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1974ー2039 大村修一
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私は毎晩悪夢を見る。それは、あの死神との甘美で倒錯した生死の狭間のやりとりではない。
子供の目だ。
秋山としての人生の最期に見た、子供の怯えた目を忘れることができないのだ。
私は、申し開きのできない罪を犯してしまった。
秋山の死の瞬間、とっさに子供の身体に押し入った。子供には現場を目撃した恐怖で隙があった。
子供の魂をその場で弾き飛ばさなかったのは、死神には死霊が視えるとわかっていたからだ。子供が出れば、私と入れ替わったことがすぐに知れる。
自分でもどうやったのか説明できないが、とにかく子供を絡め取ったまま身体に入り込んだ。
遠藤が連行され、私自身もとりあえずの事情聴取が終わりようやく布団に寝かされた後で、私は子供の魂と対峙した。
例えるならば、理解を超えた恐怖で萎縮し正気を保っていない状態の子供を宥めて寝かしつけたような感じだ。実際には人間の感覚で表現できるものではないが、宥めたその後で、熟睡した子供が寝ているシーツをそっと剥がしながら子供を包み、静かに家の外へ運び出したのだ。
いや、捨てた。
それが何を意味するか知りながら、捨てた。
子供の人生は終わった。
私に死霊は視えない。それから子供がどうなったのかは知りようがない。
毎日手を合わせ、無事にあの世へ着くよう、ただ祈った。他人事のように祈る私は、涙さえ偽善と誹られるのだろう。
毎晩夢に現れる子供は、私の意識の投影か子供自身の怨念か。
罪。私は罪人だ。
この世では決して裁かれることなく、また、死神の話ではあの世で現世の善悪は問われない。ただ己の心が判断するのみである。
あの子供はどうなる? ただ運が悪かったのか。そもそもの運命なのか。
私自身が気を逸らすために、あらゆる書物を読みこれからを考えた。
そうして神童の少年は、アンドロイド開発を目指した。
人間に代わり危険な試験や作業をこなし、人間とともに生きるロボット。その先には、人間の魂の器を作りたいという私自身の望みがあった。
人生はあまりにも短い。人類の行く先をもっとこの目で見たい。
肉体に拠らなければ、死神に追われることなく永遠を生きられるだろうか。
私は、これ以上罪を犯したくはない。
まこと自分勝手な言い分に、自身の醜さを思い知る。
生きたい。生命として当たり前の欲求を持つことが、今の私には悪であり罪であった。
子供の目だ。
秋山としての人生の最期に見た、子供の怯えた目を忘れることができないのだ。
私は、申し開きのできない罪を犯してしまった。
秋山の死の瞬間、とっさに子供の身体に押し入った。子供には現場を目撃した恐怖で隙があった。
子供の魂をその場で弾き飛ばさなかったのは、死神には死霊が視えるとわかっていたからだ。子供が出れば、私と入れ替わったことがすぐに知れる。
自分でもどうやったのか説明できないが、とにかく子供を絡め取ったまま身体に入り込んだ。
遠藤が連行され、私自身もとりあえずの事情聴取が終わりようやく布団に寝かされた後で、私は子供の魂と対峙した。
例えるならば、理解を超えた恐怖で萎縮し正気を保っていない状態の子供を宥めて寝かしつけたような感じだ。実際には人間の感覚で表現できるものではないが、宥めたその後で、熟睡した子供が寝ているシーツをそっと剥がしながら子供を包み、静かに家の外へ運び出したのだ。
いや、捨てた。
それが何を意味するか知りながら、捨てた。
子供の人生は終わった。
私に死霊は視えない。それから子供がどうなったのかは知りようがない。
毎日手を合わせ、無事にあの世へ着くよう、ただ祈った。他人事のように祈る私は、涙さえ偽善と誹られるのだろう。
毎晩夢に現れる子供は、私の意識の投影か子供自身の怨念か。
罪。私は罪人だ。
この世では決して裁かれることなく、また、死神の話ではあの世で現世の善悪は問われない。ただ己の心が判断するのみである。
あの子供はどうなる? ただ運が悪かったのか。そもそもの運命なのか。
私自身が気を逸らすために、あらゆる書物を読みこれからを考えた。
そうして神童の少年は、アンドロイド開発を目指した。
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人生はあまりにも短い。人類の行く先をもっとこの目で見たい。
肉体に拠らなければ、死神に追われることなく永遠を生きられるだろうか。
私は、これ以上罪を犯したくはない。
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