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1974ー2039 大村修一
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BS社はNH社と並ぶアンドロイドの開発メーカーだ。医療系の企業を母体とし、NH社に先行して半官半民の事業に参入している。
正式名称はBioSTEAM(バイオスチーム)社。Sience(科学)、Technology(テクノロジー)、Engineerring(工学)、Art(s)(芸術・人文科学)、Mathematics(数学)。人類の叡智を集結させ新たな技術を生み出すことをコンセプトに、アンドロイドへの人格移殖を試みている。永遠の生への憧れだ。
過去に実在した著名人そっくりなAI搭載アンドロイドを作って話題になったが、とうとうアイドルとは。
BS社の場合は精巧なボディが売りだから、見た目で本人だと錯覚させている側面がある。本当に人格を移殖し、本当に本人を機械化できたのか。知るのは死後の本人のみでは科学といえないのだ。
NH社のイオンは、外見よりも中身重視の開発姿勢だ。それでもボディは中性的な美の極致といえるものだった。
相対するものに威嚇も恐怖も与えなさそうなのは良いが、NH社が目指すのは個性のない空気のような存在だ。これでは目立ち過ぎる。
「教授の心配はご無用ですよ。実用化されれば需要に合わせて標準的な容姿に変更されるでしょうから。ユーザーの好みに合わせてパーツも選べるんじゃないですか? 私だったらイオンの顔のままにしますけど。教授はイオンを見て、毎日アイドルに囲まれているようなものなのに、何とも思わないんですか?」
完全に年寄り扱いされているな。大村の半分しか生きていない早川から見れば、私はもはや別のヒト科の生き物だろう。実際には四倍生きているのだから、世代間ギャップでは済まないな。
私は、現代のアイドルよりもむしろ遠い過去に知った人型ロボット「學天則」に心惹かれていた。
西村という男が作った「學天則」は、今思えば精巧なからくり人形だ。それでも当時の衝撃は大きく、また、あの時代における彼の精神に私は神の如き崇高さを感じていた。
私にとってイオンは、「學天則」を理想とし、人間の感情を極限まで再現する人造人間であった。
正式名称はBioSTEAM(バイオスチーム)社。Sience(科学)、Technology(テクノロジー)、Engineerring(工学)、Art(s)(芸術・人文科学)、Mathematics(数学)。人類の叡智を集結させ新たな技術を生み出すことをコンセプトに、アンドロイドへの人格移殖を試みている。永遠の生への憧れだ。
過去に実在した著名人そっくりなAI搭載アンドロイドを作って話題になったが、とうとうアイドルとは。
BS社の場合は精巧なボディが売りだから、見た目で本人だと錯覚させている側面がある。本当に人格を移殖し、本当に本人を機械化できたのか。知るのは死後の本人のみでは科学といえないのだ。
NH社のイオンは、外見よりも中身重視の開発姿勢だ。それでもボディは中性的な美の極致といえるものだった。
相対するものに威嚇も恐怖も与えなさそうなのは良いが、NH社が目指すのは個性のない空気のような存在だ。これでは目立ち過ぎる。
「教授の心配はご無用ですよ。実用化されれば需要に合わせて標準的な容姿に変更されるでしょうから。ユーザーの好みに合わせてパーツも選べるんじゃないですか? 私だったらイオンの顔のままにしますけど。教授はイオンを見て、毎日アイドルに囲まれているようなものなのに、何とも思わないんですか?」
完全に年寄り扱いされているな。大村の半分しか生きていない早川から見れば、私はもはや別のヒト科の生き物だろう。実際には四倍生きているのだから、世代間ギャップでは済まないな。
私は、現代のアイドルよりもむしろ遠い過去に知った人型ロボット「學天則」に心惹かれていた。
西村という男が作った「學天則」は、今思えば精巧なからくり人形だ。それでも当時の衝撃は大きく、また、あの時代における彼の精神に私は神の如き崇高さを感じていた。
私にとってイオンは、「學天則」を理想とし、人間の感情を極限まで再現する人造人間であった。
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