、帰る前に一杯お茶飲もうと休憩室に行ったら藤堂さんも残っているのが見えた。
 いつも飲んでいるお茶とチョコレートを藤堂さんに持っていく。糖分で疲れを癒して欲しい。

 いつもコーヒーをブラックで飲む藤堂さん。紅茶もお砂糖を入れずに持っていく。甘いもは嫌いかな?と思ったけど
「チョコレート、好き」
 って。良かった。
「さくらさんのお楽しみ、悪いね。味わって食べるよ」
 優しいな。私の方が癒されてしまった。
 今日はちょっと気の利いたことができたな。私はニマニマしながら家に帰った。
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